食べ過ぎに要注意?納豆の摂取量目安と副作用
納豆はいろいろな栄養素を含んでいて、毎日食べるのはとても良いことですが、食べすぎは良くありません。どんな食べ物でもそうですが、偏って食べすぎれば何かしらおかしな症状が現れます。
ここでは納豆に含まれている成分に着目し、1日にどのくらい食べるのが適正か、食べすぎたらどうなってしまうのかを解説していきますので、正しく食べて健康な体を目指しましょう。
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納豆の1日の適正摂取量は?
納豆には様々な成分が入っている中でも特に多いのがセレン、ナットウキナーゼ、ビタミンE、ビタミンK、プリン体の5種類です。まずはそれぞれの上限摂取量や目安の摂取量を見てみましょう。
- セレンの上限摂取量:は330〜420mcg
- ナットウキナーゼの摂取目安:2000UF
- ビタミンEの1日の摂取目安:1日の摂取量目安は、6.5~7.0mgで、その上限は650mg
- ビタミンKの1日の摂取目安:成人以上は(体重)mcg
- プリン体の摂取制限:痛風患者のプリン体摂取制限は400mg
次に納豆に含まれる量を見てみましょう。
- セレン:100gあたり16mcg
- ナットウキナーゼ:1パック当たり1500FU
- ビタミンE:100gあたり0.5mg
- ビタミンK:ひきわり納豆100gあたり930mcg、粒納豆100gあたり600mcg
- プリン体:100gあたり113mg
ネット上の情報の中には、納豆100gに対してセレンが235mcg含まれると紹介しているものもありますが、文部科学省の日本食品標準成分表2015年版(七訂)によりますと、納豆は100gあたり16mcg、つまり納豆1パックが50gだとすると、男性の場合52パック、女性の場合41パックを1日で摂取しなければならないため、納豆の食べ過ぎでセレンの過剰に摂取になるかどうかは、さほど気にする必要はないといえるでしょう。
また、摂取目安は多少超えても大丈夫なので、目安として注意しながら食べましょう。
納豆の食べ過ぎによる副作用や注意点
こちらでは納豆の食べすぎによるもっと身近な症状や、副作用と言えるものまで、1つ1つ紹介していきます。
「おなら」と納豆の食べ過ぎ
納豆を食べていると便通が良くなったり、おならの匂いが無くなったりすることがある反面、おならが臭くなることもあります。納豆菌は善玉菌の一種なので、納豆菌が腸の中で食品を分解した場合には臭くないおなら(ガス)になります。
しかし、納豆菌ではなく他の悪玉菌がいた場合には、その悪玉菌が腸に入った納豆のたんぱく質を分解し、臭いおなら(ガス)を発生させていることがあるのです。
納豆以外のたんぱく質を取っても同じく臭くなるのでこれは納豆の食べすぎが原因と言うよりはもともと腸に居た悪玉菌が原因なので、食べ方や食べる時間を工夫して善玉菌を増やす工夫をした方が良いでしょう。
「体臭」と納豆の食べ過ぎ
納豆自体が臭いために納豆を食べすぎたら体臭が臭くなるのではないかと考えがちですが、納豆が体臭を臭くすることはありません。むしろ整腸作用で便通が良くなり、老廃物が排出されることで体臭が良くなる(少なくなる)と考えられています。
そもそも食べ物の匂い成分はニンニクやニラなどの例外を除き、体内で分解され、肝臓で代謝されて尿として排出されます。そのため体臭と言うよりは尿が納豆臭くなることはあります。それから胃に納豆が常に溜まっていれば「逆流性の口臭」によって納豆臭い息になってしまう可能性はあります。
「生理」と納豆の食べ過ぎ
女性には馴染み深いかと思いますが、大豆には大豆イソフラボンと言う女性ホルモンに似た分子構造をしている成分が入っていて、納豆も大豆なので大豆イソフラボンは含まれます。イソフラボンは正しく摂取すれば生理不順などを正してくれると言われていますが、1日の摂取許容量は70~75mgです。納豆1パック当たり25~30mg程含まれているので3パック以上食べると過剰摂取になります。
では1日3パック食べたらすぐに生理不順になるかと言うとそうではなく、大豆イソフラボンは2種類ある女性ホルモンのうちエストロゲンに似た働きをするので、もう1つの女性ホルモンであるプロゲステロンが優位である必要があるときに無理矢理大豆イソフラボンを摂取するとホルモンバランスが崩れてしまい、生理不順などを起こす可能性があるので注意が必要です。
「下痢や腹痛」と納豆の食べ過ぎ
納豆の食べ過ぎによる下痢や腹痛には2つの原因が考えられます。まず1つは、セレンの過剰摂取です。セレンは上述した摂取量を超えて食べ続けると脱毛・爪の変形・下痢・嘔吐・頭痛・しびれなどの症状を引き起こす可能性があります。納豆だけでセレンを過剰に摂取するのは難しいですが、他の食べ物との組み合わせや体質によってはこのような現象が起きる可能性はあります。
もう1つは胃がびっくりした状態です。通常、納豆などの発酵食品は消化も良く、胃や腸には優しいはずなので腹痛や下痢を引き起こすことは少ないですが、発酵と腐敗は紙一重なので、体が勘違いして納豆を排出しようとしていることが考えられます。特に日常的に発酵食品を食べていない人に起こりやすいので、今まで発酵食品を食べていなかった人は一気に食べず、少しずつ食べるようにしてみましょう。
「痛風」と納豆の食べ過ぎ
痛風はプリン体の過剰摂取によって引き起こされます。納豆は意外とプリン体が多く含まれているので、過剰摂取を続けた場合には痛風になります。
上述したように痛風患者のプリン体摂取制限は400mgで納豆100gあたりにプリン体113mg含まれているので、1日400gの納豆(8パック)を食べ続ければ痛風になるでしょう。また、プリン体は他の食品にも含まれているので、納豆だけではなく1日に食した食べ物すべてで計算する必要があります。
「薬」と納豆の食べ過ぎ
抗血栓薬(ワルファリン)という薬を飲んでいる場合には注意が必要です。せっかく血栓を抑えるための薬を飲んでいるのに、納豆菌の作るビタミンKが抗血栓薬(ワルファリン)の効果を弱めるため、効果が出ず、血栓ができやすくなってしまうのです。納豆を食べてしばらくは腸内で納豆菌が生きているため、抗血栓薬(ワルファリン)の服用中には控えるようにしましょう。
通常、抗血栓薬(ワルファリン)を処方されるときにはそのような説明があるので、しっかり守るようにしましょう。