下面発酵で作るラガービールの種類について
ビールを醸造方法で分類した場合、下面発酵によって醸造されるビールの種類をラガーと呼びます。現在の一般的なビールはほとんどがラガービールと言われるほど一般的なビールの種類であり、多くの人に飲まれています。
すっきりとした味わいで、爽快なのど越し、疲れた体を一気に元気にさせてくれるような、そんな多くの人に親しまれているラガービールも様々な種類に分けることができます。ここではそんなラガービールの種類について紹介していきます。
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ラガービールの種類
エールビールとは対照的に、低温(10℃以下)で長時間じっくりと発酵させるのが、ラガーと呼ばれるビールです。ドイツはバイエルン地方のビール醸造師たちが軟水、低温化においても発酵する酵母を発見し、低温長時間でビールを醸造するようになったのが始まりです。
当時は、バイエルン地方のローカルビールとして親しまれていましたが、冷蔵庫が登場するとともに世界中で一気に普及していき、ビールの主流はエールからこのラガーへと変わっていきました。日本の大手メーカーが製造するビールの種類もほとんどがこのラガービールです。
一般的には、エールに比べ低温で発酵されるため果物の香りが少なく、すっきりとした味わいとのど越しが特徴のビールと言われていますが、ラガービールにも様々な種類があるので簡単に紹介していきます。
ピルスナー
下面発酵(ラガー)のビールの種類としては最も代表的ともいうべきビールがこのピルスナースタイルです。非常にきれいな淡い金色をしておりホップの苦みが強く、炭酸がキツめであることが特徴的です。
発祥はチェコのピルゼン地方となっており、今現在、ビールの種類の中でも世界中で最も多く醸造されているタイプであると言えるでしょう。日本の大手メーカーが醸造、販売を行っているビールの大半がこのピルスナービールとなっており、日本人に最も親しまれているビールと言えるでしょう。
ジャーマンピルスナー、ボヘミアピルスナー、ドルトムンダーなどの細かい分類に分けることもでき、発祥地や醸造地の違い、アルコール度数や色の違いなど特徴が分かれています。
へレス
ドイツはバイエルン地方や、バーデン・ヴュルテンベルク州で醸造されているビールで、南ドイツにおいて多くの人に親しまれているビールの種類と言えるでしょう。へレスという言葉は淡いビールを意味する言葉からきており、色によって他のビールと分類するために用いられた名前となっています。
日本人にとって有名なへレスのブランドと言えば、「レーヴェンブロイ」となっていますが、本場ドイツのオクトーバーフェストにおいてはミュンヘン6大醸造所が作るへレスビールの中では最も低い評価とされているようです。
ピルスナーに比べて苦みが少なく、麦芽の香りがしっかりとしているのが特徴となっています。どちらかというとまろやかな味わいのビールと言えるでしょう。
メルツェン
ウィーン麦芽を100%使用したビールで、オクトーバーフェストにおいてふるまわれるビールとして有名なビールの種類です。色は赤褐色で苦みは決して強くなくさらりとした口当たりです。
メルツェンという言葉は、ドイツ語で3月を意味するメルツという言葉からきています。これは、まだ冷蔵庫などが普及していないころ、ラガービールは秋から春の限られた期間しか酒造出来きなかったため、夏に飲むためのビールは春先に作ったものを洞窟などに氷とともに作り置きされ保存されていました。この仕込みの最終時期が3月だったため、メルツェンと呼ばれようになりました。
デュンケル
ドイツ語で濃いを意味するデュンケルからきている、文字通り色の濃いミュンヘン特産のビールの種類です。へレスと色の区別による分類をする上でこの呼称が取られたと言われています。ピルスナーが一般的になる前は、このような色のビールが最も一般的なビールとして親しまれていました。
ローストした麦芽を使用することによって、より麦芽の香りを楽しむことが出来ます。さっぱりとした飲み味で見た目の色に反して飲みやすいと感じる方も多いようです。
デュンケルを黒ビールとする説明する場合もあるようですが、あくまでも濃い色のビールを表したものであり、黒ビールはシュヴァルツやスタウトを分類するのが一般的となっています。