上面発酵で作るエールビールの種類について
ビールの種類を分類する上で、醸造方法による分類があります。基本的には上面発酵、下面発酵、自然発酵に分類されます。そのなかの醸造方法の中で、上面発酵によって作られるのがエールビールと呼ばれるビールの種類です。
フルーティーでまろやか、香りや深い味わいを楽しむことができると言われるエールの中でも様々な種類のビールがあります。ここではそれらエールビールの種類ついて紹介していきます。
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エールビールの種類
使用される酵母の発酵温度で分類される醸造方法において、発酵温度が常温(ラガーに比べて高温)で短時間で発酵するものがエールと言われるビールの種類となっています。
通常は15℃~24℃で発酵するため、酵母はエステルと呼ばれる化合物を生成し、それによって風味と香りが豊かでフルーティーな甘味のあるビールとなるのが特徴となっています。
エールでは主に大麦麦芽が使用されますが、種類によっては小麦が使用される場合もあります。大麦麦芽が使われるエールにおいてもその種類分けは非常に細かく分かれています。
ここではそんなエールの種類ついて細かく分類しながら解説していきます。
ペール・エール
ペールとは淡色を意味する言葉で、その名の通り、淡い色の大麦麦芽を醸造に使用したものです。アルコール度数は3%~10%を超えるものまで様々に存在します。
特徴としては、ホップが多く苦みが強く、酸味もあり、ピルスナーよりも濃いめの色となっています。発祥はイングランドのバートン・アポン・トレンドであるため、バートン・エールと呼ばれることもあります。
ライト・エール
イングランドにおいて瓶詰めのより淡い色のビールの種類として知られ、スコットランドにおいては比重の軽いビールのことをライト・エールと呼んでおり必ずしも淡色とは限りません。またライトという名前から低カロリーを想像する方もいますがそういった意味合いではありません。
比較的アルコール度数が低く、苦みも強くないため、ビールが苦手な方でも比較的飲みやすいビールの種類ということが言えるでしょう。
レッド・エール
アイルランドが発祥となっており、通常の麦芽に加えて、焙煎した大麦を使用するためほのかに赤い色となることからレッド・エールと呼ばれています。
基本的には低アルコール度数のビールがほとんどですが、一部海外輸出向けにアルコール度数を高めに醸造されたものもあります。苦みとホップが少なく麦芽とキャラメルの香りが特徴となっています。
ブラウン・エール
ブラウン・エールはその名の通り、色が濃い(黒っぽいものや茶色の)大麦麦芽を使用して醸造されるビールの種類です。イギリスのマイルド・エールと同じ分類にされる場合があります。
アルコール度数は3%~3.5%と比較的軽めで、口当たりもやさしく甘味があるものから、アルコール度数が4.5%~5%と高めで甘みが少ないものまであり、醸造される地域によってその特性が変わる場合があります。
スタウト
スタウトとは、色が黒くなるまでローストされた大麦をしようしたエールビールの種類の一つです。日本においては、「濃色の麦芽を原料の一部に用い、色が濃く、香味の特に強いビール」と定義されています。
ほとんどスタウトは他のビールに比べて一目で分かるほど色が濃く、その味は濃厚、苦みが強く特徴的なビールと言えるでしょう。アルコール度数も比較的高めのため、飲みにくさを感じる方もいるタイプのビールの種類と言えます。日本でも有名なギネスがこのスタウトに分類されます。
ポーター
色が濃くなるまで焙煎した茶色の麦芽を使用、さらに軟水で醸造されたことが特徴と言えるのがポーターというビールの種類です。スタウトはこの中から特にアルコール度数の高いものとして分類されたものとなっています。
発祥は、古いブラウン・エール、ホップの利いた新しいブラウン・エール、さらにペール・エールを混ぜて作ったこととなっており、苦みが強く、通常エールよりも滋養強壮に良く、ポーターと呼ばれる荷役の人たちに好まれていたことからこの名前となっています。
ベルギー・エール
名前の通りベルギーで作られるエールビールの種類ですが、その中にも非常に多くの種類があるため、簡単に分類が難しく大枠としてベルギー・エールという分類となっています。
基本的にはアルコール度数が高いことが特徴となっていますが、それでも飲み口は軽く、自然な風合いを持ったままの高アルコール度数ビールが豊富にあると言えるでしょう。
ジャーマン・エール
ドイツの伝統的な麦芽糖化手法を用いて作られ、イギリスのエールに比べると非常にコクがあるのが特徴となっています。代表的なビールの種類としては、ケルシュ、アルトビールがこの分類となります。
フルーティーな香りと苦みの軽さが特徴でノド越しもすっきりとした味わいとなっています。