八丁味噌の魅力や特徴と美味しい食べ方
東海地方などの地域で愛される八丁味噌ですが、地域によっては馴染みのない方もみえるでしょう。八丁味噌を食べたこと無い方は、食べてみると驚かれることも沢山あると思います。
今回は知ってみえる方も知らないという方も、八丁味噌の特徴や作り方、食べ方などこの味噌について詳しく知っていただけるように説明していきます。
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八丁味噌の特徴
古くは岡崎市の旧八丁村(現八帖村)で作られたことから「八丁味噌」と呼ばれました。また最終的に赤褐色の味噌になることから「赤味噌」とも呼ばれます。現在は赤味噌の方が全国的にはメジャーな呼び方かもしれません。
八丁味噌は他の味噌と作る過程の材料で大きな違いがでます。この味噌は米麴や麦麴を用いず、大豆の全てを麴にした豆麴で作られます。
防腐を防ぐため塩分濃度を高めているため独特の渋みと旨みが出ますが、それ故なのか全国的に塩辛いと言うイメージがあります。
しかし実は八丁味噌は塩分が少ないのも特徴になります。こちらは栄養価やカロリーの項で実際に塩分濃度を見ていただければ明らかになります。
八丁味噌の原材料
特徴でも説明しましたが、原材料は大豆と塩のみになります。製作には大豆を元にした豆麴と麹菌の抑制と発酵熟成のために混ぜる塩しか混ぜません。防腐剤なども使用しないため、原材料は非常にシンプルになっています。
八丁味噌の栄養価やカロリー
まず最も気になるのは塩分だと思います。他の味噌が平均12%程度の塩分濃度に対し、八丁味噌は11%弱と低めになっています。
では味が濃いのはなぜか、それは大豆の旨み成分の効果によるものです。麹菌から出来る酵素が大豆のたんぱく質を分解しアミノ酸を作ります。他の味噌より大豆が大幅に多いので、その分だけアミノ酸が多く精製され旨みが増えるのです。
もう少し細かく見てみましょう。大さじ1杯(18g)分の総カロリーと三大栄養素の量を一覧にしてみました。
大さじ1(18g)中の栄養価とカロリー
- エネルギー : 39kcal
- たんぱく質 : 3.1g
- 炭水化物 : 2.61g
- 脂質 : 1.89g
食パン1切(60g)が160kcalなので、その4分の1のカロリーしかないわけですね。さらに味噌汁にするとカロリーは抑えられ、25kcal程度となります。
そのまま使ってもカロリーは高くありませんが、水に溶かすとされにヘルシーな調味料になるわけです。
八丁味噌を愛用する地域
八丁味噌の名前の由来ともなっている岡崎市は愛知県にあります。そのため、愛知県を中心とし、岐阜、三重などで愛用されています。
愛知県は特に名古屋圏と呼ばれる地域で八丁味噌を使った料理が複数あり、今では他県から来た旅行客の方も店に立ち寄って食べられたり、お土産として持ち帰るなど人気が出てきている味噌です。
八丁味噌の作り方
それではここからは八丁味噌の作り方を説明していきたいと思います。八丁味噌は家庭でもとても簡単に作れます。材料、道具共に簡単に手に入れられるので是非挑戦してみてください。
八丁味噌作りの材料
- 豆麹 2.7kg(2700g)
- 塩 400g
- 水 700ml
たったこれだけです。水は水道水を直接使わず、一度沸騰させて冷ました種水の状態にしてください。
八丁味噌作りの道具
- 熟成用の容器(プラスチック樽など)
- 容器に合う蓋
- 重石(1.2~1.5kg程度)
道具もさして多くありません。およそ4kg分の材料を混ぜるので、それなりの大きさがある容器を用意してください。重石は全体の30%程度の重さが必要になるので、上記の重さになります。
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八丁味噌作り
さて材料や道具が少ないのも然ることながら、工程も少なく非常にシンプルで、以下の通りになります。
- 材料を合わせる
- 落し蓋をし、重石を乗せる
- 発酵熟成させる
- 容器を移し替え保存する
この4工程になります。非常に簡単ですが、八丁味噌は熟成期間が長いため、食べられるまでに時間がかかるのがネックです。そのあたりは後程説明するとして、早速作り方を見ていきましょう。
1.材料を合わせる
- 準備した種水に塩を溶かす。飽和状態なので全部は溶けないが、出来る限り溶かした状態にする。
- 豆麹を熟成用の容器に入れる。なるべく表面は平らになるように馴らす。
- 出来た塩水を豆麹が入っている容器に入れる。この際、豆麹を完全に塩水に浸からせる。
この第1工程でほとんどの作業は終了です。全ての麹に塩を行きわたらせるため、必ず塩水は豆麹の表面よりも上に水位が来るように入れてください。
2.落し蓋をし、重石を乗せる
- 落し蓋を乗せる。この時、豆麹が水に浸かっていない場合は塩水を加える。
- 重石を乗せる。
水と蓋によって豆麹は空気に触れないような状態になります。あとは発酵熟成を待つだけになります。
3.発酵熟成させる
水に溶かした塩によって豆麹の麹菌は死滅し、酵素が生まれます。この酵素が大豆のたんぱく質を分解し、アミノ酸を作り出すことで旨味へと変わっていきます。
ただ先ほども述べた通り非常に時間がかかるのがこの八丁味噌の特徴でもあります。八丁味噌の天然醸造は「二夏二冬」というのが基本となっています。
基本仕込むのは1~3月の冬がベストです。
そこから一夏を超え9月に熟成の最高点を迎え、10月から徐々に沈静化していき、2月ごろ落ち着きます。これを2回繰り返すことで美味しい八丁味噌が作られるのです。
保管場所は27℃くらいの湿度が高くなく直射日光の当たらない涼しい場所がオススメです。つまりは人の住みやすい場所と同じ条件なので、リビングなどがいいです。
様子はこまめに見るといいですが、発酵促進のため混ぜることはしません。表面に白い粉が吹くかもしれませんが、それは発酵が活発に行われている証拠です。
正確には酵素が表面に出てきているのですが、熟成が終わるまではそのままで大丈夫です。
青や緑色の部分が出てきたときは要注意です。これはカビになるためすぐに取り除いてください。ただしこれが出たからと言って失敗ではありません。
4.容器を移し替え保存する
長い時間をかけ発酵熟成が終わったら保存用の容器に移し替えてください。この際白い粉が吹いている部分は取り除き、容器に移し替えてください。
出来た味噌は市販の味噌と同じように、冷蔵庫に入れて保存することをオススメします。容器に保存を開始した日付などを入れておくと分かりやすいです。
基本賞味期限は3カ月ですが、冷蔵庫に保存していれば早々腐ることはないので安心してください。
八丁味噌の食べ方
八丁味噌は東海三県の人にとってはご家庭だと味噌汁として使われることが最も多く一般的な食べ方です。野菜など水分が多いものを使うときは、味が濃いとされる八丁味噌はまさに適材の味噌となります。
塩分を気にされて避ける方もみえますが、先の説明にもあったように誤解とされており、塩分はむしろ少ない部類の味噌になります。
味噌汁もいいですが、ここからは名古屋圏でよく食べられている八丁味噌を使った料理とそのレシピをご紹介します。
八丁味噌を使った美味しいレシピ
今回は名古屋の味とも言える味噌煮込みうどんと味噌田楽の作り方を材料と共に説明していきます。どちらも八丁味噌で作ると美味しい一品です。
ピントルではダシの専門ページも開設しております。味噌と合わせる美味しいダシについて詳しく知りたいという方は是非確認してみてください。
味噌煮込みうどん
味噌煮込みうどんは特に寒い冬にはうってつけの料理です。作るのも簡単で1人から大人数まで楽しめる鍋になっています。
それではまず材料です。今回は4人分を想定して準備しています。
- 鶏もも肉 120g
- しいたけ 3個
- ネギ 2本
- 油揚げ 1枚
- かまぼこ 適量
- うどん(冷凍うどん) 4玉
- 卵 4個
- 水 5カップ
- だしの素 大さじ1
- 酒 大さじ3
- 八丁味噌(赤味噌) 大さじ3
うどんは味が良く染みる冷凍うどんがオススメです。最近の冷凍うどんは非常に美味しいので味噌煮込みうどんにももってこいです。
道具は土鍋と漉し器さえあればできます。もちろん材料を切るのでまな板と包丁は必須と言う前提です。
手順は以下の通りです。
- 鍋に一口大に切った鶏肉と水、だしの素、酒を入れ中火にかける。沸騰したら灰汁をとり火を止める。
- 鍋が沸騰するまでの間に、ネギ、しいたけ、油揚げ、かまぼこを切っておく。
- 火を止めた鍋に漉し器にて味噌を溶かしいれる。この時風味が飛びすぎないように必ず火を止めて味噌を溶かすのがポイント。
- うどんを入れ中火にかける。うどんが軽くほぐれてきたら、卵を落とし蓋を閉める。
- 蓋の穴から勢いよく蒸気が出てきたら完成。蒸気が出てから汁が蓋の上に出てくるくらいがちょうどいい頃合い。
以上の5工程になります。材料さえ切ってしまえばあとは材料を合わせるだけなので非常に簡単ですね。
味噌田楽
続いて味噌田楽ですが、田楽は豆腐と言うイメージが強いと思います。もちろん豆腐も使いますが、今回はそれ以外の材料も加えていきたいと思います。
材料は以下の通りです。2人分を想定しています。
- 木綿豆腐 2分の1丁
- コンニャク 半切れ
- 茄子 1本
- 入り白ごま 少々
- 八丁味噌 大さじ2
- みりん 大さじ1
- 酒 大さじ1
- 砂糖(三温糖) 大さじ1
- だし汁 小さじ2
- ごま油 小さじ1
今回はコンニャクと茄子も入れてみたいと思います。ごま油は今はやりのえごま油にアレンジしてもいいです。ただえごま油は少々値がはるので好みでお願いいたします。
手順はとても簡単です。それではいってみましょう。
- 味噌だれの材料(八丁味噌、みりん、酒、砂糖、だし汁、ごま油)を鍋またはフライパンで温めながら焦げないように煮詰める。
- 茄子は縦に4~5等分に切り、水に浸けておく。
- 木綿豆腐の水気をキッチンペーパーでとる。力を入れると潰れてしまうので優しく。
- コンニャクは茹でて臭みを抜き、表面に包丁で斜めに切れ目を入れる。
- 茄子を水から上げ、フライパンにオリーブオイルを熱し、茄子を軽く焼く。水分が飛ぶくらいでいい。
- コンロのグリルにアルミホイルを敷き、先ほどの木綿豆腐、コンニャク、茄子を並べる。その上に味噌だれを塗ってグリルで焼く。
- 味噌が焼けてきて香りがしてきたら完成。器に盛り合わせる。
工程が面倒な気がしますが、1つ1つはシンプルなので作りやすいで。茄子の焼き加減はお好みで、グリルで再度焼くので余り焼きすぎると焦げる可能性があります。
八丁味噌の賞味期限
八丁味噌は熟成に時間がかかっており、また製造過程で塩分を多く使った保存食の意味合いもあるので、賞味期限も長く最低でも半年以上、最長で270日(約9ヶ月)程度となっています。
ただし要冷蔵となっているため、それ以外の場所で保存した場合カビなどが生える可能性があります。保存方法を守っていることが前提となるため、気をつけてください。
おすすめ八丁味噌3種
それでは最後に通販で買える美味しい八丁味噌についてご紹介していきます。
カクキュー 有機八丁味噌カップ
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八丁味噌の中でも老舗と言えるカクキューの八丁味噌です。八丁味噌を買う人なら知らない人はいないほどの有名店で、有機大豆を使っているため凝縮されたコクと旨味を楽しめます。
盛田 国産無添加八丁赤だし
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この味噌は赤だしなので既に味噌の中に出汁が含まれているという便利な味噌になります。味噌汁などを作る時、出汁を取らなくても味噌を溶かすだけで美味しくいただける一品です。
まるや 三河産大豆の八丁味噌
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八丁味噌の別名「三河味噌」の由来とも言える三河産の大豆を使ったまるやの八丁味噌です。天然醸造にこだわり、深い味わいのある逸品です。