すごいぞ納豆菌!納豆菌の特徴や種類について
発酵食品である納豆には納豆菌の存在が欠かせません。納豆菌はたびたびテレビで話題になるなど、知名度は上がってきていますが、まだまだ未知なことも多い菌の1つです。
今回はそんな納豆菌の種類や特徴、納豆菌のすごさなどを紹介していきます。
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納豆菌(バチルス・サブチリス・ナットー)とは?
納豆菌は枯草菌の一種で、学名ではBacillus subtilis var. natto(バチルス・サブチリス・ナットー)と言います。Bacillus subtilis(バチルス・サブチリス) は枯草菌の学名です。日本産の稲の藁1本に約1000万個の納豆菌が芽胞の状態で付着していると言われています。納豆菌は栄養が不足したり環境が苛酷になると芽胞を作って耐えることができるため、自然界で最も安定した菌種と言われます。
納豆菌はご存知の通り大豆に付着して発行することで、日本古来の糸引き納豆を作り出す他、ネパールのキネマ、タイのトウアナオなどの無塩発酵大豆食品を作り出す菌です。腸内に入れば、
- 乳酸菌など有用菌の増殖、腸内有害菌の抑制により、腸内細菌のバランスを整える。
- 強力なタンパク分解酵素とデンプン分解酵素を生み出す。
- ビタミンB群(特にビタミンK)を豊富に合成する。
などの役割をします。
納豆菌の凄さとは?
人体に有益であることは上述しました。それだけでも凄いと言えますが、実は納豆菌自体にももっとすごい特徴があります。
- 栄養源なしで100万年以上生きることができると推測されている。
- 人間の致死量のおよそ3000倍のガンマ線量(1万グレイ以上)を照射されても生き残ることができる。
- 100℃で煮沸されたくらいでは死滅しない(120℃まで耐えられる)
- 天日干しにしても死滅しない。
- 真空状態にしても死滅しない。
- 冷凍しても死滅しない(マイナス100℃でも)
- 酸やアルカリにも強い。
- 宇宙に6年間いても死滅しなかった。
人体に害のない菌なので良いですが、これが有害だったら非常に厄介な菌なのです。
納豆菌と腸内細菌
最近テレビでも良く紹介される腸内細菌ですが、腸内環境を整えることで体を健康に保つための様々な効果が期待されています。腸内の有用菌といえばヨーグルトに含まれる動物性乳酸菌や、ぬか漬けに含まれる植物性乳酸菌などの「乳酸菌」で、乳酸菌が有用であることは間違いないのですが、納豆菌は乳酸菌と比にならないくらいの「強さ・長生き度」を有しています。
冒頭にも出てきた通り、納豆菌は乳酸菌など有用菌の増殖、腸内有害菌の抑制により、腸内細菌のバランスを整える作用があります。乳酸菌は胃酸に弱く、なかなか腸に届かないですが、納豆菌は胃酸ごときでは死滅しないので生きて腸内に届きます。乳酸菌と納豆菌を一緒に摂取した場合には納豆菌が乳酸菌をサポートし、腸内に届きやすくするとも考えられています。
それから納豆菌が腸内の有害菌を抑えるスピードは乳酸菌の数倍速く、さらに腸内に留まる期間も長いです。以前行われた実験で、研究員が乳酸菌やビフィズス菌、納豆菌を同時に摂取し、のちに便を検査したところ、生き残っていたのは納豆菌ただ1つだったという結果が出ています。
乳酸菌などは比較的早く排出されてしまうため継続的に摂取しなければなりませんが、納豆菌は4日~5日排便されてもまだ便から大量に検出されるので、1度摂取すれば長く腸内で活躍してくれるので、非常に優秀な菌と言えます。
納豆菌の種類
日本国内では国内三大納豆菌として「宮城野菌・成瀬菌・高橋菌」という有名な納豆菌が各納豆製造メーカーで多く使われています。その他大手のメーカーになると自社内で納豆菌の研究開発を進め、独自の納豆菌を使っているところもあります。
例えばおかめ納豆で有名なタカノフーズ株式会社では自社で採取してストックしている納豆菌の数は1500種類以上にもなるそうです。他にも金のつぶなどで有名なミツカンは「金のつぶ におわなっとう」を作る際に、なるべく匂いを発しない納豆菌を見つけるために2万個の納豆菌の中から探し出したという話もあるくらいなので、納豆菌の種類は底知れません。
以下では、国内三大納豆菌の特徴について簡単に解説します。
宮城野菌の特徴
宮城野菌は大正9年創業の宮城野納豆製造所が販売する、国内で最も多くの納豆メーカーが使用している納豆菌で、比較的匂いが少なく、サラッとした納豆ができあがります。
成瀬菌の特徴
昭和21年創業の成瀬醗酵化学研究所の納豆菌で、仙台納豆の高橋食品工業の派生メーカーで使われており、国内三大納豆菌の中では比較的扱いやすい納豆菌と言われています。
高橋菌の特徴
昭和10年創立の高橋祐蔵研究所が販売する納豆菌で、糸引きが強く、旨味も多い納豆ができあがります。