手作り味噌レシピ!自宅で簡単お味噌の作り方
現在この日本には様々な味噌が存在しています。その多くが市販品と販売されています。味噌の歴史は古く、私たちの食生活にも深い関わりを持っています。
そんな味噌をもっと身近に、もっと美味しく食べてみたいとは思いませんか?今回は自宅で出来る美味しい味噌作りについてご紹介していきます。
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味噌作りを始める前の基礎知識
先ほどもご説明した通り、味噌と言っても様々な種類があり、同じ味噌でも味が異なることがあります。
例えば米味噌と呼ばれる味噌は甘味噌、甘口味噌、辛口味噌と味だけでも3種類の違いがあります。
手作り味噌にも分量の違いで甘口、中辛、辛口と味を変えることができます。作業工程は同じですが途中で分量を変えることはできないので、味噌を作る前にどの味でいこうか決めてから始めてください。
手作り味噌の作り方
それではいよいよ味噌作りを始めていきましょう。材料やその分量、道具などを記載しておきますので、まずはそれをしっかりと確認の上、もれなく準備していただきたいと思います。
手作り味噌の材料
まずは用意する材料からです。主要で使うのは以下の3つになります。ただ先述した通り分量によって味が変わりますので、それぞれの味に合わせて3区分に分けた記載をさせていただきます。
味噌の味 | 大豆 | 麹 | 塩 |
甘口味噌 | 1kg (=1000g) |
2.6kg (=2600g) |
700g |
中辛味噌 | 1.3kg (=1300g) |
2kg (=2000g) |
800g |
辛口味噌 | 1.5kg (=1500g) |
1.8kg (=1800g) |
800g |
上記を見てお気づきの方もいるかもしれませんが、味は塩による調節はほとんどしません。大豆と麹の割合の違いで味が変わります。麹が多くなれば甘口、その逆は辛口となるのです。
またこの材料での完成品の味噌の分量はおよそ6kg(=6000g)、塩分濃度は11~12%で設定されています。
オリジナルで分量を調整する、あるいは塩分濃度を変えいた場合には塩の量を調節するのではなく、大豆と麹のこの割合を参考にしていただいて調整をしていただくといいです。
調整した時の分量が分からないという方の為に、このページの最後にその算出方法を記載しておきます。
味噌作りの前に準備する道具
続いて使う道具です。以下のものを準備してください。[ ]はご家庭に無い場合の代用品になりますが出来る限り、推奨の道具を使っていただけると簡単にできます。
- 大きめの容器(大きめのボールやプラスチック樽など)
- 圧力鍋[大きめの鍋]
- ミキサー[ワインなどが入っていた分厚いガラス瓶とビニール袋]
- タライ[大きめの容器]
- 仕込み用の樽
- 落とし布またはラップ
- 石または2リットルペットボトル(水入り)
- アルコール入りの霧吹き器
大きめの容器は大豆を洗い、水に浸すときに使いますので、大豆の分量が丸々入りかつ、その分量の3倍の水が入る容器を準備してください。
今回は簡単にというのがテーマの為、圧力鍋を推奨します。お値段はそこそこしますが、味噌作り以外にも様々な料理で幅が広がるためご購入をオススメします。
アルコール入りの霧吹き器ですが、中身は調理用の日本酒などを使用してください。これはあくまでも消毒用なのであまり量は使いません。また味噌は使わなくても雑菌などは繁殖しにくいですが、今回は使う手順でご説明します。
準備する道具は以上になります。それでは味噌作りをスタートしていきましょう。
味噌作りの作業工程
まずはご覧いただいている皆様にイメージとゴールをはっきりと意識していただくため工程を一覧にさせていただきました。
- 下準備(大豆を水に浸ける)
- 大豆を煮る
- 大豆を潰す
- 塩切り麹を作る
- 仕込み味噌を作る
- 味噌を仕込む
- 発酵熟成させる
以上の7工程になります。工程自体は簡単なのですが、時間がかかることは予めご了承いただきたいと思います。発酵熟成の項でも触れますが、食べられるまでにおよそ1年かかります。
それでは工程を詳しく見ていきましょう。ポイントも載せておきますが、最後にもう一度おさらいするので、まずはしっかりと手順を理解してください。
1.下準備(大豆を水に浸ける)
まずは使用する大豆を柔らかくするため、水に浸します。この項での手順は以下の通りです。
- 大きめの容器に大豆を入れよく洗う。米を研ぐ要領で少量の水でかき混ぜ豆同士の摩擦によって汚れを落とす。目安は3~5回洗う。
- 容器内の水を一度よく切り、改めてきれいな水に大豆を浸す。水の量は大豆の3倍の量を必要とする。
- 大豆を18時間水に浸ける。大豆の芯がなくなるまで水を吸収させる。
この3工程になります。ここでのポイントは水の量と浸す時間です。こうすることによって大豆はかなり柔らかくなります。
大豆に芯が残っているとこの次の煮込みの工程で中まで火が通りにくく固さが残ってしまいます。美味しく作るためには下準備からしっかり行わなければいけないんですね。
大豆は水を含むと肥大化し、18時間後には倍程度からそれ以上の大きさになります。
2.大豆を煮る
- 水に浸し肥大化した大豆を圧力鍋に入れる。この時一度水をすべて捨て、改めて新しい水を入れる。水位は大豆が全て沈む程度あればいい(すりきれるくらい)。
- 最初は強火で、沸騰したら弱火にし約20分ほど煮る。
ここでのポイントは煮込み終わった大豆の柔らかさです。煮あがった大豆を親指と小指で挟み潰れるぐらいがちょうどいい固さと言われています。
正確な圧力だとキッチンばかりがあるのであれば、一粒に圧をかけ500g前後(450~600gが許容範囲)で潰れるくらいが理想になります。
圧力鍋は小さいものが多いので、一気に煮るのは難しいと思います。4回程度に小分けして煮ていただくといいです。
もし圧力鍋がないのなら大きめの鍋での煮込みになります。この場合、煮込み時間は3時間程度を要します。圧力鍋同様、強火で始め、沸騰したら弱火にしてください。
その際、弱火で煮るときに灰汁を取りながら煮あげてください。
3.大豆を潰す
大豆が煮あがったら温かく柔らかいうちに潰します。工程は以下の通りです。
- 煮込みが終わったら火を消し少し冷ます。煮あがったり直後では熱すぎるため潰す工程に入れないため。
- 手で触れても大丈夫な程度の熱さになったらミキサーに入れて潰す。全部は入らないので何回かに分けて潰す。
- 潰し終わったらものは常温(25~30℃)程度になるまで冷ます。
ポイントは原型がなくなるくらいになるまで潰すこと、そして潰し終わったら常温程度になるまで冷ましておくことです。
手で行う場合は袋に大豆を詰め、用意した瓶で上から力をかけ潰していきます。この時袋が破れる可能性があるので注意して下さい。
4.塩切り麹を作る
大豆を冷ましている間に塩切り麹を作ってしまいましょう。これは1工程しかありません。
- タライの中で麹を塩を混ぜる。塩は一気に麹に混ぜず少しずつ入れながら混ぜ合わせる。
タライがない方は水分を拭き取った大きめの容器の中でこの作業を行っていただくといいです。
この工程で塩によって麹の中の麹菌は死滅します。今回は味噌作りなので詳しくは割愛しますが、その時発生する酵素によって味噌が発酵熟成するので大切な工程の1つです。
5.仕込み味噌を作る
いよいよ仕込み味噌を作ります。硬さなどは以下を参考にしてください。
- 作った塩切り麹と潰して冷ました大豆を混ぜ合わせる。「耳たぶ程度の硬さ」あるいは「小指がすんなり入るくらいの硬さ」になるまでよく混ぜる。
- 混ぜ合わせた味噌を団子状にする。
ここでもポイントは大豆の温度と、味噌の硬さにあります。
常温程度に冷ましたのは、塩切り麹内の酵素の働きが活発になるのが27℃程度だからです。それ以上や以下の温度だと酵素がうまく働かず発酵ができなくなるのです。
また味噌の硬さも発酵や熟成にも重要となってきます。味噌は「柔らかく煮て、硬く仕込む」が合言葉になるほど、その硬さを重要視します。美味しく作るためのコツですね。
団子状にするのは味噌を仕込むときに空気の隙間を作らないためです。これを後程、樽の中に詰めていきます。
6.味噌を仕込む
いよいよ工程も最終段階です。ここでは少々力がいる作業になります。
- 仕込み用の樽に軽くアルコールを吹きかけ消毒をする。
- 樽に味噌団子を押し込めながら詰める。一層に団子が埋まるたびに拳で上から押して詰め、空気が入る隙間をなくす。
- 一層ごとに繰り返し団子を詰め押す作業を繰り返す。
- 仕込み終わったら落とし布あるいはラップをする。この時表面に空気の層ができないように気を付ける。
ここでのポイントは仕込みの作業中、空気の隙間を作らないことです。空気が入ってしまうとそこにカビが生える可能性があります。
また道具の項でも説明しましたが、アルコールでの消毒は必須と言うわけではありません。これをしなくても味噌に混ぜた塩により雑菌はそれほど繁殖しません。ただ万全を期すためにも行っておくといいです。
落とし布あるいはラップも表面部分を空気に触れさせないためです。ただそれでも白い物質が表面に出ることがありますが身体に害があるものではありません。
7.発酵熟成させる
これは工程と言ってもひたすら放置しておくだけです。ただこまめに様子は見てあげてください。
先ほどの白い物質はいいのですが、青や緑の物質が出てきた場合は要注意です。これは有害なカビになりますので、すぐに取り除いてあげてください。
手作り味噌の保存期間と保管場所
ここで発酵熟成期間や保管場所などについてまとめておきたいと思います。
手作り味噌の発酵熟成期間
- 10カ月~1年程度だが味噌の製作時期によって変化
- 春(4~6月)仕込み・・・10ヶ月から食べ始められる
- 冬(1~3月)仕込み・・・12ヶ月から食べ始められる
夏場は最も発酵が進みやすいため仕込む時期によって発酵熟成期間が変わります。
春に仕込むと少し短めの期間で味噌が食べられますが、気候が温かいので多少雑菌がわくリスクが出てきます。
冬に仕込むと雑菌がわくリスクは減りますが、ゆっくり発酵しだすので食べられるまでに少し時間がかかります。
味噌は「ひと夏超えた時期から食べられる」というのが基本になります。その頃になると発酵されて味噌らしい風味が醸されます。
様子を見ながら味見をして好みの味になる時期を見つけるのもいいかもしれません。続いてこの熟成発酵をする場所ですがこのような条件が理想的です。
これ以上を超えると水分が減少していき、風味も落ち、とても硬い味噌になってしまいます。それが好きと言う方も見えますが、なかなか独特の風味になるため、あまりオススメはできません。
手作り味噌の保管場所
- 温度が高めで湿度が低く、直射日光を避けた風通しの良い場所
- 様子を見るため目の届きやすい場所
具体的な温度としては酵素の説明でも出しましたが27℃前後がいいです。このような条件が満たされるのはリビングなど普段の生活の中に直結する場所がいいです。
人が過ごしやすい環境だと味噌も過ごしやすいんですね。
手作り味噌の保存方法
熟成が終わったらタッパーなどに小分けにして、こちらも空気に触れないよう内側にラップを敷いて密閉し冷蔵庫や冷暗所に保存するといいです。
先ほど出てきた白い物質ですが、出てきた場合は小分けにする前に取り除いてください。身体に害はないとご説明しましたが、酵母であり、酵母はカビの一種です。
活発に発酵熟成をしている証拠なのですが、食べるときには必要ないので取り除いてしまって構いません。
手作り味噌の上手な作り方のポイント
それではここまで出てきたポイントをまとめておきましょう。
- 大豆の3倍の水に18時間浸して柔らかくする
- 大豆を親指と小指で潰せるくらいまで煮あげる
- 煮あげた大豆は原型がなくなるまで潰す
- 潰した大豆は常温程度まで冷ます
- 塩切り麹と大豆を混ぜた時は耳たぶ程度の硬さになるまで混ぜる
- 仕込み時は空気の隙間ができないようにする
- 発酵熟成は人の過ごしやすい場所で保管する
- 発酵熟成期間は仕込みの時期次第だが10カ月~1年
このポイントが失敗せず美味しく味噌を作るコツでもあります。各工程で1つずつ気を付けて行っていけば難しい内容ではありません。その都度丁寧に確認していきましょう。
また、ピントルの味噌専門ページでは、味噌の種類ごとに特化した手作り味噌のページもご用意してあります。白味噌や赤味噌など、基本的な作り方はこのページと同じですが、より詳しく味噌の作り方を知りたいという方は参考にしてください。
初心者必見!おすすめ手作り味噌セットまとめ
さて、ここまで説明させていただきましたが、やはり材料や道具を準備をするのは大変です。特に初めての方は足りないものをいろいろ準備しなければいけません。
そこでここからはオススメの手作り味噌セットを紹介させていただきます。
味噌手作りセット 樽付き
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それぞれ材料から仕込み用の樽まで1セットになっているため大変便利になっています。材料もこのまま使えばいいので、材料は他に準備する必要はありません。
ミキサー
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ミキサーも様々な種類がありますが、豆を潰すのであればヘルシーミキサーがオススメです。安価なので手に入れやすいですが、用途が限られるのでご購入の際はご注意ください。
圧力鍋
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圧力鍋もこの機会に、と言う方はこちらを参考にしていただいてもいいかもしれません。最近の圧力鍋は特に性能がいいので、お好みの鍋を選んでみてはいかがでしょうか。
手作り味噌に使用する材料の分量算出方法
それではここでは分量の計算方法をご紹介したいと思います。今回の説明の中で挙がった甘口の材料を例に説明をさせていただきます。
今回は分量の調整のための計算、そして塩分濃度の計算を見ていきましょう。
具体的な算出方法
- 大豆 1kg(=1000g)
- 麹 2.6kg(=2600g)
- 塩 700g
まず大切なのは大豆と麹の比率です。これがどの味にするのであっても要になります。
大豆は水に浸し、さらに煮込んで質量が2.5~3倍程度になります。実はこの分量で比率も考えなければいけません。よって煮込み後の大豆の質量は3kg(=3000g)として考えていきます。
- 煮込み後の大豆 3kg(=3000g)
- 麹 2.6kg(=2600g)
- 塩 700g
大豆 : 麹 = 3kg : 2.6kg = 30 : 26 = 15 : 13
この比率はどれだけ分量を変えても変わりませんので、いつでも使えます。またこの出てきた比率は足しておきましょう。
15 + 13 = 28
これも甘口であれば絶対変わらない数値となります。なぜこの数値が必要かは後で分かります。
では続いて必要なのが現在の材料における塩分濃度の算出です。まずは全ての材料の質量の合計を出します。
3000g + 2600g + 700g = 6300g
塩分濃度を出すため、塩の質量から全体の質量を割れば塩分濃度が出ます。
700g ÷ 6300g × 100 = 11.1111・・・ (割合では%に直すために必ず × 100 をする)
小数点以下を四捨五入しても11%となります。それではこれを塩分濃度が9%になるように質量を変えてみましょう。
まずは9%のままで計算できないので、割合に直します。
9% × 0.01 = 0.09
食塩の量は変えてはいけないので、その食塩の量を基準にして分量を変えた後の全体の質量を出します。
700g ÷ 0.09 = 7777.77・・・
十の桁を四捨五入すると、7800g程度と考えれます。この中には塩も入っているため塩の分量は除いておきましょう。
7800g - 700g = 7100g
ではこの残りの分量は何か、これは煮込んだ大豆と麹の合計質量になります。ここからそれぞれの分量を出さなければいけません。ここで先ほどの比率が必要になります。
大豆 : 麹 = 15 : 13 (2つの合計は28)
では麹から出してみましょう。大豆は水を含んで分量が増えてしまっているため、あとで計算します。
7100g × 13 ÷ 28 = 3296.42・・・
およそ3300g程度の麹が必要になります。そうなると、
7100g - 3300g = 3800g
この分量が煮込んだ大豆の分量になります。3倍程度に膨れ上がっているので、減らして元の分量にしなければいけません。
3800g ÷ 3 = 1266.66・・・
およそ1300g程度になります。多少材料は多めになってしまいますが、塩分濃度は9%になります。結果塩分濃度を変えるのに必要な各材料は、
- 大豆 1.3kg(=1300g)
- 麹 3.3kg(=3300g)
- 塩 700g
という分量が最終的に必要な質量になります。では各味の比率はどのようになるのでしょうか。
- 甘口・・・大豆 : 麹 = 15 : 13 (合計28)
- 中辛・・・大豆 : 麹 = 39 : 20 (合計59)
- 辛口・・・大豆 : 麹 = 5 : 2 (合計7)
さらに計算できるよう公式化してみましょう。
味噌の材料調整の公式
- 塩 ⇒ [A]g (甘口であれば700g 中辛・辛口であれば800g)
- 変更したい塩分濃度 ⇒ [B]%
甘口味噌の場合
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 13 ÷ 28 = 必要な麹の質量[C]g
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 15 ÷ 28 ÷ 3 = 必要な麹の質量[D]g
中辛味噌の場合
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 20 ÷ 59 = 必要な麹の質量[C]g
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 39 ÷ 59 ÷ 3 = 必要な麹の質量[D]g
辛口味噌の場合
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 2 ÷ 7 = 必要な麹の質量[C]g
- { ( A ÷ B × 0.01 ) - A } × 5 ÷ 7 ÷ 3 = 必要な麹の質量[D]g
塩分濃度を変えた後の質量(各味共通)
- 大豆 ⇒ [C]g
- 麹 ⇒ [D]g
- 塩 ⇒ [A]g (甘口であれば700g 中辛・辛口であれば800g)
完全に割り切れないので、十の桁で四捨五入しておおよその量で考えてください。多少比率は変わりますが、それほど影響はありません。
また上記の質量を使って塩分濃度の出し方も公式化しておきましょう。
A ÷ ( C × 3 + D + A ) × 100 = 塩分濃度
これも是非参考にしていただくと料理の手助けになると思います。是非自分好みの美味しい味噌を作ってみてください。