個性の強いビール「IPA」の特徴と魅力
パンチの効いたビールが飲みたい!というユーザーから愛されているインディア・ペール・エール、通称IPAと呼ばれるビールのスタイルは、ペールエールの中でも個性の強いスタイルで、アメリカのクラフトビール醸造所ではもはや定番として作られており、日本国内でも多くのビール好き達から支持を得ているスタイルです。
そこで今回は、ビール好きなら1度は飲んでおきたいIPAの特徴や魅力についてだけでなく、初めてIPAを飲む!もしくは美味しいIPAが知りたい!という人の為におすすめのIPAを紹介していきます。
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IPA(インディア・ペール・エール)って何?
インディア・ペール・エールの頭文字をとってIPAと呼ばれるこのスタイルのビールは、その名の通りペールエールの種類であるため、エール(上面発酵)で醸造されるビールです。
非常に強いホップの香りと苦味を持っているビールであり、これには諸説あるのですが、18世紀末頃にビールをインドへ輸送する際に長期保存に耐えるため大量のホップを使用して防腐処理をしたことで、このIPAの味が生まれたと言われています。
そのため非常に個性の強い味で、ビールが苦手な人であればまず苦過ぎて飲めないと言うでしょう、しかしそのIPAの持つ強烈なキャラクターが多くのビールファンを唸らし、アメリカのクラフトビールメーカーでは作っていない醸造所が無い程の定番的ビールであり、ビールごとの特色も強く現在でも斬新な味わいのIPAが多数生まれています。
IPAの定義
通常のペールエールよりも多くのホップを使用しており、ドライで高めのアルコール度数を持っているビールである事がインディア・ペール・エールの定義とされています。
IPAの特徴
ペールエールと比較した場合のIPAは、やや淡い色が特徴です。防腐作用の為に大量のホップが使われており強い苦味を持っていて、アルコール度数も高いためインパクトのある味が人気を獲得しているビールであり、ペールエールよりも明らかに強い華やかな香りを持っているのも特徴と言えるでしょう。
しかし近年ではさらに、そこに飲み易さを与えたIPAも増えてきており、人気だからこそ様々な種類が展開され、ホップの香りが強く苦味もあるが飲み易いという、文字にすると一見矛盾しているかのように見えてしまうようなIPAも登場しています。
IPAの魅力
初めてビールを飲んだ瞬間から"苦味を感じなかった"という人は居ないはず、ジェットコースターが怖いからこそ楽しいように、ビールは苦いからこそ美味しいのです。しかしどうでしょう、最近飲んでいるビールに対して"苦い"って感じますか?
もし感じていないなら、今日の夜にでもIPAを飲むべきです!あの、初めてビールが美味しく感じたあの瞬間の!ビールは苦いから美味しいんだ!という感覚をインディア・ペールエールは、もう一度アナタに教えてくれます。
まさにこの、ビールの美味しさを再確認出来る、コレこそがIPAの魅力であり、IPAにハマってしまって抜け出せなくなるビール愛好家が後を立たない理由と言えるでしょう。
IPAの種類とは?
一般的なIPAというのは、イギリスがインドに輸出したペールエールの事ですからイギリスのホップを使用したIPAの事を指します。つまりアメリカのホップを使用してIPAを作れば、アメリカンIPAという種類になります。
他にもインペルアルIPAもしくはダブルIPAと呼ばれる種類も有り、その独特な個性を生かした種類が多数生まれています。
アメリカンIPA
カスケードホップをを中心とした北米産のホップを使用して作られるIPAの事をアメリカンIPAと呼ばれ、このスタイルのビールはアメリカの西海岸を中心に誕生しました。ホップを大量に使用して醸造されるIPAだからこそ、ホップが違うだけでここまで強く個性が出るのかと感じられる為、かなり面白いです。
インペリアルIPA(IIPA)
通常のIPAよりも多くのホップを使用しさらに強烈な味に仕立て上げたものをインペリアルIPAと呼びます。インペリアルIPAを頭文字にするとIIPAとなり、Iが連なる事からダブルIPA(DIPA,WIPA)といった表記で書かれる事も有ります。
インペリアルIPAで人気のビール
おすすめのIPAはコレ!
今、ビール好きの間で最も人気の高いIPAのなかでも、コレを飲まないでIPAが好きとは言えない!と思う鉄板の3種類をピックアップして紹介したいと思います。初めてIPAスタイルのビールに挑戦しようとしている人も、お店でIPAを飲んでもっといろんな種類を飲みたい!と言う人も、とりあえずこの3種類は飲まずに語れない!というビールを集めました。
サンクトガーレン「YOKOHAMA XPA」
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2011年に行われたイギリスのビール専門誌"BEERS of the World"が主催で行われたビールの世界ランキングにて、IPA部門で優勝するという快挙を成し遂げ、今でも愛され続けている世界でも非常に有名な国産地ビールメーカー「サンクトガーレン」のYOKOHAMA XPA、これを飲まずにIPAについて語るのは"にわか"っていうものです。
柑橘系ホップのアロマに美しいゴールデンカラー、バランスの良いしっかりとした飲みごたえに程よくビターな後味が続くと絶賛されており、濁度0.0000という脅威の透明度を誇る横浜のオフィシャル水"はまっ子どうし"」を源泉から組み上げる事で通常の4倍使用したホップの力強い香りと苦味が際立つ逸品です。
ブリュードッグ「パンク IPA」
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もうIPAもかなりの飲み慣れたよ!って人には、ビール初心者に戻してしまう圧倒的なインパクトを持った"パンクIPA"!実験的なビールを多数生み出す新鋭ブルワリーのブリュードックから登場した「ホップ40倍」という強烈なIPAを飲んで頂きたい。
近年人気が爆発的に伸びているネルソン・ソーヴィンホップを使用し、完成直前に大量のホップを投入するドライホッピング製法を採用しており、強烈な香りは鼻を突き抜けるように刺激し、それでいて後味はIPAらしい苦味の余韻と爽やかで軽い飲み口。IPA界の革命児とも言えるこのビールを飲まずしてIPAは語れない!
ストーンブリューイング「ストーン IPA」
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ビールを愛しすぎた2人がアメリカの西海岸でスタートしたブルワリーであり、個性的な悪魔のモチーフから、ビールの力強さが感じられます。、ビールを愛しすぎるが故にIPAのボトルには「ホップを讃える為の液体の詩」という、厨二病全開なメッセージまで書いてしまうあたりに、ちょっとだけ好感を持ててしまうのは私だけでは無いはずです。
この自信しか無いようなメッセージに嘘は無く、苦味や香りを追求したいビール好きなら堪らないIPAに仕上がっており、IPAが好きだとバーテンダーに伝えたら「ストーンIPAは飲みましたか?」と聞かれる事が多い程、多くのIPAファンを唸らせ続けている逸品。とりあえず飲んでおかないとIPAは語れません。
IPAの裏話
冒頭では、IPAはペールエールをインド輸出の長旅の為に大量のホップで抗菌したのがキッカケというのが通説となっていると書きました。じつはこの話には他の説も多数あり、当時のインドへ輸出していたペールエールよりも、インドで評価されたビールの方がきちんと発酵された麦中の割合が多く、糖分が殆ど残っていないためホップの苦味が豊かだったのであり、長期渡航で腐敗しなかったのは、醸造で使用されるバートン(地域)の水が利点になったのではないかという説。
もともと輸出していたのが国内需要が広まり、イギリス国内でも飲まれるようになっていったのですが、そのころにはホップを多く使ってIPAを醸造していたそうで、輸入の際に醸造されたIPAが現在のレシピとなっているのかは様々な情報や通説が錯綜しているという話があるそうです。
それどころか、醸造主が酔狂で作ったペールエールを輸出した渡航期間がプラスに作用する例外的なビールだっただけで、IPAとしてイギリス国内で販売したのは、渡航後にインドで飲まれた味に近いIPAなだけ、という説すらあるのです。