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美味しさが変わる!海苔の収穫時期や方法と新海苔について

海苔の収穫時期や方法

お店に行くと季節を問わず美味しい海苔が販売されています。こうした販売状況から、海苔の収穫は年間を通して行われていると考える方もいるでしょう。しかし実は、海苔は1年の中で限られた時期にしか収穫できません。

海苔の収穫は寒くなってくるとはじまり、冬の間が最盛期となります。新海苔と呼ばれる海苔の販売が開始されるのも冬の時期で、食感や風味に優れた新海苔は家庭用だけでなく贈答品としても人気となっています。

今回は海苔の収穫時期や方法と新海苔について、美味しさの違いも踏まえてご紹介します。

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海苔の収穫時期

海苔の収穫時期

海苔は地域によって差はありますが早い地域では10月の下旬頃から、遅い地域でも12月の上旬頃から収穫が始まります。収穫期間は年を越して3月から4月頃まで続き、収穫のピークは12月から2月頃となっています。

地域によって収穫時期に差がある理由の1つが、海水温です。海苔の収穫の際には海水温が13度程度まで低くなることが条件とされており、海水温が下がるのが早い地域では収穫が始まるのが早く、海水温がなかなか下がらない地域では収穫が始まるのも遅くなります。

日本の主な産地ですと宮城県は海苔の収穫が始まるのが早く、瀬戸内海は海水温が高いため海苔の収穫は12月頃となっています。

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海苔の収穫時期と美味しさの関係

海苔の養殖に用いられる網には秋芽網冷凍網という2種類の網が存在します。2つの違いを簡単にまとめると以下のようになります。

  • 秋芽網:種付け後そのまま育成した海苔網で、収穫時期の最初に収穫される
  • 冷凍網:種付け後に冷凍しておいた海苔網で、秋芽網の収穫が終わった後に海に張り収穫される

どちらの海苔網も収穫は数回行われるのですが、回数を重ねるごとに海苔は硬くなってしまいます。そのため、網から最初に収穫された海苔が柔らかな食感で美味しいとされており、「初摘み」という名前で呼ばれています。

10月下旬から12月上旬頃の秋芽網から最初に収穫が行われる時期と、12月から1月下旬頃の冷凍網からの収穫が最初に行われる時期に採れた海苔が美味しいとされています。

秋芽網と冷凍網の初摘みが店頭に並びだす時期は、その年の気候などによって多少ずれが生じますが12月から1月下旬頃となる年が多く、秋芽網の初摘みはお歳暮でも人気です。

網の違いによる美味しさの違いに関して、冷凍網が海に張られる時期は海水温も下がり海苔の生育に適した環境となるため、味わいは冷凍網の方がよいという評価もあります。ただ、美味しいかどうかは好みにもよると思いますので、気になる方は食べ比べてみるのをおすすめします。

新海苔とは?

秋芽網から最初に収穫された海苔は「新海苔」という名前でも呼ばれます。新海苔は柔らかな食感で口溶けもよく、海苔本来の甘みが感じられる味わいと豊かな磯の香りで人気となっています。お歳暮の時期にも間に合うので、贈答用の海苔をお探しの方にもおすすめです。

海苔が好きな方の中には毎年新海苔の時期を楽しみに待つ方も多く、お店によっては入荷後早い段階で売り切れてしまうこともあるようです。新海苔を食べてみたいという方は、12月初旬頃から出回るのでチェックしてみてください。

新海苔はその年の海苔で初めに収穫されたものなので、海苔の出来の指標にもなります。色々な産地の新海苔を食べ比べてみて好みの味わいの産地を見つけておくと、次から購入する海苔を選ぶ際の目安にもなるでしょう。

新海苔を美味しく食べるには、食べる前に軽く炙るのがおすすめです。湿気がとんでパリパリとした食感になるだけでなく、炙ることで風味が増し香りと旨みがより強く感じられます。焦がさないように注意し、魚焼き器やフライパンをコンロの上に載せてさっと炙ってください。

海苔の収穫方法

海苔の収穫方法

続いて海苔の収穫に至るまでの過程を、簡単にご紹介します。海苔の収穫時期は海水温の低くなる冬ですが、いきなり収穫できるわけではないですから育てる期間があります。

海苔の栽培は1949年にイギリス人の藻類学者のドリュー女史が、海苔の夏の過ごし方を発見したことをきっかけに発展しました。そういった歴史も踏まえつつ、海苔の栽培から収穫までの方法を学んでいきましょう。

STEP1:海苔の種づくり

海苔は植物のように種まきをするのではなく、種を作るところから始まります。海苔の種は胞子が糸のような形となった糸状体から作られるので、糸状体をきちんとした環境で育てなければなりません。

糸状体は貝殻の中で生育するので、主に牡蠣の貝殻が使用されています。ドリュー女史の発見した海苔の夏の過ごし方というのが、この糸状体が牡蠣の殻の中で過ごすことでした。

種づくりは海水を満たした水槽で行われ、5月頃に水槽に牡蠣の殻と糸状体を入れ殻の中に糸状体をもぐりこませます。海水を交換しながら糸状体を育てていくと、8月頃には真っ白だった牡蠣の殻が海苔の胞子で覆われ黒い色へと変わっていきます。

STEP2:海苔の種付け

海水の温度が下がる9月の中旬から10月の上旬になり糸状体から海苔の種に相当する殻胞子が出ると、採苗という海苔の種付け作業が行われます。採苗にはやり方が2種類あるので、簡単にご紹介します。

  • 陸上採苗:牡蠣殻糸状体を入れた水槽の上に網を張り、水車で回転させながら種付けをする
  • 海上採苗:海に30枚から35枚ほどの網を重ねて張り、その下に糸状体のついた牡蠣の殻を入れた落下傘という袋を吊るす

海上採苗は、台風や残暑などの影響を受けやすいため、現在は陸上採苗が主流とされています。ですが、日本を代表する海苔の産地有明海では海上採苗の方が多くなっており、海上採苗も使用されなくなったわけではありません。

STEP3:海苔の発育

10月に種付けが終わると種付けした海苔網を海に張り、網全体に海苔が広がるまで育成する育苗へと移ります。育苗期間には珪藻などの付着を防ぐことや健康な海苔芽へと育てることを目的とし、海苔網を空気に触れさせ乾燥させる干出という作業も行われます。

育苗した海苔網はそのまま養殖を行う秋芽網と冷凍して後に使う冷凍網に分けられ、秋芽網の生産が始まります。

養殖方法は水深の浅い場所で行う支柱柵養殖と水深の深い場所で行う浮き流し養殖の2種類があり、それぞれの養殖方法を行っている代表的な産地を以下にまとめておきます。

  • 支柱柵養殖:有明海(佐賀県、福岡県など)
  • 浮き流し養殖:瀬戸内海(兵庫県、香川県など)

STEP4:海苔の摘み取り

海苔が20センチ前後まで育つと海苔を摘み取る作業、摘採となります。収穫時期は地域によって差はありますが、早い地域では10月の下旬頃、遅い地域でも12月の上旬頃には始まるとされています。

海苔の収穫は夜明け前や早朝の暗い時間に行われます。日中になると海苔が光合成を行い細胞が活発になるため、細胞中に蓄えられていた養分が少なくなってしまうことが夜に摘み取る理由と言われています。

1度収穫した後も海苔芽が伸びてくるとまた収穫が可能となり、秋芽網から数回収穫した後は冷凍網を海に張り収穫へと移ります。こうして摘採は年をまたぎ4月から5月頃まで続きます。

STEP5:海苔の加工や出荷

摘採した海苔は陸の加工場へと運ばれます。加工の工程を簡単にまとめると以下のようになります。

  1. 洗浄
  2. 裁断
  3. 濃度調整
  4. 抄き、脱水、乾燥、剥ぎ

作られた海苔は1帖(10枚)ずつ重ねて折り曲げ機で折り、10帖を1束にし結束機でまとめ、36束ずつ箱につめ漁業協同組合の検査場へと出荷されます。検査場では海苔の品質によって等級がつけられ、等級のついた海苔は出荷され入札会で業者によって落札されます。

加工は12月から4月頃まで続き、海苔の収穫の盛んな12月から2月頃は加工場も最も忙しい時期となっています。

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