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フランスワインの歴史について

フランスワインの歴史

ワイン=フランスというイメージが定着するまでのフランスワインの歴史に興味はありませんか?

世界的有名ワインとなるまでは決して順風満帆だったわけではなく、紆余曲折を経て今のフランスワインがあります。

近年のフランスワインについても解説しているので、知ればフランスワインの味わいに深みが増すかもしれません。

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フランスワインの始まり

フランスワインの始まり

「ワインといえばフランス」というイメージが定着するほど、ワインの生産量が多く品質も高いフランス

そのフランスでは、いつ、どのようにワインの製造が始まり盛んになっていったのか存知でしょうか。

こちらの項目では、フランスワインの歴史について時代ごとにまとめていきます。

紀元前〜古代-フランスワインの誕生

フランスでワイン造りが始まったのは、紀元前600年ごろのことです。

フランスにワインを伝えたのは、ギリシャからフランスのマルセイユ地方に移り住んだガリア人と呼ばれる人々です。

当時、フランスのマルセイユ地方にあたる地域はまだ現在の名称を持っておらず、ギリシャにルーツを持つケルト系人種(ガリア人)が住む土地として「ガリア・ナルボネンシス」と呼ばれていました。

その後2〜3世紀には現在も著名なワインの産地であるブルゴーニュ、ボルドー、モーゼル、ロワール、シャンパーニュなどでぶどうの栽培が始まっていきます。

これらの土地は気候や土壌がぶどうの栽培に適していて、このこともフランスでワインの製造が盛んになった一因と考えられます。

フランスにワインがやってくるまで

今でこそワインといえばフランスというイメージがありますが、実はワイン誕生の地はフランスではありません

ワインは、紀元前8000年ごろには既にコーカサス山脈(ヨーロッパと中東の中間、現在のジョージアの辺り)で飲まれていたと考えられています。

その後、紀元前4000〜5000年ごろにメソポタミアやエジプトでワインの醸造が始まり、紀元前1500年ごろにはギリシャにワインの製法が伝わって盛んに作られるようになりました。

そして、上述のように紀元前600年、ギリシャ人の一部がフランス・マルセイユ地方に移り住んでワインがフランスに伝えられたのです。

この時勢力を強めていたジュリアス・シーザー率いるローマ軍の行軍に伴い、ワインを含むギリシャ・ローマの文化はヨーロッパ全土に広がっていきました。

中世-キリスト教との結び付きと発展

10世紀ごろになると、中世ヨーロッパの文化はキリスト教を中心に発展していきます。

ワインも例外ではなく、「キリストの血」として宗教に結びつけられ神聖な飲み物とされました。

当時、教会や修道院は現在の教育機関や研究所のように文化を牽引していく役割もありました。

そのため、教会がブドウ農園の運営やワインの製造を行うなど、教会主導でワイン造りが推し進められ、ますます生産量や品質が向上していったのです。

その後、16世紀の大航海時代を経て、フランスを含むヨーロッパから全世界へとワインが広まっていきました。

領地の変遷とフランスワイン

5〜6世紀になると、気候変動やローマ帝国の崩壊などが原因のゲルマン人の大移動が起こり、当時ガリアと呼ばれていた現在のフランス領土内にもゲルマン人が押し寄せてきました。

このゲルマン系移民は蛮族とも呼ばれ略奪や誘拐を繰り返しましたが、これらの人々はワインは奪ってもブドウ畑は荒らしませんでした

このため、様々な文化が衰退して「暗黒時代」と呼ばれた中世前期もフランスのワイン文化が途絶えることはなかったのです。

また、10世紀にはワインの産地として知られるボルドーの領主アキテーヌ公の娘が英国王ヘンリー2世のもとへ嫁いだことから、ボルドーがイギリス領になりました。

当時イギリスではワインよりビールがよく飲まれていましたが、英国王がボルドーのワインを進んで輸出したことによりイギリスでボルドーワインが流行し、高値で取引されるようになります。

これによりますますボルドーでのワイン生産が盛んになり、ボルドーには外貨が流れ込んでイギリス領地内でロンドンに次ぐ大都市へと成長しました。

ボルドーは12世紀まで、約300年にわたってイギリス領として統治されていました。

ボルドーが現在ワインの一大産地として知られるようになったのには、一時イギリス領に組み込まれていたという背景があるのです。

17世紀-保存方法・販売方法の進化

17世紀になると、現在のワインの販売形態に近い「瓶詰め」「コルク栓」が発明されました。

それまではワインは樽に入れて保存されていましたが、樽での保存は瓶よりも保存できる期間が短く、個人に販売しにくいという側面がありました。

現在も使われている瓶詰め・コルク栓のワインが考案されたことでワインの流通量が飛躍的に高まり、これに合わせて生産量も格段に増えました。

18世紀-フランス革命とフランスワイン

18世紀、フランス革命と同時に修道院や貴族が所有していたブドウ畑は一度国に没収され、その後国民に売却されました。

この時、ブルゴーニュ地方では地元の商人や農民の購買力に合わせて細かな区画に分けられたため、ブルゴーニュには比較的規模の小さい葡萄畑が多くなっています。

このことが、ブルゴーニュワインの生産者による味や品質のばらつきが多いという性質に繋がっています。

一方、イギリスへの輸出で栄えていたボルドー地方には、経済力のある商人が多かったため伝統あるシャトー(酒蔵)がそのまま残り、古くから守られてきた伝統ある味が今世まで残っています。

19世紀-ワインの格付けと虫害

1855年、パリ万博の開催に向けて、世界中から集まる訪問者への展示のためにボルドーワインの格付けが必要と考えられました。

当時は市場で取引されている価格がワインの品質に直結していたため、市場価格とシャトーの評判を基準として第1級から第5級までに格付けました。

その後、ブルゴーニュや他の地域でも格付けが設けられ、地域や地区ごとに基準や名称の異なるワインの格付けが生まれて現在も続いています。

しかし、これと時を同じくしてフランスの広い地域でブドウの木に害虫「フィロキセラ」の被害が蔓延してしまいます。

これは1914年の第一次世界大戦後まで影響を残す壊滅的な被害でしたが、害虫に強いアメリカの苗にフランスのブドウの木を接ぎ木するという解決策が生まれたことで、フランスのワイン生産量は回復しました。

その後、フランスはワイン生産量を飛躍的に伸ばし、世界有数のワインの産地として世界中に優れたワインを輸出しています。

近年のフランスワインについて

近年のフランスワインについて

フランスワインの歴史がわかったところで、現在のフランスワインについてまとめていきます。

ワインの生産量世界2位

フランスのワイン生産量は、イタリアに次いで世界第2位です。

2014年に一度第1位になったこともありますが、その他の年は基本的に世界第2位、イタリアの次点というランキングになっています。

フランスワインは生産量よりも、その質の良さや洗練されたワイン文化などで高く評価されています。

フランスがこのようにワイン大国になった理由としては、気候や風土がブドウの栽培に適していることや、フランス政府が国を挙げて品質の向上や維持管理に力を入れていることが挙げられます。

AOC法からAOP法に改定

AOC法は2008年までの長きにわたって使われてきましたが、2009年以降はEUの規定の変更によりAOP法という新基準に改定されました。

AOC法とは?

フランスワインを語る上で欠かせないのが1935年に制定された「AOC法」です。

AOCは「アペラシオン・ドリジーヌ・コントロレ」の略で、日本語に訳すと「原産地呼称統制」となります。

AOCとは簡単にいうと、産地や製法ごとにワインの種類を呼び分けるための基準です。

フランスワインにはそれぞれの産地ごとに特有のスタイルがあるため、それらの個性を守るために制定されました。

例えば、日本では発泡性ワインの総称として使われがちな「シャンパン」は、AOCの基準ではシャンパーニュ地方の伝統的な製法で作られたものしか名乗ることはできません。

このように厳密な基準を設けることで、フランスワインの文化と品質が守られているのです。

AOP法とは?

上級ランクの「AOP(原産地呼称保護ワイン)」、中ランクの「IGP(地理的表示保護ワイン)」、低ランクで特定の産地表示がない「Vin de table」の3カテゴリーに区分されています。

AOP法は区分けが細かくて難解なAOC法よりも消費者にわかりやすいため、現在はAOP法に表記が統一されています。

しかし、最近改訂されたばかりなのでAOC法の表記があるワインがまだまだ多いですが、将来的にはAOP法の表記のワインが増えていくでしょう。

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フランスワインの主な産地と歴史や特徴

フランスワインの主な産地と歴史や特徴

フランスはほぼ全土でワインが栽培されていて、多数のワイン名産地があります。

ここに挙げた以外の産地もありますが、日本人が聞いてもピンとくる主な産地と、その地で作られるワインの特徴をまとめました。

ボルドー

ボルドーは、フランス国内でも最もワインの生産量が多い一大産地です。

並種から最高級まで、多彩で幅広いワインが作られています。

生産するワインの種類は7:3で赤が多く、濃い赤・ワイン色を表す色名の「ボルドー」もこのボルドーの地名が由来です。

赤ワインに使われるブドウの品種としては、カベルネ・ソーヴィニヨン、カベルネ・フラン、メルローなどが中心となっています。

先述した理由で大きなシャトーが分割されずに残っているため、「シャトー 」が名前に付けばボルドーワインの銘酒というブランド力の強さも特徴です。

五大シャトーとは?

1855年のパリ万博博覧会におけるフランス・ボルドーのメドック地区の格付けで、5つの等級のうち第一級の称号を与えられた4つのシャトー。

それに加えて、1973年に格付けを覆し第一級に昇格した「シャトー・ムートン・ロートシルト」の5つのシャトーを指します。

  • シャトー・ラフィット・ロートシルト
  • シャトー・マルゴー
  • シャトー・ラトゥール
  • シャトー・オー・ブリオン
  • シャトー・ムートン・ロートシルト

フランスのみならず世界最高峰の品質を誇っており、ボルドーワインの総生産量の数%に満たない希少性も特徴。

非常に高額なボルドーワインですが、他のワインでは経験できない味わいを持っています。

ブルゴーニュ

ブルゴーニュは、ボルドーと共にフランスを代表するワインの産地です。

ワイン造りの歴史は古く、4世紀以前のローマ帝国時代まで遡ります。

シトー派修道僧が12世紀にブドウ畑を開墾し、18世紀にフランス革命が起こるまで修道士がワインの製造を取り仕切っていました。

夏の日照量が多く冬は厳しい寒さというブルゴーニュの気候はブドウ栽培に最適で、長年かけてこの地のブドウと気候に合わせた醸造方法が作り上げられてきました。

有名なロマネ・コンティ、クロ・ヴァーショなどが代表的なブルゴーニュワインです。

シャンパーニュ

シャンパーニュ地方は、フランスの主なワインの産地としては最も北にあり、年間の平均気温が約10℃というブドウ作りには厳しい気候です。

この地域の北側にある森林が冬の寒い風が吹き付けるのを防いでいますが、夏の日照不足の影響は大きく不作の年は大幅に生産量が落ちることもあります。

シャンパーニュ地方の代表的なワインといえばやはりシャンパンです。

前述しましたが、シャンパーニュ地方で取れたブドウのを用い、製法なども厳しく指定された基準を満たしていなければシャンパンを名乗ることはできません。

ちなみに、発泡性ワインがシャンパーニュ地方で作られ始めたのは17世紀以降のことで、それまでは一般的な白ワインが多く作られていました。

シャンパンの定義について

シャンパンとはスパークリングワインの一種であり、混合されることが非常に多いですが「シャンパン=スパークリングワイン」ではありません。

シャンパンはシャンパン製法で造られなくてはいけません

フランス・シャンパーニュ地方で生産され、特定のぶどうの品種を使用し瓶内二次発酵を行って製造する必要があります。

他にもアルコール度数やドサージュを行うなど、条件が細かく決められており、それらをすべてクリアしたスパークリングワインのみが「シャンパン」を名乗ることができます。

また、シャンパンとスパークリングワインの見分け方ですが、シャンパンはラベルに「Champagne」と記載しなければならないため、ラベルを確認すれば簡単に見分けることが可能です。

アルザス

アルザスワインを代表するのは、辛口の白ワインです。

他の地域のワインでは生産者やブランドが重要視されますが、アルザスワインにとって重要なのはブドウの品種です。

アルザスの白ワインのラベルには大きくブドウの品種名が記載されていることが特徴で、「リースリング」や「シルヴァーナ」などが知られています。

ロワール

ロワールは、ロワール河の流域周辺に広がるワインの産地です。

ロワール地域内でも気候や育てられているブドウの品種が多様で、味や品種について一言で言い表すのが難しい地域でもあります。

強いてロワールワインの特徴を挙げるなら、良質で安価なワインが多いことと言えるでしょう。

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