中国の花茶の種類や美味しい入れ方
お茶の発祥の地と言われる中国は、地域によって様々なお茶文化が育っており、数百種類とも言われるお茶が楽しまれています。そのお茶を発酵度によって大きく6つに分けられており、その分類に当てはまらない「花茶(ホアチャ)」を足して7大茶と言われています。
その1つである「花茶(ホアチャ)」は、茶葉に花の香りを付けたお茶であり、様々な種類がある香り高いお茶です。そんな花茶(ホアチャ)の特徴やおすすめについてご紹介します。
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中国茶の種類【花茶(ホアチャ)】とは?
花茶(ホアチャ)とは、茶葉に花を混ぜるなどして花の香りを茶葉に移したお茶です。そもそもは安価な茶葉に花の香りを映して付加価値を高めるために生まれたと言われていますが、茶葉と花の間に薄紙を挟み、何層にも重ねて香りを移して作られる手間のかかる高価な花茶(ホアチャ)もあります。
花茶(ホアチャ)に使われる茶葉が「緑茶(リュウチャ)」が一般的ですが、種類や銘柄によっては白茶、青茶、紅茶、黒茶なども使用されています。
中国茶は発酵の度合いによって、大きく6種類に分類されて「6大茶」と呼ばれていますが、現在ではこれに花茶(ホアチャ)を足して「7大茶」と呼ばれることが多いです。
>>中国茶の種類 | 緑茶・白茶・黄茶・青茶・紅茶・黒茶・花茶
花茶(ホアチャ)の歴史
花茶(ホアチャ)の歴史は古く、起源は宋の時代にまで遡ると言われています。福建省で茶葉に醤油を振りかけて作られていたお茶が花茶(ホアチャ)の起源と言われています。
しかし、このお茶は現在の花茶(ホアチャ)とは大きく異なっており、起源として認められないという声も大きいです。現在の花茶(ホアチャ)と同様の製法が始まったのは元の時代に入ってからと言われています。
古代の茶の教科書である「茶譜」には、「花弁と茶葉の割合は1対15」という記載が残っており、現在の製法に近い花茶(ホアチャ)が作られていたことが分かっています。
当時は交通手段が発達しておらず、良質な緑茶(リュウチャ)が手に入らない地域が多く、香り付けの為に花を混ぜてお茶を飲む方法が生み出されたと考えられています。現在のような花茶(ホアチャ)が生まれたのは、清の時代に上流階級の人が楽しむようになったからと言われています。
>>中国茶の歴史
中国の代表的な花茶の種類
花茶(ホアチャ)は製法や減量によって、大きく3種類に分類されています。その種類ごとの特徴を以下に記載しますので、参考にしてみて下さい。
花弁の香りを茶葉に移した花茶
茶葉にある「香りを吸収する」という特徴を活かして、花の香りを茶葉に移した花茶です。最も基本的な花茶の種類であり、多くの花茶はこの種類に分類されます。
花弁を茶葉に混ぜた花茶
茶葉に乾燥させた花弁を混ぜた花茶です。種類によっては、花弁の香りを茶葉に移した後に、乾燥させた花弁を混ぜて作られる花茶もあります。
茶葉を使わない花茶
茶葉を使用せず、花弁そのものを煎じて飲む「ハーブティー」のような花茶です。お茶というよりは「漢方薬」として発達してきた花茶です。そのため、この種類の花茶は花茶と呼ばれないこともあります。
その他の花茶
お湯を注ぐと「花が咲く」お茶を見たことはありませんか?茶葉を加工・成形し、抽出する際に茶葉の形状の変化や花の出現を楽しむお茶を「工芸茶」または「龍須茶」と言い、これらも花茶に含まれます。
代表的な花茶の銘柄
花茶(ホアチャ)の種類は前述した通りですが、ここでは花茶(ホアチャ)の代表的な銘柄をいくつかご紹介します。花茶(ホアチャ)は非常に素類が豊富な中国茶であり、香りや味わいなどが銘柄によって大きく異なります。中国茶選びの参考にしてみて下さい。
茉莉花茶(ジャスミンチャ)
花茶(ホアチャ)の中でも最大に消費量を誇る、花茶(ホアチャ)の代表格が「ジャスミン茶」です。中国で生産・消費されている花茶(ホアチャ)の大部分を占めており、日本を始め海外でも高い人気を誇る花茶(ホアチャ)です。
その名の通りジャスミンの花で茶葉の香り付けを行った花茶(ホアチャ)であり、花冠を混ぜたものもあるなど、一口にジャスミン茶といってもいくつか種類があります。
桂花茶
有名な花茶の1つである「桂花茶」とは、キンモクセイの花の香りを茶葉に移した花茶です。ウーロン茶を使用した桂花烏龍茶が有名です。
菊花茶
乾燥させた菊の花を使った花茶が菊花茶です。基本的には花そのものを楽しむお茶ですが、プーアル茶などの茶葉を混ぜた種類もあります。花茶としても楽しまれていますが、漢方薬としても親しまれているお茶です。
薔薇茶
バラの花と呼ばれていますが、実際はバラ科の植物「ハナマス」の花が使用された花茶です。開花直前のつぼみを乾燥させたお茶であり、茶葉は使われていません。見た目の美しさとビタミンCの多さから、女性人気の高いお茶です。メイグイファとも呼ばれています。
花茶(ホアチャ)のグレードや等級
結論から申し上げると、花茶(ホアチャ)には統一されたグレードや等級という物はありません。なぜなら一口に花茶といてっも多くの種類があり、使われている茶葉の種類も様々であり、中には茶葉を使用しな花茶も存在します。
ただ、花茶の中でも最も流通量の多い「ジャスミン茶」では、グレードではありませんが、香り付けの回数や方法と、ベースとなる茶葉の等級によって種類がありますので、参考までにご紹介します。
ジャスミン茶
まず、一般的なジャスミン茶は、緑茶(リュウチャ)に良質なジャスミンの花の香りを吸着させて作られます。爽やかで香り高いのが特徴の花茶であり、日本でも親しまれています。主な産地としては中国は福建省です。
白毫茉莉花茶(ハクゴウジャスミンチャ)
厳選された緑茶(リュウチャ)に摘みたてのジャスミンの花を使って何度も繰り返し香りを吸着させ、最後に丁寧に花を取り除いて作られる高級なジャスミン茶を「白毫茉莉花茶」と言います。普通のジャスミン茶よりもピュアで爽やかな風味が特徴で、人気の高い花茶です。
白龍珠(ハクリュウジュ)
繊細な産毛が残るほどの新芽を使って丁寧に作られるジャスミン茶が「ハクリュウジュ」です。最後に手作業で真珠のような形に成形される高級茶であり、まろやかな甘みが特徴のジャスミン茶です。
花茶(ホアチャ)の美味しい入れ方
では、実際に花茶(ホアチャ)を飲む際の入れ方をご紹介しますので、参考にしてみて下さい。まず、用意してほしい物は以下の通りです。
- 茶壺(チャフー) ※無ければ急須かグラス
- 茶杯(チャハイ) ※無ければ湯呑み
- 茶盤(チャバン) ※無ければボール
基本的な花茶(ホアチャ)の入れ方は以下の通りです。
- まずは茶壺に沸騰したお湯を入れ、温めます。
- 次にそのお湯を茶杯に入れて茶杯を温め、残った湯を茶盤に捨てます。
- 茶壺に茶葉を入れます。150ccに対して4gが目安です。
- 95度以上の沸騰したてのお湯を茶壺に入れ、30秒から1分蒸らします。
- 蒸らしてる間に茶杯を温めるために入れておいたお湯を捨てます。
- 茶葉から芳醇な花の香りがし始めたら飲み頃です。 お茶の濃さが均等となる様に少しづつ注いでいきます。※茶海があれば、いったんすべて茶海に注いでから茶杯に注ぎます。
- 茶葉は繰り返し飲めます。ただ、3回目以降は蒸らし時間を少しづつ伸ばしてみて下さい。
これはあくまで一般的な花茶の入れ方です。ベースとなるお茶の種類によってはお湯の温度や蒸らし時間を調節してください。また、工芸茶などは特にお湯の温度や蒸らし時間が銘柄によって異なりますので、よくご確認ください。工芸茶は柄スポットなどの変化を見て取りやすい茶器を使う方がおすすめです。
1度は飲んで欲しいおすすめ花茶(ホアチャ)
ここまで、他のお茶には無い芳醇な香りや、見た目にも美しい花茶(ホアチャ)についてご紹介してきましたが、多種多様な銘柄がある花茶(ホアチャ)の中でも、1度は飲んでほしいおすすめの花茶(ホアチャ)をご紹介しますので、中国茶選びの参考にしてみて下さい。
白龍珠(茉莉龍珠)
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中国は福建省で主に生産されるジャスミン茶の中でも最高級と言われる「白龍珠」が一度は飲んでほしい花茶です。「茉莉龍珠」とも呼ばれる白龍珠は、産毛が残るほどの新芽の茶葉を使用し、ジャスミンの香りを丁寧に移した後に、真珠のような形に手作業で成形したお茶です。
非常に手間暇のかかった花茶であり、新芽ならではのフレッシュでまろやかな風味は普通のジャスミン茶では味わえません。ぜひ1度は飲んでほしいおすすめの高級ジャスミン茶です。
桂花烏龍茶(ケイカウーロンチャ)
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桂花烏龍茶(ケイカウーロンチャ)もぜひ1度は飲んでほしいおすすめの花茶の1つです。 「桂花」とはキンモクセイのことであり、秋に摘まれたキンモクセイの花の甘い香りをウーロン茶に移した花茶です。
キンモクセイの甘い香りとウーロン茶のすっきりとした味わいがマッチした絶品のお茶です。日本人にも愛好家が多い非常におすすめの花茶です。