木綿?絹?おぼろ?豆腐の種類と特徴
多くのご家庭で食卓を彩る豆腐、様々な料理に使えヘルシーで健康的な食品です。一般的に知られているのは3~4種類ほどだと思いますが、他にも多くの種類の豆腐があることをご存知でしょうか?
ここまで豆腐の種類が多いのはおそらく日本だけでしょう、そいうほど豆腐の種類は多いのです。こちらではそんな豆腐の種類と特徴についてご紹介いたします。
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豆腐の区分け
さてそれでは早速、豆腐の種類を区分けしていきましょう。細かく分けだすとすごい数になるので、まずは大きな区分けで見ていきます。
- 一般的な豆腐(絹や木綿など)
- 堅豆腐(または固豆腐)
- 加工豆腐(豆腐の加工品)
- 豆腐の副産物または関連製品
この4種類に分類されます。後々それぞれの説明はさせていただきますが、大きく分けてもこれだけの違いがあります。
日本は食に対しての追求が凄いと言わています。豆腐に限らず、地方の名産や伝統的な製法など1つの食材でも、作られている場所や製法で違う種類のものが生まれています。
あるいは製造する過程の中で、新しいものが生まれることもあり、その種類を増やし続けます。海外でもチーズなどがそれに当たりますが、1つの国の中で1つの食品がこれだけ分かれていくことは、他の国ではなかなか考えられないことです。
話が逸れました。それでは一般的な豆腐から見ていきましょう。
一般的な豆腐の種類
一般的な豆腐はスーパーなどで見かける豆腐を連想していただければいいです。これを分けると以下の6種類になります。
- 木綿豆腐
- 絹ごし豆腐
- ソフト豆腐
- 充填豆腐
- おぼろ豆腐(または寄せ豆腐)
- かわり豆腐
木綿豆腐や絹ごし豆腐はかなりメジャーですが、人によってはソフト豆腐の名はあまり馴染がないかもしれません。しかし普段から調理をされる方は知ってみえる方がほとんどだと思います。
木綿豆腐
木綿豆腐は豆乳に、にがりなどの凝固剤を加えて凝固させ、穴の開いた木綿豆腐用の型箱に布を敷き、流し込んで圧搾形成した豆腐です。
豆腐の表面には箱に敷き詰めたれた布目が付くことから名がついています。また普通豆腐とも呼ばれているメジャーな豆腐です。
水分を絞っていることからやや硬めの豆腐で、大豆の味を楽しめるのが特徴です。この固さならそのまま潰して和え物にしてもアクセントになりますし、薄くスライスして豆腐ステーキに、またはフライやチャンプルーといった様々な料理に使えるのが魅力です。
絹ごし豆腐
濃い豆乳全体を凝固剤で凝固し、絹ごし用の型箱に流し込んで、ゲル状に固め水にさらした豆腐をさします。絹ごし豆腐を生んだ店の名に因んで「笹の雪」とも呼ばれる豆腐です。
木綿豆腐と違い圧搾成型をしないため、吸水総量は原料大豆重量の5~6倍となり、滑らかで柔らかい触感の豆腐となります。
味噌汁やお吸い物など汁物の具材にすると、絹ごしの柔らかくてふわっとした食感を楽しめます。
勘違いされがちなのが名前の由来です。絹ごし豆腐は絹のように、あるいは絹の布で濾したように滑らかで、きめ細かい肌目をしているため、このように呼ばれているのであり、絹で濾してはいませんので、勘違いされていた方は、ここで訂正しておくといいでしょう。
ソフト豆腐
絹ごし豆腐状に凝固させたものを、木綿豆腐の型箱に流し込んで軽く圧した、木綿豆腐と絹ごし豆腐の中間程度の濃度の豆腐となります。
そのため滑らかさや柔らかさもこの中間程度になり、木綿豆腐のようなしっかりした食感が特徴です。そのため木綿豆腐よりも柔らかく、かつ絹ごし豆腐よりもしっかりとした食感を活かして麻婆豆腐など、豆腐の原型がある程度残せる料理に使えます。
京都では嵯峨豆腐と言われていますが、こちらにあまり馴染がないのは木綿豆腐の一種であるため、特に表示がないのが一般的となっているためです。知らない方も実は手に取り食べている可能性が高いのです。
充填豆腐
濃い豆乳に凝固剤を加え、合成樹脂製の角型の容器に充填して摂氏約90度で40分から50分加熱して成形、その上で冷却して作る豆腐です。
豆乳充填、容器密閉後に加熱凝固させるので、衛生的で保存性が高いのが特徴となっています。また型箱に入れない、水晒しをしないのも特徴となっています。
絹ごし豆腐同様に滑らかな食感となっており、充填絹ごし豆腐とも称されています。この豆腐は大量生産に適しており、戦後機械化の進展に伴って生まれた豆腐です。
おぼろ豆腐 / 寄せ豆腐
豆乳が冷えないうちに凝固剤としてにがりを加え、櫂と呼ばれる木の板で撹拌し、豆乳の濃度、温度、にがりの量、そして攪拌が揃うことで、豆乳は水と分離することなく固まり始め、やがておぼろ豆腐が出来上がります。
寄せ豆腐の「寄せ」とはにがりを打って以降の一連の作業のことをいい、職人の腕が求められる作業のことになります。この作業工程で出来上がる豆腐であるため、寄せ豆腐とも呼ばれるのです。
またおぼろ豆腐の名の由来は、おぼろ月夜のもやもやした状態に似ているから、という説もあります。
いずれにしても、おぼろ豆腐は全ての豆腐を作る上で行う作業過程で出来上がる、いわば基本であり原点でもある豆腐なので、おぼろ豆腐が美味しい店は他の豆腐も美味しい、との基準になるほどの豆腐になります。
食べる直前に電子レンジで2分ほど温めると、豊かな香りとほのかな甘みが感じられるのが特徴で、シンプルに塩や、変わり種だとオリーブオイルをかけて食すことができます。
ざる豆腐
このおぼろ豆腐を「ざる」に盛り込み、脱水したものがこの豆腐になります。水分が抜けているので少し硬めになりますが、サラダなどに使え、ドレッシングをかけて食べるのがおすすめです。
かわり豆腐
かわり豆腐は加工豆腐とも呼ばれ、「玉子豆腐」や「杏仁豆腐」などをいいます。豆腐とは言うものの大豆やにがりを原料にしていないですが、柔らかくて豆腐状のものを指す名称です。名前の通り変わったものが多く、国や地域など様々な豆腐が存在しています。
- 玉子豆腐
- 杏仁豆腐
- 胡麻豆腐
- 牛乳豆腐
- ごどうふ
- ピーナッツ豆腐
- ジーマーミ豆腐
- カシ豆腐
- トトリムク
- メミルムク
- ハウピア
- ひよこ豆豆腐
堅豆腐 / 固豆腐の種類
現在の日本で一般的となっている製法と違い、濃度の高い豆乳の使用、にがりの代わりに海水を使うなど様々な方法を用いて保存できるようにした種類の豆腐のことです。
中には荒縄で縛って持ち運びできるほど堅いものもあります。狭義では日本各地で昔ながらに作られ続けている堅豆腐のみを指しますが、広義では文字通りに同種の硬い豆腐全般を指す総称となっています。
日本の昔ながらの堅豆腐は、日本に伝来した当時に作られ始めた当時のものに近いものであり、本来の豆腐とはこの堅豆腐、もしくはそれに似て非なる堅い豆腐でした。
現在は柔らかい豆腐が主流となりましたが、地方によってはこの堅豆腐をそれぞれの製法で作っています。ここからはそれを分類してご紹介します。
水分を減らした豆腐
沖縄県の島豆腐と京都府宇治市の黄檗豆腐がこれにあたります。
島豆腐は「生搾り法」で作られ、豆乳の粘度が低い状態でにがりを混ぜますが、荷重と時間を多くかけて含水率を減らすため硬くなります。
黄檗豆腐は揚げ油や醤油、酒を使って作られ、荷重と時間を多くかけて含水率を減らす普茶料理に使われます。別名豆腐羹とも言われるほど堅い豆腐です。
濃い豆乳で作る豆腐
石川県白峰村の石豆腐、富山県五箇山や徳島県祖谷地方の岩豆腐、熊本県球磨郡五木村の五木豆腐があがります。濃い豆乳で製造するため、にがりによるタンパク質の結合が強くなるため硬い豆腐となります。
海水で作る豆腐
山口県祝島の石豆腐、長崎県五島列島の潮豆腐、長崎県壱岐氏の壱州豆腐、沖縄県の糸満豆腐や島豆腐がこれにあたります。島豆腐は水分を減らす方法でご紹介しましたが、にがりの代わりに海水を使うところもあるので、どちらにも分類されます。
豆腐の加工製品
豆腐は製造されたまま美味しくいただけるのが魅力的ですが、出来上がった豆腐を二次的に加工した製品もあります。
皆さんも食卓で目にする「焼き豆腐」や「油揚げ」がそれにあたるのです。こちらもまずは加工製品をいくつかリストアップさせていただきます。
- 焼き豆腐
- 乾燥豆腐:六条豆腐 / 高野豆腐 / 燻り豆腐
- 生揚げ / 厚揚げ
- 油揚げ / 薄揚げ
- がんもどき
- 腐乳
- 豆腐よう
- 臭豆腐
- 醸豆腐
- 熏豆腐
- 鶏糕
「焼き豆腐」から「がんもどき」までは皆さんの食卓にも並ぶこともあり、一般的となっています。それよりも後者はあまり目に触れることもないと思うので、今回はご紹介のみで説明は割愛させていただきます。それでは一般的な製品をピックアップしてご説明します。
焼き豆腐
水切りした豆腐の両面を直火で軽く焼いて炙り、焼き目をつけたものになります。豆腐に比べて崩れにくい特性を持ち、この特性を出すために木綿豆腐などの固めの豆腐を更に水切りしてから焼き目をつけるのが製法の特徴となります。
すき焼きの具を始め、田楽、煮物、炒め物など様々な料理に使われる豆腐です。
生揚げ / 厚揚げ
1丁から半丁程度に切った豆腐を油で揚げた食品であり、揚げ豆腐の一種になります。生揚げと呼ばれるのは油揚げとは違い、内部が豆腐の状態を保つように十分には揚げないためです。
豆腐の食感を残したまま香ばしさが加わっているため、煮物にした際の味の染み込みも良くなっています。そのため、おでんの種になることも多い製品です。
また、絹ごし豆腐を使用したものは「絹厚揚げ」と呼ばれ、通常の生揚げよりも柔らかく食感がなめらかになっています。さらに最近では、もっちりとした食感のものなども販売されています。
油揚げ / 薄揚げ
薄切りにした豆腐を油で揚げた食品です。厚揚げ同様、揚げ豆腐の一種になりますが、違いとして、薄切りをした豆腐を使用するので内部まで揚がっているのが特徴です。
出汁などを吸い込みやすく、袋状なので他の食材を包み込めるなどの特徴もあり、様々な料理に利用されます。
「稲荷揚げ」、「狐揚げ」、「寿司あげ」とおいう別名や、厚揚げに対して「薄揚げ」と呼ぶ地域もあります。また地方によって少し違った製法や形状のもの、呼び方のものもあります。
- 宮城県定義山:三角油揚げ
- 山形県鶴岡市:皮揚げ
- 新潟県長岡市栃尾地域:あぶらげ
- 奈良県:大和あげ
- 愛媛県松山市:松山あげ
- 熊本県玉名郡南関町:南関あげ
がんもどき
豆腐を潰して、ニンジンやレンコン、ゴボウなどと混ぜて、油で揚げた料理のことを言います。古くは麸を揚げたものでしたが、現在では豆腐が使われます。がんもや飛竜頭ともよばれることもあり、「雁擬き」と字をあてて表記することもあります。
これは元々、がんもどきが精進料理(もどき料理)で肉の代用品として作られたものであるためと言われています。そのため雁の肉に味を似せたとされることから「がんもどき」だと呼ばれ、この字があてられたと言うのが最もよく知られている名前の由来となっています。
豆腐の副産物や関連製品
豆腐を作る過程で実は様々な製品が作られています。いわば副産物とされるものですが、こちらも健康に良いものが多いのが特徴です。こちらもいくつかピックアップしてご紹介していきます。
おから
豆腐を製造する過程で、豆乳を絞った際の搾りかすのことをいいます。日本、中国、韓国など、豆腐が存在する東アジア一帯ではなじみ深い食品です。
食物繊維を多く含むため、大腸の洗浄に効果を発揮するとも言われ、健康志向の方が特に口にすることが多い製品です。
「おから」は絞りかすの意味をもち、茶殻の「がら」などと同源の「から」に丁寧語の「御」をつけたもので、女房言葉のひとつとなります。
凍り豆腐 / 高野豆腐
豆腐を凍結、低温熟成させた後に乾燥させた保存食のことを言います。
乾燥状態では軽く締まったスポンジ状で、これを水で戻し、だし汁で煮込むなどして味を付ける製品です。
高野山で製造される精進料理の1つとして全国に広まった豆腐で、東北地方では「凍み豆腐」とも呼ばれます。また同様に地域ごとに名称の違いが見られ、北海道・東北・甲信越地方では「連豆腐」、大阪では「はや豆腐」、古くは「氷豆腐」と表記されるとこもあります。
一説には日本に豆腐を伝えたのは、この高野山で宗派を開いた空海とも言われ、中国からこの高野豆腐の製法をそのまま持ち帰ったとも言われています。実際中国にも同様の食品があることから可能性は高いと言われています。
豆乳
豆腐を作る際、大豆を水に浸してすりつぶし、水を加えて煮つめた汁を漉したものになります。これににがりを加え、寄せを行うことで豆腐になります。
牛乳に似た外観と食味があり、大豆特有の青臭さがあるのが特徴です。この風味を好む人も多いですが、飲みづらいと感じる人もいるため、果汁を加えたり砂糖などで甘みを加えた飲料も販売されています。
また豆汁を濾した豆乳を「無調整豆乳」と表記しているものもあり、近年は大豆の青臭さを抑えられる製法が開発されているので、果汁などを加えてなくても臭いを気にせず飲めるものも増えてきました。
ゆば(湯葉)
豆乳を加熱した時、ラムスデン現象によって液面に形成される膜を、竹串などを使って引き上げた物で、植物性タンパク質に富む精進料理の材料です。
豆腐は凝固剤を加えて植物性タンパク質を凝固させたものに対し、湯葉は凝固剤を使わず、加熱によって植物性タンパク質が熱凝固したものになります。そのため湯葉は製造が大変で、同量の大豆からは、豆腐の10分の1程度しか製造できません。これにより品質の高いものは特に高級食材として扱われます。