料理に欠かせない香辛料!スパイスの歴史や役割
スパイスとハーブ、どちらも香辛料で同じものだと思っている方が大半ではないでしょうか。「料理に使うのがスパイス、紅茶になっているのがハーブ」だなんて思われている方もいるかもしれません。
実は厳密に言うと違ってきます。
日本では昭和37年に全日本スパイス協会が発足されました。全日本スパイス協会自主基準として「香辛料の定義をもち、その中からスパイスとハーブに分類定義」しています。
その香辛料の分類の定義は「利用部位の違い」です。
そんな香辛料とスパイス、そしてハーブについてまとめましたのでご紹介します。
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スパイスとは?
スパイスは世界に数百もあると言われています。そう言われて、どのようなスパイスが頭に浮かんだでしょうか。スパイスと言われて浮かんできたものには、料理をされる家庭には必ずあるペッパー(胡椒)があるのではないでしょうか。
黒いダイヤとも言われていた胡椒は、宝石に例えられるようにとても高価なものでした。このようにスパイスの中には高価なものがあり、国によっては通過と同じ価値を持つものもありました。
ハーブとは?スパイスとの違い
ハーブは日本語で言うと「香草」。
英語の「herb」はラテン語で草木を意味する「Herba」を語源としています。これは「香りを持ち、食等に役立ち且つ有用な植物」と言って良いでしょう。
スパイスが英語の「spice」で日本語で香辛料を意味することから、「芳香性植物の一部であり、香り付けや風味付けをするものの総称」となります。
要は、「料理を美味しくしてくれて、健康にも働きかけてくれる作用がある」というところです。
区分けが難しいものではありますが、「ハーブは薬草、香料植物」「スパイスは香辛料」といった用途の違いで考えるのが分かりやすいでしょう。
香辛料とは?
全日本スパイス協会の定義によると、香辛料とは「植物体の一部」で「植物の果実、果皮、花、蕾、樹皮、茎、葉、種子、根、地下茎など」であって「特有の香り、辛味、色調を有し、飲食物に香り付け、消臭、調味、着色等の目的で使用」し「風味や美観をそえるもの」の総称となっています。
簡単に言うと、「芳香性と刺激性を持った植物」です。そして、ここからスパイスとハーブに大別します。
スパイスもハーブも香辛料であり、利用部位によって総称が変化する
- スパイスは香辛料のうち、利用する部位が茎と葉と花を除くもの
- ハーブとは香辛料のうち、茎と葉と花を利用するもの
例えて言うと、芥子(マスタード)、胡椒、シナモン等がスパイスです。そして、パセリ、紫蘇、バジル等がハーブです。
スパイスの歴史
スパイスは料理の辛味・香り付けだけではなく、殺菌・抗菌、防腐作用に利用してきました。
有名なスパイスにコショウ(ペッパー)があり、コショウは肉食文化のヨーロッパ人にとっては保存のためのスパイスとして、また医薬品として価値の高いものでした。そのため、通貨と同等の価値を持ち、争いも起きるほどでした。
また、中国ではスパイスを調合し今で言う漢方として利用してきました。
そして、ヨーロッパではスパイスやハーブを使うことに長けた人が医師の役割を果たしていたこともあります。
日本でのスパイス
日本では奈良・平安時代に山椒・生姜・大蒜・胡麻・山葵・辛子・乾生姜といったスパイスが古事記などに記載されていた記録があります。
また、8世紀には胡椒、丁字、肉桂などが正倉院の御物に記載されていたことがわかっています。そして、11世紀になると源氏物語ににんにくが風邪薬として用いられたと記述されていました。
諸外国との交易や来航、貿易で日本にクローブやコショウ、唐辛子等のスパイスが渡来してきました。
日本に肉文化が入るのは明治維新後以降。ヨーロッパ諸国には肉の臭みとりや保存に必要であったコショウやクローブといったスパイスは、米や魚・野菜を中心とした日本の食生活には必要のないものであり、わさびや生姜を代表とした「薬味」としての利用となりました。
スパイス戦争
15世紀には現在の中国(元や明)との交易、ポルトガル、スペイン、オランダ、イギリス人の来航、日本のアジア諸国への進出、御朱印船貿易などからコショウをはじめとする様々なスパイスが入ってきました。
そんな中、コショウやクローブ、ナツメッグはそれぞれ産地が限られており、ヨーロッパ各国はこぞって生産地の争奪戦を繰り広げました。
激しいスパイス戦争は終結を迎え、フランスやイギリスによる苗木の移植が始まり、スパイスは各国へ広まることとなりました。
スパイスの使われ方・役割
スパイスには食用から健康への働きかけとしての役割があります。そして使い方には料理や調合などがあります。
- 香り付け、臭み消し(料理での役割)
- 辛味付け(料理での役割)
- 色付け(料理等での役割)
- 食欲増進(健康への働き)
- 消化吸収の補助(健康への働きかけ)
- 健胃整腸(健康への働きかけ)
- 防腐・抗菌、酸化防止作用など
料理におけるスパイスの役割は、大きくまとめると香り付けと苦みや辛味付け、保存性です。
そして効果は、食材の嗜好性を高める、保存性を高める、健康増進作用です。これらがスパイスの使い方と役割になります。
古くから使われてきたスパイスですが、いまなお未解明な部分もあります。そのため、現在でもなお研究が進められており、新たな効能や効果が発見されることが期待されています。
代表的なスパイス・ハーブ
たくさんあるということが分かったスパイス・ハーブ。では、代表的なものにはどんなものがあるのでしょうか。
また、どのような料理などに使われているのでしょうか。カレーを浮かべる方が多いと思いますが、カレーだけではありません。
それらの特性を知ることでより身近に感じられ、さらに興味を持つものとなります。代表的なスパイス・ハーブを知ることからはじめましょう。
ターメリック(ウコン)
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例えて言うと「土くさい」ような独特の香りとほろ苦い風味で、黄色に着色することに使われることも多いスパイスです。
ターメリックと言われるとピンとこないかもしれませんが、「ウコン」と言われると「あ!」と思われる方も少なくないスパイスです。「ウコンの力」といったスパイスの名前をそのまま商品名にしたドリンクもありますね。
ターメリックは、カレーパウダーに使用されています。また、料理を黄色く色付けるため、芥子や沢庵等にも使われています。
>>ターメリック(ウコン)の特徴や美味しい食べ方について詳しくはコチラ
シナモン
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シナモンは、古くから用いられているスパイスのひとつです。「ニッキ」という名前でも知られているシナモンは、清涼感のある甘辛い香りを持ちお菓子やパン、紅茶などに使われています。特に甘い香りの料理やお菓子に用いることで甘みがより一層強まります。
この香りの高さから「スパイスの王様」とも呼ばれます。
また、漢方薬としても用いられ「桂皮(ケイヒ)または桂心(ケイシン)」と呼ばれ水分代謝調節作用があるとされ、甘く爽やかな香りは消化促進作用を持っており、胃の働きを高め消化を促進させます。
カルダモン
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紀元前1000年以上も前から利用されており、高価なスパイスのひとつでもあります。強い香りと苦みが特徴です。
インドでは「スパイスの女王」とも呼ばれています。
カレーには欠かせない原料のひとつでもあり、肉料理や魚料理の臭み消しやお菓子・飲み物の風味付け等に利用されています。また、消臭効果が高いため、口臭予防効果も高いと言われています。
カルダモンが持つ香りにはこの他にリラックス効果もあり、気分を落ち着かせたり疲労回復効果があるとされています。万能なスパイスのひとつです。
ペッパー
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誰もが知っているペッパー(胡椒)。このスパイスも、世界中で利用されていることから「スパイスの王様」と呼ばれています。広く知られており世界各国で利用されているので、王様と言われて納得のスパイスですね。
ペッパーには以下の種類があります。辛味とアクセントがペッパーの持つ特徴ですが、それぞれに向いている料理がありますので分けて使うと更に料理の幅が広がるかもしれませんね。もちろん料理だけではなく、お菓子作りにも用いられます。
- ブラックペッパー(肉料理など多くの西洋料理に使用)
- ホワイトペッパー(白身魚・鶏肉など比較的淡白かつ色味をだしたくない素材に使用)
- グリーンペッパー(色味を楽しむこともできます。主にひき肉を使った料理に使用)
体を温める効果の他に食欲増進なども期待されているスパイスです。黒いダイヤとも称され通貨と同じ価値を持つ等、古来より珍重されてきたスパイスです。
>>ペッパー(胡椒)の特徴や美味しい食べ方について詳しくはコチラ
ガラムマサラ
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インドの混合スパイスであるガラムマサラは、3〜10種類が用いられています。
カルダモン、ブラックペッパー、クローブ、クミン、シナモン等が調合されており、辛味付けや香り付けに使用されます。
料理では仕上げに使われ、カレーに振りかけると本格的な風味が楽しめます。また、ナシゴレン風も簡単に作ることができます。
ガラムマサラと混合されることも少なくありませんが、ガラムマサラには色付けであるターメリックが使用されていません。
>>ガラムマサラの特徴や美味しい食べ方について詳しくはコチラ
代表的なスパイス・ハーブのメーカー
世界に数百もあるスパイス。ハーブと合わせると数万以上にもなるとも言われています。苦い辛いといった印象の強いスパイスですが、甘みがあるシナモンなどをはじめ、クミン、バジルにセージ等たくさんの種類があり、それぞれに特徴と使い方があります。
それらを取り扱いしている代表的なメーカーをご紹介します。みなさん、一度は店頭で見かけたことがあると思われるものから、初めて聞くメーカーもあるかと思います。スパイス・ハーブを購入する際の参考にぜひ役立ててください。
GABAN(ギャバン)
GABANといえばブラックペッパーが有名です。みなさん一度はどこかで必ず見たことがあるシルバーの缶に紺色の文字デザインのものです。トップシェフから強く支持され、ホテルのレシピにその名が刻まれるなど、本物の味・香り・風味が他に劣ることの無いものです。1954年に誕生したGABANは、日本のシェフに本物のスパイスを提供するため世界各国の原産地で収穫される最上級の原材料を元に、本物の味と香りを生み出す製法やブレンドで料理の一役をかっている日本のメーカーです。
そんなGABANはハウス食品の子会社でもあり、代表されるブラックペッパーはもちろんのことシナモンやガーリックなど多くのスパイスやハーブを取り扱っています。また、取り扱っているスパイスの中には、とりわけ産地や品種を吟味した特色ある「プレミアムスパイス」として高知県産の山椒や四川の赤・青山椒、La Maison du Piementエスプレット唐辛子などがあります。
S&B(エスビー食品)
日本を代表するカレー・香辛料のメーカーです。誰もが一度は見たことや聞いたことがあるメーカーです。
家庭でカレーを作るときには、S&B食品のカレールーを使用される方も多いのではないでしょうか。日本で初めて国産カレー粉を販売したメーカーとも言われています。
ロングセラー商品のひとつであるS&Bカレー粉やテーブルコショー、チューブ入り香辛料など多くの商品を展開しています。特に家庭の食卓にはS&Bテーブルコショーは定番香辛料のひとつと言っても過言ではないでしょう。
安全・安心な原料を厳選したS&Bセレクトスパイスというブランドも展開し、プロのニーズに応える全202種659アイテムといった多品種のシリーズとなっています。また、可愛らしいパッケージのスパイス&ハーブシリーズは、料理が楽しくなる形状をしています。
シナモン、バニラビーンズ、バジルにパセリなどたくさんのスパイス・ハーブを揃えています。
桜井食品
自然食品やオーガニック食品の販売をしている桜井食品。初めて耳にする方も少なくないのではないでしょうか。
有機JAS認定付きのスパイスを揃えており、有機栽培により自然のままの香りや辛味が生かされています。食品添加物や豪勢保存料なども使用しないこだわりがあります。原料メーカーから商品詳細情報を提出させる等、しっかりとされています。
取り扱いされているスパイスは、ペッパーやシナモンなどで他社メーカーに比べると少ないですが、原材料へのこだわりと食の安心・安全にこだわる方にはおすすめのメーカーです。
マスコットフーズ
スパイス専門メーカーとして1985年に創業されたマスコットフーズ株式会社。世界各国からクオリティにこだわったスパイスやハーブを仕入れています。スパイスで60種類以上、ハーブで20種類以上取り扱いがあり、これらの他にオリジナルのシーズニングも揃えています。
スパイスはカルダモンやサフランといった定番はもちろんのこと、アジョワンシードやフェネグリークシードといったインド料理に欠かせないスパイスを多く取り扱っています。聞いたことのないスパイスですが、本格的なインド料理を作られる方にはオススメのメーカーです。
また、オリジナルハーブミックスであるエルブ・ド・プロバンスといったバジル・オレガノ・ローズマリー等をブレンドしたものがあり、南フランスの煮込料理やマリネ等におすすめのハーブも揃えています。