奥が深い人気のお酒!梅酒の歴史や種類について
居酒屋や酒屋に行くと大抵目にすることがある梅酒ですが、その飲みやすさから注文あるいは購入される方は多いのではないでしょうか?特に女性が好んで飲むことが多いお酒としても有名です。
しかし、その飲みやすさから口にすることが多いのに、梅酒がどのようなものなのか、どのような歴史を持つのかご存知ない方は意外にも多いです。そこでこちらでは奥が深い人気のお酒である梅酒の歴史や種類についてご紹介していきます。
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梅酒とは?
梅酒とは名前の通り、梅を使ったお酒です。しかし、どの梅でもいいわけではありません。成熟した梅ではなく、6月頃に収穫される青梅を使用します。この青梅をホワイトリカー(甲類焼酎)や本格焼酎、ブランデーといった蒸留酒に漬けることで作られる混成酒類の1種を指します。
ただ使用する種類としてはこれだけでなく、日本酒やワインといったものに漬けられた味わい深い梅酒も存在します。梅酒は近年、家庭でも手軽に作ることができる健康酒として注目されており、商品としても様々なものが販売されるようになりました。
>>手作り梅酒の作り方と注意点やアレンジ方法について詳しくはコチラ
本格梅酒とは?梅酒との違い
本格梅酒というものを聞いたことはあるでしょうか?
先述したように近年、健康酒として認識されるようになった梅酒の需要の高まりにより202年から2011年にかけての生産量が約2倍になるほどの人気ぶりに伴い、その製品の種類は一気に膨れ上がりました。
その需要による弊害も発生したのです。梅酒はそれまで特に区分がなく、梅を漬け込まず、酸味料や香料、着色料といった添加物で梅の味に似せて作られた商品も梅酒と記載されていました。
しかし近年の健康志向から、添加物の危険性が問題視されたこともあり、添加物に頼らず、梅の実だけから作るものを「本格」派、つまり本格梅酒と表記するようになったのです。
この2015年に日本洋酒酒造組合が規定した新基準の制定により、類似品との区別がつきにくいという課題を解消し、梅・糖類・酒類のみを原料とした無添加の梅酒を「本格梅酒」、酸味料など添加物を加えて作られたものを「梅酒」と分けるようになりました。
あくまで自主基準ですが、梅酒を購入の際は、必ず記載されている表記をご覧の上、購入することをおすすめします。
梅酒の歴史
梅酒を知る上ではその誕生と歴史についても触れておく必要があります。
梅酒の起源は実に古く、江戸は元禄時代にまで遡ります。1697年発刊の「本朝食鏡」という文献に「梅酒」の製造方法が、記載されていることから、梅酒の存在はそれ以前からあったと推測されています。
そのため明確に誕生の表記こそありませんし、いつから飲まれるようになったかなど詳細は不明となっていますが、この当時、梅酒の製造に必要な砂糖は貴重品であったことから、一般的に流通するようになったのは、まだ先の話だとされています。
一般家庭での製造
江戸時代後期になり、保存食や家庭薬として梅が利用されるようになり、各農家でも梅の植樹が始まりました。しかしご存知の通り、梅は収穫してもそのまま食することができません。そのため梅干や梅酒といった加工を行って保存したと言われています。
つまり、梅酒の普及は製品としてではなく、保存用の飲料として一般家庭で作られたことにより、家庭で飲まれるようになったと考えていただくといいでしょう。
余談になりますが、「梅干にカビが生えると縁起が悪い」という言葉を聞いたことはないでしょうか?梅干は元来、塩に漬け込むことからカビは生えにくいのですが、それでも保存の方法など気を付けないとやられてしまうこともあります。
この言葉が生まれたのも、それまで医療や衛生管理が発達していなかったことから、梅干が食べられなくなることを恐れて生まれたという説もあります。梅酒も同様に、アルコールに漬けてあることから、細菌の影響は受けにくく、梅干とは別の保存方法として確立していったとされています。
また当時の農業書である広益国産考には「梅を植えて農家の利益を上げることについて」という項目がり、その多くは自家用としてはもちろんのこと、副業としての梅の栽培及び加工販売を強く奨励していたことが伺えます。
製造の禁止と梅酒のブーム
あくまで一般家庭の梅の保存及び飲用として用いられてきた梅酒ですが、時代の移り変わりとともに転機が訪れます。それが酒税法の改正による家庭での梅酒造りの禁止です。家庭で梅酒を作ると、違法に当たるとして梅酒は一気に一般的な酒類ではなくなったのです。
そんな中、1914年に大阪南部でその気候や土壌を活かしたブドウ栽培をはじめ、葡萄酒造所を創業した会社がありました。その酒造所は1959年に梅酒の製造を開始し、商品の販売し始めたのです。
その3年後、再び酒造法が改正されたことにより家庭での梅酒造りが認可されたことで、梅酒をはじめとした果実酒のブームが起こり、その時販売されていた梅酒も脚光を浴びることとなったのです。それにより、今や一大梅酒メーカーとして名を馳せることとなったのが「チョーヤ」なのです。
この法律の改正と、ブームによって梅酒は再び人々の身近なお酒として認知されるようになったわけです。
梅酒の製造方法
お気づきかとも思いますが、機械などが発達する以前から梅酒は作られていたこと、そして家庭でも作れることからその製造方法は簡単です。
一般的な梅酒は梅の実に砂糖とホワイトリカーを適切な割合で混合して作成します。梅の実についている茎は梅酒づくりには不要なので取り除き、傷がある実も取り除いて使用します。
実をよく水洗いをした後、水気を取り、1時間ほど天日干しにして乾燥させ、雑菌の繁殖を防ぎます。アルコールに浸すとは言え、この時点で雑菌が繁殖していると作った梅酒を飲むのは危険になります。
乾燥させた梅の実と砂糖を交互に清掃な瓶に詰めていきます。この際、梅が浮いてこないように重石の意味も含めて、砂糖を一番上にすることが多いです。あとはその中にゆっくりとホワイトリカーなどを注いで密栓し、冷蔵庫や冷暗所などで保存します。
梅酒に使われるお酒
上記ではホワイトリカーをご紹介しましたが、これは一般的に使われるだけであり様々なお酒が梅酒に使われています。
焼酎甲類などのホワイトリカーが主に使われるのは無味無臭であるため、梅と砂糖を漬け込んだことによる香りや甘味をそのまま楽しむことができるためです。ホワイトリカーは蒸留酒であり、同種のものから、無味無臭無色透明の「ウォッカ」が代用されることもあります。
また最初にもご紹介した通り、無味無臭ではないですが以下のお酒も使用されます。
- 本格焼酎
- ブランデー
- ウイスキー
- ジン
- ラム酒
- 泡盛
これらは無味無臭ではないものの、蒸留酒であることからホワイトリカー同様に梅酒を作ることができます。それどころか、それぞれのお酒が持つ香りや味と梅とのマッチを楽しむ方もみえます。
基本的には旨味を出すために長期間の熟成が必要となることもあり、衛生面の観点からもアルコール度数が35%以上のものを望まれるため、蒸留酒が適しているとされています。しかし、一部ではアルコール度数の低い「日本酒」や「ワイン」といった醸造酒で作られているものもあります。
しかし一般家庭では腐敗やカビの発生に注意を払わなければならず、酒税法にも抵触する恐れがあるため、使用は避けられる傾向にあります。
工場や酒造所での衛生管理が行き届いた場所であれば、製造も可能ですがそれでも注意をしなければいけないことに変わりはありません。
梅酒に使われる梅
梅酒に使われている梅は青梅とご紹介しましたが、梅の中にも種類があり、様々なものが梅酒に使われています。メジャーなものであれば南高梅ですが、その他以下のような梅も使用されます。
- 古城
- 白加賀
- 鶯宿
- 豊後
- 竜峽小梅
- 林州
- 玉英
- 梅郷
もちろんこれ以外も使用されていますが、その一部でも有名なものを挙げさせていただきました。これらの共通の特徴は果肉が厚く、種の小さい酸味が強い品種であることです。
これらを黄色く熟す前の青梅の状態で使用されるのが一般的ですが、一部では熟した梅を使用して独特の香りを付けたものも販売されています。
梅酒に使われる糖
梅酒には一般的に氷砂糖が使用されていますが、他にも蜂蜜、黒糖、果糖も使用されています。これらは溶解が比較的緩やかとなっており、その特徴が梅酒づくりには必要な砂糖の要素とされています。
これは糖が溶け出す前に浸透圧差によってお酒、ひいてはエタノールを吸った梅から糖が溶け出した後に浸透圧が高まったお酒にその成分を放出するためと言われています。
梅がエタノールを吸収する前に急速に糖を溶かしてしまうと、浸透圧の影響で梅の水分だけが溶け出してしまい、梅に含まれる旨味エキスなどの成分が梅酒内に放出されないとされているため、美味しい梅酒を作ることができません。
また大粒の氷砂糖は粉体のものより徐々に溶解することから攪拌の必要がなく、徐々に砂糖の濃厚部分が底部に滞留することを避ける効果があるともされています。
最初から糖を溶かした酒を使うという発想もあるかもしれませんが、これは梅の実が硬くなってしまい、梅の成分が抽出できないことから、論外とされています。
梅酒の種類
さて、先ほど梅酒で使うお酒の種類をご紹介しましたが、それぞれベースとするお酒によって、梅酒自体も種類を分けることができます。またベースに限らず使用する砂糖によっても分類されますが、こちらではお酒による分類についてご紹介していきます。
ホワイトリカーベースの梅酒
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ホワイトリカーベースは無味無臭であることから、梅本来の香りや砂糖による甘味をしっかりと感じることができる仕上がりになっています。また一緒に他の果実などと漬け込んでいる場合は、それらの香りや味も感じられるこのとなっています。
本格焼酎ベースの梅酒
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本格焼酎ベースのものは、梅の香りや甘味に加えて、焼酎の原料となったものの風味も感じられる仕上がりになっています。また焼酎自体のアルコール度数が高めであることから、出来上がった梅酒自体もややアルコール度数は高めとなります。
日本酒ベースを梅酒
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日本酒ベースのものは、元々アルコール度数が低い日本酒を使用してることもあり、しあがった梅酒自体もアルコール度数は低めであり、全体的には甘さが控えめなものが多いのが特徴となっています。
ブランデーベースの梅酒
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ブランデーは元々香り高いと言うこともあり、出来た梅酒は、梅の香りだけでなく、ブランデーのまろやか豊かな香りを楽しめるものとなっています。商品数としてはそこまで多くはないものの、高い評価を得ている商品が多いのも特徴です。
その他の梅酒
ワインや泡盛といったものがベースのものはその他に分類されます。また先述の糖の違いにより、黒糖を使ったもの、あるいは炭酸が入ったスパークリング系のもの、あるいはヨーグルトなど変わったものを原料にしたものもここに分類されます。
上記の一般的な梅酒も美味しいのですが、素材を少し変えただけで全く違った表情を見せてくれるので、いつもとは異なる梅酒を楽しめます。
梅酒の人気メーカー
それでは最後に梅酒の人気メーカーをご紹介しておきましょう。先述したチョーヤをはじめ、梅酒には様々な人気メーカーが存在します。そちらの一部を一覧にさせていただきました。
銘柄 | 特徴 |
チョーヤ (CHOYA) |
超有名銘柄 コスパが非常に良い |
梅乃宿酒造 | 人気銘柄 上品な甘さが特徴 |
九州酒匠乃一座 | 定番銘柄 バラエティ豊富 女性が飲みやすい梅酒が多い |
中野BC | 有名銘柄 本格的な梅酒からユニークな梅酒まで多数 |
明利酒類 | 大人気銘柄 百年梅酒シリーズが非常に有名 |
八木酒造 | 個人的におすすめ 上品な甘さが特徴 コスパが良い |