料理をより美味しく!塩の効果と上手な使い方

私たちが生きていく上で必要不可欠な成分であり、様々な料理や調味料に使用され、普段の私たちの生活を支えている塩。
普段何気なく使用している塩ですが、「対比効果」「抑制効果」「変調効果」などの効果があり、料理の決め手は塩を上手に使えること、と昔から言われているように塩の使い方にも上手な使い方があります。
近年様々な病気の原因と言われている塩分の過剰摂取も、塩分摂取量の目安を知り、塩を上手く使うことが出来れば、普段の料理もより美味しく、より健康的に作ることが出来ます。
ここでは、塩の上手な使い方やその効果を詳しくご紹介しますので、ぜひ普段の料理に活かしてみてください。
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塩の使い方の基本
まずは塩の基本的な使い方についてご紹介します。
ここでは一般的に使用されている調味料の中での塩を入れる順番についてと、目標とする1日の塩分摂取量についてご紹介します。
塩を入れるタイミング
「さしすせそ」とは料理、特に和食の味付けの基本となる5つの調味料のことを言います。その5つの調味料とは砂糖、塩、酢、醤油、味噌のことを言います。
塩を入れるタイミングですが、もしその料理に砂糖を使用しているのであれば、塩は砂糖の次の2番目に入れます。
料理をする際に調味料を加えるタイミングが出来栄えや味を左右するとまで言われているほど、大切です。
以下ではなぜ「さしすせそ」の順番で入れるのかについて説明しています。
- 砂糖
- 塩
- 酢
- 醤油(せうゆ、正しい字音仮名遣は「しやうゆ」)
- 味噌
最初に砂糖を入れる理由ですが、砂糖には甘味を加える他に食材を柔らかくする効果があります。砂糖の分子は他の調味料の分子よりも大きく、食材に浸みにくいため一番最初に砂糖を入れます。
次に塩ですが、塩には他の調味料に比べ様々な特徴や役割、効果があります。
砂糖に比べ、塩は食材の内部に浸透するのが早く、水分を引き出して食材の甘味を引き締める効果があります。
後の3つの調味料ですが、風味付けや酸味などを加えるときに使用されます。
最初の段階で酢、醤油、味噌を入れてしまうとせっかくの香りが飛んでしまいます。なので最終段階で加えることで、料理に風味がでてより料理が美味しくなります。
酢は早い段階で入れてしまうと香りが飛んでしまいますが、逆に最後に入れると酸味が残ってしまうため醤油、味噌よりも前に加えます。
実際に料理をするときは作りたい味とそれぞれの役割を考えて、うまく調味料を使い分けることで、普段の料理が美味しく変わります。ぜひ参考にしてみてください。
一日の塩の摂取量
塩分を多く含む味噌や醤油を使用した料理が多い和食ですが、近年ではライフスタイルの変化から外食、加工食品など塩分を多く含んだ食品を摂取しがちです。
しかし塩は生命維持にとってなくてはならない存在なのも確かです。
国によって摂取量を変えていますが、世界保健機関(WHO)では食塩摂取目標を1日5グラムと設定しています。日本の厚生労働省では私たち日本人は、男性で8グラム前後、女性で7グラム前後と言われています。(2015年参考)
日本の調味料のほとんどに塩は使用されていますが、よく使用する調味料を参考にすると、濃い口の醤油では大さじ1あたりに対して2.6グラムの塩分が含まれています。
しかし塩分を急に抑えるのはとてもストレスが溜まってしまいます。
減塩、低塩についてですが、最近では減塩の醤油であったり、調味料、または食塩不使用の調味料も数多く販売されています。
また普段から加工食品やファストフードなどと言った塩分の多く含まれた食品を避けるなど、意識的に改善するだけで減塩はすぐにでもできます。
塩の3つの効果
塩には「対比効果」「抑制効果」「変調効果」の3つの効果があります。
塩は単に調味料という役割だけではなく、味を引き立たせるもしくは味を抑える役割など様々な効果や役割があります。
日本料理に限らず世界の料理にもこの3つの効果と活かし調理や味付けがされています。
この効果や役割を知識として知っておくだけで普段の料理に活かすことができたりするので、ぜひ参考にしてみてください。
対比効果
対比効果とは、2つの異なった味がある場合、片方の味がもう片方の味を引き立たせてくれる現象のことを言います。
例えば良くスイカや夏みかんを食べる際に塩をかけるとより甘味を強く感じる話しは有名です。
甘味を際立たせたい時、もしくは際立たせるために塩を使用したりする場合があります。この現象を塩の対比効果と言います。
お味噌汁を作る際に味噌だけやダシだけのお味噌汁に塩をほんの少し加えるだけで美味しくなると言われ、塩には味の甘味を引き立たせる役割があります。
塩の対比効果を感じやすいものとしては、甘味に塩をかけたりもしくは、塩を少しなめた後に甘い食べ物を食べると感じやすいと言われています。
抑制効果
抑制効果とは2種類の異なった味を混ぜると、片方、もしくは両方の味が弱められる現象のことを言います。
例えば寿司飯を作る際にほんの少し塩を加えるだけで酢の酸っぱさが抑えられ、味全体がまろやかになると言われています。この刺激を抑える効果を抑制効果と言います。
またコーヒーの苦味を抑える際に砂糖を使用しますが、コーヒーに塩を加えるだけで苦味が抑えられるとも言われています。
変調効果
変調効果とは2種類の異なった味を続けて味わう時に、後で食べる味が変化する現象のことを言います。
例えばカクテルのソルティードッグはグラスの縁に塩が付いています。
理由はこのカクテルにはグレープフルーツジュースが使用されていますが、酸味のあるグレープフルーツと塩を混ぜることによってグレープフルーツの甘みを塩が引き出すと言われています。
このような現象を変調効果と言い、元々グレープフルーツは苦味と酸味の強いフルーツですが、塩と一緒に飲むことで味わいが変わり、苦味や酸味が甘味に変化します。
塩の上手な使い方
塩を上手く使うことで様々な場面で役に立つことがります。その中でも普段の調理に使用されている4つの使い方について解説していきたいと思います。
「隠し味」「ふり塩」「褐変防止」「化粧塩」聞いたことある言葉から馴染みのない言葉もあると思いますが、これらの使い方や意味を知っておくだけで普段の料理に活かせると言われています。
下記では4つの使い方について詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
隠し味
隠し味とは調理する際に全体の味を更に引き立たせたり、味わいにアクセントをつける役割のことを言います。
あまり目立たない隠し味もあれば、ほんの少し調味料を加えるだけで味がさらに美味しくなる
隠し味と、隠し味一つでも様々な種類の隠し味があります。
調味料のなかでも塩は様々な役割と効果があると話しましたが、昔から料理に味付けをする際、塩をほんの少し加えるだけで、本来の味よりも美味しくなると言われてきました。
料理の決め手は塩を上手に使えること、と昔から言われているように様々な料理の隠し味として使用されています。
ふり塩
ふり塩は単に味付けの効果だけではありません。そのほかに魚独特の生臭さを取り除く効果、旨味と弾力を増す効果と3つ効果があります。
1つ目の魚の独特な生臭さを取り除く効果ですが、下ごしらえをした魚にふり塩をすることで魚の生臭さが消えます。
理由は魚に塩をふることで魚の表面の水分と塩が混ざり、食塩水ができます。
表面上の水分が塩の脱水作用で、生臭さの原因であるトリメチルアミンなどの物質を取り除いてくれるため独特な生臭さを消してくれます。
2つ目と3つ目の効果は、あらかじめふり塩をしておくことで、鮮度を保ち、旨味と弾力が増します。
表面についた塩分は魚の内部に入っていき、焼く前はほぐれやすい状態ですが、塩の効果で焼いた後に身が固まり弾力がでます。
またふり塩をした状態で時間を置くことで旨味が増します。理由は魚のタンパク質が旨味成分であるアミノ酸に変化し魚自体に旨味がでて美味しくいただくことができます。
ふり塩は魚料理を調理する際にとても重要なことなので、焼く前には必ずふり塩をすることでかしこく調理することができるのでお勧めです。
褐変防止
褐変とは野菜や果物などをカットし長時間放置しておくと、表面の色が茶色もしくは黒色になる現象のことです。
この現象を褐色といい、食品中の成分が酸化することでこの現象が起こります。
褐色した野菜や果物は食べることはできますが、見た目も悪く完成した料理の見栄えも悪くなってしまいます。
なぜこの現象が起こるのかと言うと、野菜や果物を切るとポリフェノールオキシダーゼという酵素が発生し、空気に触れることで酸化反応を起こしカットした部分が変色します。
この酵素は野菜や果物に含まれているポリフェノールが反応して変色が起こると言われています。
この褐色を防止するには、カットした野菜や果物を塩水に浸けることで褐色を防止することができます。塩水に浸すことでナトリウムイオンがカットした部分を多い、褐色を防止してくれます。
そのためカットした野菜や果物を長時間放置する際は一度塩水に浸すことで、フレッシュな見た目を維持することができます。
長時間浸す必要もなく、自宅にある塩を水に混ぜるだけの簡単な防止方法です。
化粧塩
化粧塩とは、魚を塩焼きにするときに焼きあがった魚を綺麗に見せるために、焼く前に塩をふることです。
塩焼きにした魚は尾ビレや胸ビレなどが他の部分に比べて焦げやすいと言われています。
そのため、焼く前に塩をふることで、焼きすぎを防ぐ効果があると同時に焼きあがった際、まんべんなく綺麗に魚が焼きあがります。
塩を覆った魚は尾ビレや背ビレなど、焦げやすい部分の焼き上がりを綺麗に見せることができ、また味や香りも逃さず、美味しく焼きあがると言われています。
塩焼きにする際は必ず化粧塩をふることをお勧めします。