流行中のオートミールってそもそも何?
ダイエット食として多くの人から注目されているオートミールというのは、簡単に言ってしまうとオーツ麦(燕麦)をシリアルやコーンフレークのように食べやすく加工した食材のこと!日本ではまだあまり馴染みの薄い食品ですが、海外では朝食の定番として親しまれており、映画のシーンなどでも頻繁に見かけますよね!
海外のトップモデルやハリウッド女優が役作りに使用していたり、ボディビルダーやアスリートが減量に使っているなど、日本ではダイエットに取り組む人や、食生活の改善に活用している人が急増中!
そんなオートミールについて、わかりやすく丁寧に解説していきましょう。
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そもそも、オートミールって何?
みんなの知識を共有するインターネット百科事典のwikipediaによると、
オートミール(英語: oatmeal)とは、燕麦(エンバク)を脱穀して調理しやすく加工したものである。 アングロアメリカでは燕麦を押しつぶすかカットした加工品をオートミールと呼ぶ。また、粥状に調理したものを指す。それ以外の英語圏では燕麦を挽いた粉製品を意味する。引用元:wikipedia
とのこと。なるほど、非常に分かりづらいですね。
オートミールというのは簡単に説明するなら、オーツ麦と呼ばれる麦を食べやすく加工したシリアル食品の事です。短時間で調理できることや栄養バランスが非常に優れていることで、日本国内では健康食品として人気を得つつありますが、アメリカでは家庭の味と言われるほど広く浸透している食材です。
オートミールはどうやって食べるの?
オートミールの食べ方で最も定番とされているのは、お湯でふやかしたり電子レンジで加熱して軽く煮たりして粥状にし、砂糖やジャム、また中華粥やカレーのレトルトなどを使用して味をつけて食べる方法です。水で煮たオートミールは塩系の調味をした場合、白粥のような味になります。
水で煮る以外にも、牛乳や豆乳を使用して煮たり、種類によっては一般的なシリアルのように冷たいミルクに入れてサクサクと食べられるオートミールもあります。
また、オートミールはそのまま味をつけて食べる以外にも、パンやクッキーに混ぜ込んで使用することも多く、一般的な生地よりも、しっとりと歯ごたえのある食感になるのが特徴です。
オートミールって体にいいの?
オートミールは玄米などの健康食材と同様に精白を行っておらず、外皮を残したまま加工される全粒穀物食なため、非常に栄養価が豊富な食品として知られています。白米と比べて食物繊維は20倍も含まれており、玄米と比べても3.5倍、鉄分は2倍、カルシウムは5倍も含まれています。
精米されたお米に比べて2倍もの植物性たんぱく質を持っているのも特徴で、オートミールには水溶性と不溶性の食物繊維が両方含まれており、より効果的に作用するため体に良い食品とされています。
オートミールに含まれる水溶性の食物繊維は、血液中のコレステロールを排出させ、不溶性の食物繊維は整腸作用に優れているため便秘の解消にも効果的とされています。
オートミールはダイエットに効果的なの?
ダイエット食品と聞くと「食べるだけで痩せる」というイメージを持つ人が多いかもしれません。特に多いのはゼロカロリー系の食べても太らない食材というイメージ、しかしオートミールは100gで約380kcalあるため、意外とカロリー自体は多い食品です。
では、なぜオートミールがダイエットや体づくりのための食品として愛用されているのかというと、オートミールは「低GI食品」だからです。
人間の体というのは食べ物を摂取すると血糖値が上昇します。すると、膵臓からインシュリンが分泌されて血糖値を下げる働きをします。ここで分泌されたインシュリンには脂肪を作ってしまう働きがあるため、低GI食品であるオートミールは血糖値の上昇が一般的な食品より緩やかなため、インシュリンの分泌が抑制されます。
この効果によって体が脂肪を蓄えづらくなり、結果的にダイエットに効果が現れるとされています。
オートミールの種類とは?
健康食品やダイエット食材として日本で一般的に食されているオートミールは、厳密に言うとインスタントオーツやクイックオーツと呼ばれるロールドオーツをより食べやすく加工した種類に属しています。
そもそも、オートミールには大きく分けて5種類が存在しており、原料となるオーツ麦(燕麦)をオートグローツと呼ばれる3種類に加工したところからオートミールという呼び名が使われます。そのオートミールの原型とも言えるオートグローツには3つの種類が存在しています。
上記3種類のオートグローツは、長いものだと調理するために30分近い時間のかかるものもあるため、シリアル食品としてオートミールを食べられるようにロールドオーツが加工され、2種類に分けられます。
一般的に多く食べられているのが、インスタントオーツやクイックオーツと呼ばれるオートミールですが、調理方法や食べ方のスタイルに合わせてオートミールには様々な種類が存在するので、オートミールの種類について詳しく知りたい人は、こちらのページを参考にしてください。
オートミールとシリアルの違いとは?
日本でシリアルというと「牛乳を入れて美味しく食べられるサクサクのフレーク」といったイメージかもしれませんが、厳密に言うとシリアルは"穀物を加工してそのまま食べられるようにしたもの"なので、もちろんオートミールはシリアル食品に含まれています。
とはいっても、多くの人が一般的にイメージするのはコーンフレークやグラノーラといったシリアル食品だと思います
オートミールの中でもインスタントオーツと呼ばれる味付け済みのオートミールは一般的な人のイメージするシリアル食品に近い味ですが、最近注目されているオートミール(ロールドオーツやクイックオーツ)は他のシリアルよりも食感が ユルくお粥みたいな口当たりとなるため、一般的に想像されるシリアルとは大きく違う味(おいしくない)だと感じるでしょう。
オートミールの歴史について
オートミールの原料となっている燕麦(えんばく)。からす麦やオート麦などとも呼ばれる、このイネ科カラスムギ属の穀物は、歴史を掘り下げると紀元前2000頃の古代エジプト時代から種子が出土しており、一説にはツタンカーメンも食べていたのではないか?と言われるほど歴史ある穀物です。
そんなオート麦は当初、小麦や大麦畑の雑草として扱われていましたが、約5000年前頃から中央ヨーロッパにて作物として育てられるようになり、初代鉄器時代には本格的な栽培が行われるようになったと言われています。
そのようにして育てられたオート麦は、主に馬の飼料用として使用されており、食用としてオート麦を使用するのはスコットランドなどの幾つかの地域に限られていました。スコットランドやアイルランドではオートミールを「ポリッジ」と呼んでおり、今でも朝食に欠かせないメニューとなっています。
その後、17世紀には北アメリカ大陸へとオート麦が伝わりましたが食用の穀物とはされず、19世紀のアメリカの料理本あたりから少しずつオートミールのレシピが紹介され始めます。
オートミールの誕生は1870年代
燕麦(エンバク)を工業的にフレーク化する技術の開発された1870年代を皮切りに、現代でも代表的なオートミールの種類であるロールドオーツ(エンバクの押麦)が発明されると、様々な食品会社がオートミールの大量生産を開始しました。
19世紀末からアメリカ国内で急速に普及し、1880年頃にはエンバクのフレークを使用した"グラノーラ"が生み出され、シリアル食品もこの辺りから急速に普及していくこととなります。
その後、オートミールを中心としたオート麦(燕麦)を使用したシリアル食品は、コーンフレークやミューズリーといったシリアル食品の人気に押されて、生産が徐々に減少していきましたが、1960年代のヒッピームーブメントによって健康面からオートミールやグラノーラが再評価され、さらに改良も進んで消費が急増しました。
日本とオートミールの歴史
日本にオートミールの製法が伝わったのは明治時代といわれています。
日本では古くから、土壌改良用作物(土壌における作物の生産性を向上させるための作物)として北海道を中心に大量生産がされていました。もちろん馬を中心とした家畜の飼料としても使われており、オートミールの原料となるオート麦を豊富に生産していた北海道で日本初のオートミールが誕生したと言われています。
日本で初めてオートミールの製造販売を行ったのは、現代でもオートミールの定番銘柄として知られる日食ブランドを展開している日本食品製造だとされています。
日本では健康食品としてオートミールが注目されるまで、あまり馴染みのない食品とされていましたが、昭和天皇の洋食タイプの朝食においては、普段からオートミールが供されていたことが知られています。
映画『日本のいちばん長い日」によると、終戦の日に当たる1945年8月15日の朝食にもオートミールが供されている場面が描かれています。
健康食品としてのオートミール
現代において、とくにここ日本ではオートミールの健康食品としての性質が注目されています。原材料となるエンバク由来のβグルカンによるコレステロール値の上昇抑制作用や、血糖値の上昇抑制作用、さらに排便促進作用などが注目され、エンバクに含まれるβ1,3-グルカンは心臓病の発生リスクを低くするとも言われています。
アメリカ合衆国では、1980年に食生活指針が策定された事で健康食品への関心が高まり、オートミールを中心とした食物繊維を含むシリアル食品を食べる家庭が200万世帯も増加したと言われています。
また、1997年の1月にはアメリカの食品医薬品局が「オートブランやロールドオーツを低脂肪の食事と組み合わせると心臓病になる危険性が低くなる」という表示を許可し、オートミールを中心としたエンバク製品の人気が再燃しました。
とくに昨今では、糖質抜きダイエットや低GI食品による減量のブームと相まって、オートミールはモデルや女優、さらにはウエイトトレーニングを行うアスリートたちから人気となっており、プロテインをオートミールに混ぜて摂取しているという人も少なくありません。