手作り味噌に生えたカビの対処法と対策法
様々な料理に使える日本の伝統的な調味料である味噌、市販のものも美味しいですが、自宅で手作りできるのも魅力的な調味料です。
その中で多く見られるトラブルが味噌にカビが生えてしまうことです。しかしカビは生えても失敗ではありません!今回は手作り味噌にカビが生えた時の対処法をご紹介していきます。
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カビの生えた手作り味噌は食べられる?
味噌を手作りしていてカビが生えてしまうと、捨ててしまわなければいけないのかと思う人もいるかもしれませんがその心配はありません。
もちろん、味噌にカビは発生させないほうが良いことは間違いありませんが、カビが生えてしまった手作り味噌も正しく対処すれば食べることができます。
味噌に生えるカビの正体
味噌に限らず食品に生えるカビですが、その種類は様々です。味噌に発生するカビにももちろん種類があるのです。
まずは手作り味噌の敵とされているカビの除去をする前に、まずはその正体をしっかりと知っておきましょう。
身体に害の無いカビ・害の有るカビ
味噌の表面に現れる主な現象は以下の通りです。
- 表面に白い物体が出る
- 表面に黒い物体が広がる
- 表面に青い物体が発生する
そもそも味噌の発酵に使う麹菌は「コウジカビ」というカビの一種です。しかし麹菌はカビとして表面に現れることはありません。
つまり上述の3つはこの麹菌以外のものとなります。まずはこの症状について1つずつ見ていきましょう。
白いカビは産膜酵母
味噌には白い物質が出てくることがあります。このカビが味噌には最も生えやすいのですが、実は「産膜酵母」という酵母なのです。
日本酒や焼酎にも入っている酵母です。酒類は熟成時、頻繁に攪拌するため出てくることはありません。
しかし味噌は定期的に攪拌するとはいえ頻度は低く、またもの自体が固まった状態なので、空気に触れる正面にはこの酵母が出てきやすいのです。
ただ体内に入っても害は無いので、口にしても問題ありません。味噌がしっかりと熟成を始めている証拠なのです。
ちなみに醤油でも白いカビが生えた場合はこの酵母である可能性が高いです。酒類、醤油は製造過程でこのカビを発生させないのが職人技の見せどころでもあります。
黒い物体は酸化
次に味噌の表面が黒くなることがあります。これはカビではなく味噌が「酸化した」だけです。味噌はどれだけ密閉してもどうしても表面は空気と触れてしまいます。
物質である以上必ず酸化は起こります。そのため表面とその付近には空気に触れ、酸素と化合してしまった味噌ができてきますのです。
しかし酸化なので、こちらも人の体には害はありません。ただ見た目もあまり良くなく、風味も良くないので、この部分は除いて食べることをオススメします。
青い物体はアオカビなので要注意
味噌の表面に青い物質が発生したら要注意です。この正体は「アオカビ」であり、カビの中でも有名なものです。皆様もお耳にしたことはあるのではないでしょうか。
アオカビそのものは健康な人に感染せず、比較的毒性も強くはありません。これは有害なカビ毒を生成しないためです。ただ体調を崩されている方はこのアオカビでさらに悪化する可能性があります。
それでもあまり危険性はないように伺えます。では安全ではないか、と言われるとそうではありません。問題はその存在にあります。アオカビが生えた食品は、他の有害なカビの増殖も進んでいると考えるべきなのです。
その他のカビが生えていた場合、先ほど出てきたカビ毒が生成されている可能性があります。例えカビが死滅していてもこのカビ毒が残っていると体に害を及ぼします。
味噌を作っていてこのカビが出てきたら、すぐに対処したほうがいいです。ただし最初にも説明しましたが、決して捨てる必要はありません。対処さえすればカビが生えようと味噌は十分に食べられます。
カビが生えた時のデメリット
以上からカビが生えるとどんなデメリットがあるのでしょうか。まとめてみました。
- 味噌を食べるときにカビが生えている部分を取り除かなければいけないためロス部分が出る
- カビに触れている部分は空気に触れているため色合いが黒くなってしまう
- 味噌汁にしたときカビ臭あるいは不快臭の原因になる可能性がある
- 見た目がきれいなものではないため、食欲を減退させる可能性がある
- 容器などが汚れてしまう可能性がある
どれも食べる上ではあまりいいものではないです。カビは生えないに越したことはありません。それでも手作りの場合は発生してしまうことがあるのは仕方のないことなので、その対処法を身につけておきましょう。
味噌に生えたカビの対処法
それではカビが生えても万全を期すために、続いてカビの除去方法を見ていきましょう。方法は非常に簡単なので、しっかり覚えておいてください。
カビが生えた時に準備するもの
まずは除去に必要な道具についてご紹介します。
- 大きめのスプーン
- 霧吹き器
- アルコール(酒類)
の3つになります。カビは発生した味噌ごと直接取り除きます。そのため大きめのスプーンは必須です。アルコール類については無くても大丈夫ですが、あると心強いです。
カビの除去方法
方法も至ってシンプルです。白や黒、青(あるいは緑)のカビが生えた部分をスプーンで味噌ごと取り除いてください。
カビは菌糸類です。小さな根を張っていますのでその下の味噌部分も多少は取らなければいけません。ただし小さいのでごっそり取る必要もありません。厚くても2~3mm程度で大丈夫です。
たださらに今後の防止策としてアルコールを使います。霧吹き器にアルコール(日本酒や焼酎など)を入れ、味噌の表面と容器に軽く吹きかけてください。こうすることで除菌ができます。
あとは全体を混ぜ込み攪拌してください。取り除くだけでも対処は十分ですが、アルコール除菌もすれば安全でしょう。
手作り味噌にカビを生えさせないためには
じゃあそもそもカビを生えさせなければいいんじゃないか?という疑問もあるでしょう。それはご尤もです。以下のことを気を付けることが大切です。
- 定期的な攪拌
- 作成時の材料の分量
- 保管場所
定期的な味噌の攪拌
そもそも先の説明通り白いカビはただの酵母です。定期的に攪拌していればそんなに大量に発生するものではありません。また攪拌することで味がぐっと良くなります。
手作り味噌を作るなら気長かつまめに様子を見てあげることが、白いカビに限らずカビ防止にもつながり、美味しい味噌を作ることができます。
味噌作成時の材料の分量
他に出来ることは手作り味噌を作る時たいてい塩を入れます。この塩の分量、実はカビにとっては大きな意味を持っています。
手作り味噌の作成の紹介ページではたいてい11~12%前後で塩の分量を設定しています。これは塩分が麹菌の発育を抑制するだけでなく、カビの防止にも一役買っているからです。
塩は昔から殺菌にも使われています。味噌でも10%を切るとカビが生えやすい環境を作り出してしまいます。そのため、塩の設定が少々高めになってしまうのです。
ただ減塩をしたいという方は塩分を減らしてもかまいません。その代り定期的な攪拌を行わないとカビが生える可能性が高まりますので注意してください。
手作り味噌の保管場所
カビは湿度が高いところを好みます。そのため、湿度の管理はシビアにしてください。
たいてい手作り味噌の保管場所はリビングなど、人が過ごしやすい場所を指定されることが多いです。人が過ごしやすい温度、湿度が味噌にとってもちょうどいい場所なのです。温度は27℃くらいが理想的です。
また身近にあることでまめにチェックをしやすくなります。自分の生活に直結する湿度が高くない場所に保管することをオススメします。
手作り味噌の上手な作り方
ピントルの味噌専門ページでは、基本的な手作り味噌の方法以外にも、味噌の種類ごとに詳しい味噌作りの方法を紹介しています。
味噌作りのための分量の計算方法から、準備するべき道具、そして味噌作りの手順1つ1つを細かく丁寧に解説していますので、手作り味噌に挑戦しよう!という方は是非参考にしてください。