ビールの醸造法による種類の違い
ビールの種類には、非常に様々なスタイルが存在しており、原材料や製法、アルコール度数、香りなど様々な分類がなされますが、それらを特徴ごとにビールの種類を明確に分類していくことはその種類の多さから非常に困難と言われています。
そこでここではビールの種類を分けるとされる醸造法においての分類を取り上げていきます。ビールの種類を分ける醸造法にはどのようなものがあるかを見ていきましょう。
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醸造法によるビールの種類
ビールの種類を醸造法と酵母で分類する場合、大きくエールとラガーの二つに分けることができます。上面発酵のエールと、下面発酵のラガーの二つに分けるのが一般的です。
まず、上面発酵のエールに関してですが、エールという言葉が以前より上面発酵のビールのことをさしていたわけではありません。というのも、現在ではビールの製造において当たり前に使われるホップが、必ずしも使用されていたわけではなく、ホップが使われるものをビール、ホップが使われていないビールをエールというようにビールの種類を分けてたからです。
エール(上面発酵ビール)
現在では、上面発酵によって作られるビールの種類をエールと分類しています。エールの最大の特徴は出芽酵母を用いて、常温、短時間での発酵を行う点です。
上面発酵と呼ばれる所以は、短時間による盛んな炭酸ガスの排出によって、酵母が上面で層を作るように浮かんでくるためこのような呼ばれ方をされています。
現在主流となっているラガーが登場するよりも前は、ビール=エールと言われるほど一般的な醸造法であり、当時はお茶の代わりに飲まれていたほどでした。泡が少なくうまみやコクを味わいながら飲むビールと言われています。
ラガー(下面発酵ビール)
上面発酵によって作られるエールに対して、下面発酵によって作られるビールの種類をラガーと呼んでいます。エールが常温、短時間での発酵に対して、ラガーは低温、長時間での発酵が特徴となっています。長時間の発酵によって酵母は段々と沈殿していくため、下面発酵と呼ばれています。
現在では一般的となったラガーというビールの種類ですが、当時はドイツ、バイエルン地方において、低温でも活動する酵母を発見した人たちによって作られていた元々はローカルなビールの種類でした。
これが現在のように一般的になったのは、冷蔵庫の登場が非常に大きく影響しています。当時はラガービールは、秋に洞窟内に氷とともに貯蔵したものが翌年の春にビールとなって完成しているというものでした。
それが冷蔵庫によって通年で可能となっただけでなく、一度に安定した品質のビールを大量に生産できることや、同時にその美しい金色のビールをグラスで楽しむことができるようになったのがラガーが一般的なビールの種類として認識された要因と言われています。
自然発酵(通称:ランビック)
醸造法によるビールの種類分けに関して、エール、ラガーとは違ったもう一つが自然発酵によるものです。現在では酵母を使って発酵させるのが当たり前となっていますが、酵母が発見される以前は自然発酵によって作られていました。
今でもベルギーなどでは伝統的な醸造法の一つとして自然発酵を使って作られるビールが存在しています。一部の自然発酵によって作られるビールには乳酸発酵もおこることから独特の酸味をもったビールもあります。