メキシコ生まれの蒸留酒!テキーラ(Tequila)とは?
ショットでよく飲まれるお酒といえばテキーラでしょう。罰ゲームでよく使用されるお酒でもありますが、実は近年じっくり味わうことができるテキーラが増えており「テキーラ=罰ゲーム」という概念がなくなりつつあります。
ここではそんなテキーラ(Tequila)がどんなお酒かについて紹介していきます。
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テキーラとは?
テキーラとはメキシコ・ハリスコ州グアダラハラ市周辺で製造されている蒸留酒のひとつです。「アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバー」を使用しており、フランス・シャンパーニュ地方のシャンパンや、コニャック地方のコニャックのように原産地呼称が認められているお酒です。
テキーラはテキーラ規制委員会(CRT / Consejo Regulador del Tequila A.C.)によって原料や蒸留所、原料の比率、蒸留回数など規則が定められており、基準をパスしないとテキーラを名乗ることができないようになっています。
テキーラ規制委員会はメキシコ政府から認定を受けている非営利団体であり、テキーラメーカーはテキーラ規制委員会の認可が必要です。基準には以下のものが挙げられます。
- ハリスコ州・グアナファート州・タマウリパス州・ナヤリ州・ミチョアカン州で生育されたアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバーを使用すること。
- テキーラ村とその周辺で蒸留されたものであること。
- アガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバーを原料に51%以上使用すること。
- 最低2回蒸留すること。
- メチルアルコールが3mg/1ml以下であること。
- 最終アルコール度数が35%~55%であること。
- メローイングは1%以下であること。
- フーゼル油の制限
テキーラのラベルには原産地呼称を証明するテキーラ規制委員会の記載と、NOMと呼ばれる蒸留所番号が記載されています。ちなみに最も古い蒸留所はNOM1122のクエルボ蒸留所であり、創業は1795年となっています。
テキーラの原料
「テキーラの原料はサボテン!」なんて事聞いたことありませんか?テキーラはメキシコが原産なのでイメージもあるとは思いますが、テキーラの原料はサボテンではありません。
テキーラは原料に、竜舌蘭(リュウゼツラン)の一種であるアガベ・アスール・テキラーナ・ウェーバーという植物を使用します。「ブルーアガベ」とも呼ばれます。6年~8年程度で生育し、直径が70cm~80cmほど、使用する球茎は30kg~40kgで大きいものだと50kgになるものもあります。
雨季である6月に植えられて生育したものから順に収獲されます。収獲されたアガベは「コア」と呼ばれる専用の鎌のようなもので葉を切り落とされます。葉がないアガベは形状がパイナップルに似ていることから、スペイン語でパイナップルという意味の「ピニャ(piña)」と呼ばれます。
蒸し上げたアガベをローラーにかけて砕いた後に圧搾、搾り汁を発酵させて蒸留を2回以上することによって製造されています。
プルケとメスカル
メキシコには昔から元々プルケという、竜舌蘭(リュウゼツラン)の搾り汁を発酵させた醸造酒あります。1800年以上も前の西暦200年頃の古代アステカの時代にはすでに存在していたとされています。
手を加えて発酵させなくてもアガベの芯で発酵していることもあり、山火事で焼けてしまったアガベの中に甘い香りのお酒でできていたという逸話があります。
スペインから蒸留技術が伝わったことによって、プルケを蒸留した蒸留酒であるメスカルが誕生しました。そのメスカルの中でも、上述したテキーラ規制委員会が規定している基準をパスしたものがテキーラとなります。テキーラはメスカルの一種ということですね。
ちなみにメスカルは虫などを入れることによって販売の際の話題性を高めることがあります。特にグサーノ(芋虫)を入れたメスカルは日本でも比較的知名度が高く、知っている人も多いのではないでしょうか。
テキーラは不当な加水が多かった時代がありますが、アルコール度数を照明する為に行われていた名残としているという側面もあります。
テキーラの度数
テキーラの度数はテキーラ規制委員会(CRT)によって規定されているので、テキーラのアルコール度数は「35%~55%」以外にありません。この範囲を超えてしまうとテキーラと名乗ることができないからです。
強いお酒として認識されてはいますが、飲みやすいテキーラや、中には「水のように飲める」なんて言われてしまうテキーラなど扱いは様々です。規定されている通り、決して弱いお酒ではないので飲み過ぎには注意してください。
テキーラの種類
テキーラには原料であるアガベの比率や樽熟成の段階によって種類分けされています。まずアガベの比率によって以下の2種類に分けられます。
- 100% De Agave
名前通り、アガベを100%使用したテキーラ。「プレミアムテキーラ」とも呼ばれます。 - Mixtos(ミクスト)
アガベを51%以上、他に砂糖やブドウ糖などを使用したテキーラ
アガベの比率が多いプレミアムテキーラはショットではもったいないほど味わいに優れたテキーラとして近年注目されています。
では続いて樽熟成の段階によって分けられる以下の5種類を紹介します。熟成させなければシャープな味と香りを、樽熟成させれば樽の香りやコクを感じることができます。好みによって好きな種類を選んでみてください。
ブランコ(Blanco)
シルバー(Silver)とも呼ばれます。樽熟成をせず、無色透明。熟成させたとしても期間が60日以内ならブランコを名乗れます。
ホーベン(Joven)
オロ(Oro)とも呼ばれます。ブランコと樽熟成させたテキーラをブレンド。又はカラメルでブランコを着色したもの。
レポサド(Reposado)
ゴールド(Gold)とも呼ばれます。2か月~1年以内の短期熟成のもの。樽の材質やサイズに制限なし。
アネホ(Anejo)
オーク樽で最低1年以上熟成させたもの。樽のサイズは600L以下に制限あり。
エクストラ・アネホ(ExtraAnejo)
オーク樽で最低3年以上熟成させたもの。樽のサイズは600L以下に制限あり。
テキーラの銘柄
テキーラには非常に多くの銘柄があります。銘柄それぞれに特徴があるので好みに合わせて選んでみてください。以下でテキーラを代表する人気の主要銘柄を紹介します。
ホセ・クエルボ(Jose Cuervo)
創業200年以上の歴史を誇る、名実ともに世界のトップブランドが「ホセ・クエルボ」です。独自のブランドである「1800」も展開しています。
もっとも古いテキーラの銘柄として知られており、テキーラの世界はクエルボに始まりクエルボに終わるといっても過言ではありません。テキーラ初心者はまずこの名柄から始めてみましょう。
サウザ(SAUZA)
メキシコが独立した年に創業したサウザ。上述したクエルボとは婚姻関係で親戚となっており、クエルボと並んでテキーラ業界の重鎮として知られる銘柄です。
クセのない爽やかさとキレが特徴のシルバーが人気です。
パトロン(PATRON)
プレミアムテキーラのNo.1ブランドとして注目を集めているパトロン。プレミアムテキーラを選ぶなら外せない銘柄です。
「テキーラは罰ゲームのイッキ飲み用」としか思っていない人は、是非パトロンのテキーラを飲んでみてください。きっとテキーラに対する考え方が180度変わるでしょう。
テキーラの飲み方
日本ではショットで一気に飲んだ後にライムをかじるのが一般的な飲み方となっています。
「食塩を舐め、ライムを口に絞りながら飲む」のが正統な飲み方となっており、他にもそのまま飲んだりカクテルして使用することもあります。
特に近年注目されているアガベ100%のプレミアムテキーラは、味や香りをしっかり楽しむ為にワイングラスのように口の広いグラスを使用するケースも増えています。