焼酎の作り方(製造工程)について
焼酎が好きな方にとっては普段当たり前のように飲まれている焼酎ですが、一体どのような工程を経て作られているのかということを詳しく知っているという方はそこまで多くはないでしょう。
ここではそんな焼酎の一般的な製造方法を紹介していきます。作り方を知ることによって、焼酎選びや味わいにも新たな楽しみを見つけてみてはいかがでしょうか。
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焼酎の製造工程
焼酎の製造方法は大きくわけて、「もろみ取り焼酎」と「粕取焼酎」の二つの製造方法に分けることができます。もろみ取り焼酎は、麹に水と酵母を加えてもろみを作り、そこに主原料を混ぜた後に蒸留し熟成したものです。
粕取焼酎は、日本酒を作る際に出来る酒粕をセイロ式蒸留器で蒸留して造るものとなっていますが、現在は前者のもろみ取り焼酎の方が主流となっておりここでは、もろみ取り焼酎について解説していきます。
製麹
焼酎造りの中でもこの製麹、すなわち麹造りは最も大切な工程の一つであると言えるでしょう。まずは米を水で洗い、水に水分を含ませてから水切りし蒸します。ここに麹菌を散布し、菌を繁殖させるのが製麹と呼ばれる工程です。
一次仕込み
製麹によってできた麹に、水と酵母を加えて酵母を大量に培養するのが「一次仕込み」と呼ばれる作業です。二次仕込みの際に必要となる酵素、またはもろみが腐らないためのクエン酸の溶出を目的として行われます。
この作業は温度管理が非常に重要なるため常に監視を続ける必要があります。30℃以上になると酵母が弱り、二次仕込みの際にもろみが腐りやすくなってしまうためです。これにより酒母とよばれる一次もろみが出来上がります。
二次仕込み
一次仕込みで作られた酒母(一次もろみ)に、水洗いして蒸した主原料(芋焼酎なら芋、米焼酎なら米など)と水を加えて発酵させていきます。一次仕込みで作られた酒母がアルコールを作り出していきます。
ものによって変わりますが、概ね約一週間から三週間程度かけて発酵させ、アルコールと主原料の香りを漂わせる芳醇なもろみが出来上がります。ここでも30℃以上の温度はアルコール発酵を阻害するため厳重な温度管理が必要となります。
蒸留
二次仕込みによってできたもろみを単式蒸留器で蒸留していきます。この時蒸留の初期の段階で出るアルコールは非常に度数が高く、「初垂れ(はなたれ)」と呼ばれています。徐々にそのアルコール度数は下がっていき、10度以下程度になると終了です。
この最後に溜出してくるアルコールのことを「末垂れ(すえだれ)」と呼び最終的にはアルコール度数40度前後の焼酎の原酒が出来上がりますが、この時の原酒は焼酎油で白濁しているので油を分離する作業を行います。
貯蔵・熟成
蒸留が終わったばかりの焼酎の原酒は、まだ蒸留後特有の匂いが残っています。そのため、焼酎がもつまろやかさを出すためには、ある程度の貯蔵や熟成の期間が必要となります。
どのような容器に入れて貯蔵熟成するかは銘柄によって異なり、主にかめ、ステンレス、ほうろうのタンクなどで行われることが多くあります。黒糖焼酎の場合ここでカメではなく樽熟成を行うとラム酒のような雰囲気となり、麦焼酎の場合は樽熟成を行うことでウイスキーのような風合いとなります。
仕上げ・製品化
ある一定の貯蔵・熟成期間を経てまろやかになった焼酎ですが、まだ完成ではありません。ここから原酒を組み合わせたり、加水することによって味の調整を行います。その後瓶詰めされて完成となります。
焼酎と泡盛の製造工程の違い
焼酎と泡盛は同じものか違うものか。日本の酒税法上、泡盛は焼酎と同様に単式蒸留焼酎に分類されています。しかしこの二つには製造方法に大きな違いがあるので確認しておきましょう。
麹米の違い
いわゆる一般的な焼酎の麹米は、ほとんどが日本米を使用するのに対し、泡盛を製造する際に使用する麹米はタイ米です。これは日本米に比べて温度管理が容易で糖質が多いのが理由となっています。
麹菌の違い
続いて使用する麹菌の違いです。本格焼酎などが製麹の際に使用するのが白麹菌なのに対して、泡盛を製造する際には伝統的に黒麹機が使用されます。黒麹菌はクエン酸の溶出量が多く、雑菌が繁殖を抑えてくれることが目的とされています。
仕込み方法の違い
焼酎と泡盛の製造方法における最も大きな違いがこの仕込み方法の違いでしょう。まず、一般的な焼酎では酵母を培養するための一次仕込みという工程があり、そこでできた一次もろみに主原料を加えます。
しかし泡盛の場合には原料となる米をすべて麹にして仕込みを一度に行い、二次仕込みを行いません。これを全麹仕込みといい、二次仕込みの際にもろみが腐敗してしまうことを防ぐために行っているといわれています。