焼酎の種類(甲類・乙類・混和)について
普段何気なく口にしている焼酎には、「甲類」や「乙類」といった種類があるのを御存じでしょうか。これらは日本における税法上の区分ということが言えますが、それぞれに特徴や違いがあります。
普段楽しんでいる焼酎がどの区分に入るのか、またどの区分の焼酎が、どのような特徴を持っているのかなどの知識があれば、焼酎をより楽しめるかもしれません。ここではそんな焼酎の種類について解説していきます。
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焼酎甲類とは?
まずは焼酎甲類と呼ばれるものです。こちらは糖蜜を原材料とした発酵液を使い、連続蒸留器で蒸留して造った焼酎です。高純度のエタノールに加水してアルコール度数を調整します。
連続蒸留器を使うことが焼酎乙類との最も大きな違いとなっています。何度も蒸留を行うことによってアルコールの純度が上がる為、原料が持つ風味や特徴が失われる代わりに、クセの味わいとなるため、お茶などの割りものに向いています。
甲類の原料
芋焼酎や米焼酎など、原料によって名前の分類される焼酎乙類と違い、焼酎甲類はその原料が何かわかりにくいとも言えるでしょう。そんな中2007年より実施された「連続蒸留焼酎(焼酎甲類)の表示に関する自主基準」によって原材料の表示がされるようになってきています。
これら焼酎甲類の原材料として最も使われているのは糖蜜でしょう。糖蜜は砂糖を原料から精製する際に出来るものであり、サトウキビ糖蜜などがよく使用されます。またコーンも多く使われることがあり、焼酎甲類の原料の多くが、サトウキビの糖蜜やトウモロコシとなっています。他にも、大麦やタピオカなども原材料として使用されることがあります。
サトウキビは糖質を含んでいるため、直接発酵させてもろみを造ることが可能ですが、トウモロコシや大麦などは糖質を含まないため、麹菌などによってデンプンを糖化させてから発酵し、もろみをつくった上で連続蒸留を行います。
焼酎乙類とは?
続いて焼酎乙類です。こちらや米、麦などを原料としてつくられ、主原料(芋、米、麦)などが加えられた上で単式蒸留器を使用して蒸留されます。
甲類と違い単式蒸留器は一度だけの蒸留となっているため、アルコール以外にも香味成分がしっかりと抽出されることになります。それによって使用した原料の風味や味わいがしっかりと残り、ストレートやロック、水割りで飲んでもその味わいを楽しむことが可能です。
主原料の味わいが色濃く残ることから、その原料には様々なものが使用されます。サツマイモ、米、麦などが有名なところとなっていますが、それ以外にもそば、黒糖、栗、ジャガイモなども主原料として使用されます。
本格焼酎という呼称
「焼酎甲類、乙類」という表記や呼称から、焼酎乙類は甲類に劣るという勘違い、誤解を生むことを恐れた江夏順吉によって本格焼酎という呼称が提唱され、焼酎乙類は本格焼酎の呼称を用いることが可能となりました。
しかし本格焼酎の定義があいまいであったことから、本格焼酎と名乗るためにはいくつかの基準を満たさなくてはならないことが2002年の省令改正によって決められました。
その後の2003年は空前の本格焼酎ブームが巻き起こり、日本酒の出荷量を50年ぶりに上回るなどの結果になりました。
混和焼酎とは?
連続式蒸留器によって蒸留される焼酎甲類と、単式蒸留器によって蒸留される焼酎乙類をブレンドしたものが、この混和焼酎と言われるものです。そのブレンド割合によって名称が変わることが日本酒造組合中央会、日本蒸留酒酒造組合の自主基準によって定められています。
焼酎乙類の割合が5%以上50%未満の焼酎に関しては「甲乙混和焼酎」、焼酎乙類の割合が50%以上95%未満の場合には「乙甲混和焼酎」となっています。
その他の焼酎について
これまで挙げた焼酎が含まれる場合もありますが、基本的な原材料以外を利用した焼酎が造られるようになっており、それらを「その他の焼酎」と分類する場合もあります。
甲類焼酎に関しては、一般的な主原料とされる糖蜜や麦などの穀類以外のものを使用したもの、乙類に関してはさつま芋、米、麦以外を使用したものがこれに該当し、そば焼酎などが有名と言えるでしょう。
また甲類、乙類、混和焼酎に果汁やエキスを加えてしそ風味にするなど、リキュールのような焼酎も広まっていると言えるでしょう。