世界が注目!豆腐の栄養成分と健康に対する効果効能
私たちが普段の生活の中でよく口にする豆腐。実は海外で健康食品として注目を集めていることをご存知でしょうか?日本食ブームに伴い、よく使われる豆腐も欧米に渡りましたが、この食品が持つ多くの栄養成分や、そのヘルシーさで食べる人が増加しています。
日本でも近年の健康志向で豆腐を使った様々な料理が考案され、食卓に出るようになっています。そこでこちらでは今世界が注目する豆腐の栄養成分と健康に対する効果効能をご紹介していきます。
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そんなに豆腐は栄養に優れた食べ物なの?
冒頭から豆腐を絶賛させていただきましたが、そこまで優れた食品なの?と疑問を持たれる方もみえると思います。まずはそこから解決していきましょう。
皆さんは体に必要な三大栄養素や六大栄養素というものを耳にしたことはありませんか?三大栄養素とは炭水化物、タンパク質、脂質の3つを指し、六大栄養素は先の3つにビタミン、ミネラル、そして食物繊維あるいは水が加わります。
豆腐は三大栄養素は元より、六大栄養素で見ても豊富な含有量を誇ります。もちろん多ければいいと言うわけではありませんが、豊富に含んでいてもカロリーはそこまで多くなく、むしろ少な目な食品です。
それ故に栄養素は豊富に含み、摂取カロリーは少なめのヘルシーな食品として、日本でも「スーパーフード」と呼ばれるほどの食べ物なのが豆腐なのです。ただこれだけでは分かりにくいので、さらに凄いところを掘り下げてみてみましょう。
畑の肉と呼ばれる大豆の栄養パワー
豆腐の原料となっている大豆が「畑の肉」と呼ばれるのはご存知でしょうか?
こう呼ばれる所以は、大豆にタンパク質が豊富に含まれているからです。タンパク質を多く摂取出来る食品は主に肉類や魚介類、卵となります。ただタンパク質は適当にとればいいわけではなく、体に必要な必須アミノ酸になる物でなければいけません。
もちろん肉や卵にも含まれていますが、それ以外のタンパク質も含まれています。またカロリーが高いものが多く、脂質なども多く摂ることになるのも気になるところです。
話を戻して、唯一野菜の中でこのタンパク質を多く摂ることが出来るのがこの大豆になります。実に乾燥大豆の約30%はタンパク質となっています。これは肉に匹敵する含有量だと言われており、そのために畑の肉というネーミングとなりました。
もちろん先述のタンパク質からできる必須アミノ酸は、大豆にバランスよく良質な物が含まれており栄養価が高い「良質なタンパク質」とされています。これについて詳しくは後述させていただきます。
もちろん肉類などの様に脂質も含みますが、肉類が動物性の脂質なのに対して、大豆のそれは植物性であるため体に吸収されにくくなっています。
他にも血中コレステロールの低下作用、肥満の改善効果などの生理機能があると言われています。カロリーも少ないく、さらに食べる上で気になる脂質が吸収されにく、さらには体質改善効果もあるとなればヘルシーな食材として注目を集めるわけです。
そこから作られた豆腐では、大豆のタンパク質の消化吸収率が実に95%と言われ、同じ大豆製品の納豆が91%となっており、実に4%も上を行っています。大豆のタンパク質を効率よくとるためには、豆腐は最適な製品となっているのです。
消化吸収に優れ胃腸に優しい
豆腐の92~98%は消化吸収されるといわれています。製造の過程で大豆の組織をしっかり壊し、豆乳にする過程でタンパク質や脂肪を遊離させてから消化の悪い繊維質を取除き、再び固めたのが豆腐なので、消化吸収がよいのです。
栄養価に優れた消化しにくい大豆を、消化しやすいように加工したものが豆腐なのです。そのため、離乳食や病人食、老人食にも向いています。含まれている栄養素については詳しく紹介させていただきますが、どれもが健康的に生きる中で必要な物ばかりとなっています。
良質な栄養素と高いアミノ酸スコア
人の体にとって必要な三大栄養が豊富に含まれている事、その中のタンパク質は良質で、体内では作れない必須アミノ酸が多く含まれている事は先述した通りです。
このアミノ酸を表す上で、アミノ酸スコアというものがあります。
どう言うものなのかというと、食事をするとき必要とするタンパク質を効率的に摂るためには良質なタンパク質を摂ると同時に、必要なアミノ酸が摂れる食品を組み合わせることが大切です。
特定の食品に含まれる必須アミノ酸の構成比から栄養価を判断する方法がありますが、これによって算出された数値を「アミノ酸スコア」といいます。これは各アミノ酸が基準値に対して、どれくらいの割合が含まれているかを示すもので、各必須アミノ酸が100に達したものが良質なタンパク質ということになります。
ちなみに100に満たないものを制限アミノ酸といい、数値の低いものから第一制限アミノ酸、第二制限アミノ酸と順番に呼びます。
さて、豆腐の原料である大豆はアミノ酸スコアは100となっています。また、大豆を原料とする豆腐のアミノ酸スコアも100となっています。大豆が100であり、そのタンパク質を98%消化吸収できる豆腐であれば当然と言えば当然ですが、優秀な数値です。
大豆にはアミノ酸がバランスよく含まれていますが、若干不足するものがあります。それは他の食材で補うしかありませんが、それがメチオニンとシスチン、そしてスレオニンになります。メチオニンとシスチンは精米で、スレオニンは魚や肉、卵で補うことができます。
種類別:豆腐の栄養素
ここまで豆腐に含まれるタンパク質が如何に良質であるか触れさせていただきました。
また脂質についても植物性であり体に吸収されにくいことは先述しました。こちらは植物性脂質は魚類同様、多量の不飽和脂肪酸を含み、この不飽和脂肪酸はコレステロールを減らす働きに優れています。
それだけではなく、動脈硬化や高血圧の予防、血栓症の予防、アレルギー症状の緩和とアトピー性皮膚炎の改善、記憶力や学習能力の向上、視機能の改善効果などが望めるなど、優れた油となっています。
そんな良質なタンパク質や脂質を含む豆腐ですが、ここで細かくカロリーや栄養素を見ていきましょう。
栄養成分名 | 単位 | 木綿豆腐 | 絹ごし豆腐 | ソフト豆腐 | 充填豆腐 |
エネルギー | kcal | 216 | 168 | 177 | 177 |
kj | 907.2 | 705.6 | 743.4 | 743.4 | |
水分 | g | 258 | 267 | 264 | 264 |
タンパク質 | 19.8 | 14.7 | 15.3 | 15 | |
脂質 | 12.6 | 9 | 9.9 | 9.3 | |
糖質 | 3.6 | 8.1 | 4.8 | 6.6 | |
食物繊維 | 1.2 | 0.9 | 1.2 | 0.9 | |
灰分 | 1.8 | 1.8 | 1.8 | 1.8 | |
カルシウム | mg | 420 | 129 | 273 | 84 |
リン | 330 | 243 | 246 | 249 | |
鉄 | 2.7 | 2.4 | 2.1 | 2.4 | |
ナトリウム | 39 | 21 | 21 | 15 | |
カリウム | 420 | 450 | 450 | 600 | |
マグネシウム | 93 | 132 | 96 | 186 | |
亜鉛 | 1.8 | 1.5 | 1.5 | 1.8 | |
銅 | 0.45 | 0.45 | 0.48 | 0.54 | |
ビタミンK | ug | 39 | 36 | 30 | 33 |
ビタミンE | mg | 0.6 | 0.3 | 0.3 | 0.9 |
ビタミンB1 | 0.21 | 0.3 | 0.21 | 0.45 | |
ビタミンB2 | 0.09 | 0.12 | 0.09 | 0.15 | |
ビタミンB6 | 0.15 | 0.18 | 0.21 | 0.27 | |
ナイアシン | 0.3 | 0.6 | 0.3 | 0.9 |
この表を見るだけでも様々な栄養素が含まれているのが分かります。六大栄養素を満遍なく内包し、特に三大栄養素の含有量は高くなっています。
豆腐のタンパク質
良質なタンパク質が摂れるとは説明してきたものの、タンパク質はなぜ必要なのか、ということは触れてきませんでした。
タンパク質は体を作る役割を果たしており、体の水分を除く固形物のうち60%以上はタンパク質が占めています。筋肉だけでなく、臓器、皮膚、爪、髪など、カラダのあらゆる組織を作る成分となっています。
また免疫グロブリンの原料にもなります。これはあまり知られていないタンパク質の働きです。これは抗体のことで、体に侵入してきた細菌やウイルスを排除する働きをします。
それ以外にも酵素やヘモグロビンの原料にもなっています。過剰摂取をすると腎臓に負担をかけてしまい、カルシウムの排泄を促すため不足しがちとなり、骨粗鬆症になるリスクを高めてしまいますが、体の機能を維持するためには非常に重要なのです。
先述した通り、豆腐はこのタンパク質の含有量が肉に匹敵すると言わています。そうなると毎日の食事に豆腐を取り入れることで、体に必要なタンパク質を摂取できると言うことになります。ただ豆腐を1丁だけ食べれば1日に必要なタンパク質が摂取できるわけではないので気を付けてください。基本的な生活をしている方で言えば、体重×1.08g程度が1日に必要なタンパク質量になります。
例えば60kgの人とであれば、 60kg×1.08g=64.8g となります。多いように見えますが、豆腐を1丁食べるだけで、その内のおよそ1/4は補える計算になります。木綿豆腐であればおよそ1/3になります。それだけ豆腐は優秀な食品となるのです。
木綿豆腐1丁(300g)のタンパク質
木綿豆腐は4種の一般的な豆腐の中ではタンパク質の含有量が最も高くなっています。これは生成の時に圧搾成型し栄養素を凝縮しているためです。同量のタンパク質を別の食品で摂る場合、以下の量が必要になります。
- 牛肉:116.4g
- 豚肉:141.4g
- 鶏もも肉:79.2g
- 卵:160.9g
- まぐろ:81.4g
- ご飯:792g
代表的な肉類、魚、卵、穀類をピックアップしてみました。タンパク質が豊富な肉類や魚類と比べても1丁で100g前後と同様の含有量であることが分かります。
絹ごし豆腐1丁(300g)のタンパク質
絹ごし豆腐は4種の中ではタンパク質含有量に劣りますが、それでも他の食品に比べれば多いことはが分かります。先ほどと同じように、他の食品と比べてみましょう。
- 牛肉:86.4g
- 豚肉:105g
- 鶏もも肉:58.8g
- 卵:119.5g
- まぐろ:60.4g
- ご飯:588g
同量を豚肉や卵100gより多いことが分かっていただけると思います。鶏もも肉やまぐろは含有量も多いので、こちらの方が少なく感じるかもしれませんが、含まれているタンパク質の質が違うため、良質なタンパク質を摂ろうと思うと豆腐の方がいいでしょう。
ソフト豆腐1丁(300g)のタンパク質
ソフト豆腐のタンパク質は標準的な量となっています。ただ絹ごし豆腐や充填豆腐とそれほど変わらないので、お好みで選んで食べてもそれほど摂取できる栄養素の違いはありません。
- 牛肉:90g
- 豚肉:109.2g
- 鶏もも肉:61.2g
- 卵:124.8g
- まぐろ:62.9g
- ご飯:612g
充填豆腐1丁(300g)のタンパク質
こちらは絹ごし豆腐とソフト豆腐の間程度のタンパク質含有量になります。1丁(300g)で15gはなかなか優秀な量となっています。こちらも他の食品で同量のタンパク質を摂るのであれば以下のような量が必要があります。
- 牛肉:88.2g
- 豚肉:107.1g
- 鶏もも肉:60g
- 卵:121.9g
- まぐろ:61.7g
- ご飯:600g
機能性食品としての豆腐の栄養効果
それではタンパク質を含め、機能性食品としての豆腐の栄養効果をここから説明していきます。豆腐が体に効果を与える栄養素は実に10種類もあります。1つずつ見ていきましょう。
タンパク質
豆腐に含まれているタンパク質は、血液中のコレステロールを下げたり、血圧の上昇を抑えたりすると言われています。先述通り、大豆には必須アミノ酸が豊富に含まれ、その種類は9種類にものぼります。またそれを含めアミノ酸自体も20種類含まれています。
この大豆から作られる豆腐も当然、この計20種のアミノ酸を摂れる食材となっています。
大豆(豆腐)に含まれる必須アミノ酸
- イソロイシン
- ロイシン
- リジン
- メチオニン
- スレオニン
- トリプトファン
- バリン
- ヒスチジン
- フェニールアラニン
大豆(豆腐)に含まれる非必須アミノ酸
- グリシン
- アラニン
- セリン
- シスチン
- アスパラギン酸
- アスパラギン
- グルタミン酸
- グルタミン
- アルギニン
- チロシン
- プロシン
リノール酸
豆腐の脂質にはリノール酸が多く含まれています。これは、他の脂質と違ってコレステロールがほとんど含まれていません。さらに血管に付いているコレステロールを取除いてくれる善玉コレステロールを増やしてくれます。
レシチン
レシチンは、体の構成成分やエネルギー源になったり、血中のコレステロール値や中性脂肪を調節する不飽和脂肪酸によって構成されています。この不飽和脂肪酸は先述通り、植物性脂質に含まれています。
そのため、血管のコレステロールを溶かして血液の流れをスムーズにしたり、固まるの防いでコレステロールの付着を防いだりします。また、肝臓の中の脂肪分を減少させる働きも期待できます。
コリン
コリンはレシチンを構成する成分の1つです。レシチンが腸内で分解されて独立することでコリンになり、脳に運搬されて情報伝達物質のアセチルコリンへと変化していきます。つまり、脳を活性化してくれるのです。
ちなみに納豆が脳の活動に良いとされるのも、豆腐同様、大豆由来の成分であるコリンが含まれているためだと言われています。
サポニン
大豆サポニンは、喉に渋みや苦みなどの不快感を残してしまう原因物質です。これが大豆や豆腐を煮た時に出てくる灰汁となります。
しかし、このサポニンは脂肪の蓄積を防止したり、血管についた脂肪を洗い流したり、脂肪酸が酸化したりするのを防ぐなどの効果が期待できます。
また腸を刺激して調子を整える、活性酸素の働きを抑える、血栓を予防するなど様々な効果、さらには発癌の予防に至るまで様々な効果が報告されています。
イソフラボン
イソフラボンは世界的にも注目を集めている物質です。女性ホルモンと働きが似ており、女性ホルモンが減ったことによって起こる様々な症状を改善してくれるといわれています。
また、更年期障害などによるコレステロールや高血圧を抑えたり、循環器疾患のリスクを減らしたりする効果もあります。
トリプシンインヒビタ
トリプシン阻害因子ともいわれ、タンパク質を分解する酵素であるトリプシンの働きを阻害したり、消化吸収を邪魔したりする存在です。その一方でインシュリンの分泌を盛んにしてくれるため、糖尿病の治療や予防の効果が期待できるとして注目されています。
オリゴ糖
オリゴ糖は大豆の糖質を構成するもので、豆腐の甘みを引き出しています。腸内の悪玉菌が増えるのを抑制したり、免疫力を向上させたり、発癌性物質を分解したりするビフィズス菌の餌となる物質でもあります。
そのため、豆腐によってオリゴ糖を摂取することで、先ほど述べたようなビフィズス菌の効果が期待できます。繊維質をほとんど含まない豆腐ですが、オリゴ糖のおかげで腸内浄化などの点で、繊維質と同じような働きがあるといえます。
カルシウム
皆様ご存知であるカルシウムは、骨や歯などを作るミネラルで、精神の安定にも関連する栄養素です。豆腐には良質なタンパク質が含まれているため、吸収されにくいカルシウムの吸収率が格段に上がるといわれています。
ビタミン類
こちらは栄養素の一覧からも見て取れますが、豆腐にはビタミンEやビタミンB1、B2、ナイアシンといったビタミン類が含まれています。このビタミン類は血行を良くしたり、脂肪や活性酸素の酸化を防いでくれます。