ブランデーとは?味・歴史・製法について
ブランデーがどんなお酒なのか知らない人は意外と多いのではないでしょうか?なんとなく高級そうなイメージがあるものの、ウイスキーと何が違うの?と思っている人も少なくないようです。製法こそ似てるもののウイスキーとはまったく違うお酒ですし、意外と飲みやすいお酒として人気があります。
ここではそんなブランデーの味や歴史、製法などについて紹介していくので、これを機会にブランデーがどんなお酒なのか学んでしまいましょう。
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ブランデーとは?
ブランデーとは果実酒を蒸留して作られるお酒です。語源は「焼いた(蒸留した)ワイン」という意味の「burnt wine」であり、ブランデーを世界に最初に広めたオランダの商品はブランデヴァイン(Brandewijn)と呼んでおり、後にイギリスで英語の訛りによってブランデーになったとされています。
ちなみにフランスではブランデーと呼ばれることはあまりなく、オー・ド・ヴィー(いのちの水)と呼ばれています。日本においては明治時代の辞書に葡萄地酒と訳されています。
ブランデーの原料
果実酒を蒸留して作られるお酒がブランデーですが、原料は主に白ぶどうが使われているブランデーが多いです。通常ブランデーというとぶどうを使用して作られたワインを蒸留したものを指します。
しかし、ぶどう以外にも、りんごやさんらんぼを原料としたアップルブランデーやチェリーブランデーなどもありますし、中にはぶどうの絞り粕を原料とした「グラッパ」や「マール」という種類のブランデーもあります。
ブランデーの味
主にぶどうなどのフルーツを原料をするブランデーですが、飲むとほのかな甘みを感じることができます。甘みというよりはまろやかな口当たりと言ったほうが正しいかもしれません。もちろん蒸留酒特有のアルコール感もあります。
フルーツを原料にしていてもぶどうやりんごの味がするわけでなく、フルーツの香りを楽しむことができるのがブランデーの魅力です。ブランデーは特に香りを楽しむ為のお酒といっても過言ではないので、味よりもフルーツの香りや風味を味わえるお酒として親しまれています。
芋焼酎を飲んだ時の"イモ感"の代わりに、ブドウやリンゴなどブランデーの原料に使用した果実の香りや風味を感じられるといった具合です。
ブランデーのアルコール度数
ブランデーのアルコール度数は37度~50度程度であり、お酒の中ではアルコール度数が高めです。しかし同じ程度のアルコール度数のウイスキーと比べると、まろやかな口当たりや甘い香りによってアルコール度数のわりに比較的飲みやすいお酒です。
ブランデーは、がぶがぶ飲むようなお酒ではないので、アルコール度数が強めなのもありますが、香りを楽しみつつ少しずつ舐めるように飲むことをお勧めします。
ブランデーの歴史
7世紀頃からスペインでワインを蒸留していたといわれていますが、文献に登場するのは13世紀です。スペイン人の錬金術師・医者であるアルノー・ド・ビルヌーヴが、ワインを蒸留したお酒を気つけ薬として使用していたと記録されています。
16世紀~17世紀、ヨーロッパは寒波に見舞われ、ワインの品質が落ちてしまいます。主にオランダ人が輸入していたフランス・コニャック地方のワインも品質が下がってしまい、長い輸送時間によって酸っぱくなってしまうことが頻発してしまいます。
それの対策としてワインを蒸留して輸送することになったのですが、これが意外と美味しいと評判になり普及していくこととなります。これだけでなく、フランスの税制改定でアルコール度数に関係なく量に対して酒税がかかるようになったことによって、少量で税金が安く輸送にも優れたお酒として発展していくこととなります。
本格的に産業として発展したのは17世紀半ばであり、ブランデーに適したワインを作ることができるコニャック地方は銘醸地として有名になっていきます。ちなみにブランデーの名称においてコニャックやアルマニャックという名称は、1909年以降は法律で厳しく規制されており、該当地方以外で作られたフランスのブランデーはフレンチブランデーとしか名乗ることができないようになっています。
ブランデーの製法
良質なぶどうを使ってワインを醸造し、蒸留器で蒸留させたあと樽に入れて熟成させることによって完成します。
使用されるぶどうはワインで使用されるような糖分の高いものは必要なく、有害微生物の繁殖を抑える為に酸味の強いぶどうが求められます。それによって雑味のない繊細な味わいを作り出すことができます。
ウイスキーの製法と似ていますが、基本的にブランデーは貯蔵を樽のみに限っているのが特徴です。通常は3年~5年ほど樽で熟成されますが、中には20年や30年、50年以上も熟成させるブランデーもあります。
ウイスキーとブランデーの違い
よくウイスキーとブランデーは何が違うのか?という質問を目にします。製造方法はブランデーとウイスキーは似ていますが、なにが違うかというと単純に原料が違います。上述した通り、ブランデーはぶどうなどのフルーツが原料です。しかしウイスキーは大麦やライ麦などの穀物を原料としています。
ブランデーの種類
ブランデーはグレープブランデーとフルーツブランデーに大別することができます。ブランデーというと一般的にはグレープブランデーのことを指しており、種類としては
- コニャック
- アルマニャック
- マール
- グラッパ
などが挙げられます。コニャックやアルマニャックは聞いたことがある人も多いのではないでしょうか。ブランデーの銘醸地として有名なフランスの地方です。
フルーツブランデーにも多くの種類があります。主な種類としては
- カルヴァドス
- キルシュヴァッサー
- フランボワーズ
などが挙げられます。特にカルヴァドスはりんごを原料にしたブランデーとして知名度・人気共に高い種類ですし、さくらんぼを原料としたキルシュヴァッサーも有名です。
ブランデーの等級
ブランデーには熟成年数を表す等級があります。厳密には熟成度合いを表す表示なので等級ではありませんが、便宜上わかりやすいので等級と説明させてもらいます。
ブランデーの等級は製造している国やメーカーやブランド、コニャックやアルマニャックなどの種類によって異なるので、同じ等級でも違いがある場合があります。主に以下の等級が挙げられます。
- V.O.
- V.S.O.
- V.S.O.P.
- X.O.
- ナポレオン
- Hors d'âge
コニャックやアルマニャックは熟成年数によって厳しい基準で等級が決められていますが、コニャックやアルマニャック以外のブランデーはこの基準に該当しません。そういう理由からコニャックやアルマニャックではないブランデーに上記の表示がされていても、熟成年数などが同じとは限らないので注意が必要になります。
以下のリンクからブランデーの等級について詳しく解説しているので、気になる人はチェックしてみてください。