過剰発酵?ぬか漬けが酸っぱいときの原因と対処法
ぬか漬け作りにおいて、多少のトラブルは仕方のないことです。中でも一番多いといわれているぬか漬けトラブルは、ぬか床が酸っぱくなり過ぎることです。
多少の酸っぱさであれば問題ありませんが、あまりにも酸っぱくなると食べても美味しくありません。ここでは、ぬか漬けが酸っぱくなる原因とその対処法を解説していきます。原因と対処法を知るだけで、美味しいぬか漬けに一歩近づきます。
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ぬか漬けが酸っぱくなる原因とは?
ぬか床が酸っぱくなってしまう原因は、乳酸菌が増えすぎて、ぬか床が過剰発酵したためです。
その原因は主に4つの事が考えられます。
- ぬか床の温度が高い
- ぬか床のかき混ぜが不十分
- ぬか床の塩分が少ない
- ぬか床の水分が多い
それでは、何故ぬか床が過剰発酵してしまうのか?それぞれの対処法を見ていきましょう。
ぬか床の温度が高い場合の対処法
ぬか床に含まれる乳酸菌の適温は20~25度といわれています。そのため、これよりも高くなり過ぎてしまうと、酸が出てしまい、酸っぱさの原因となります。
保存している部屋の温度が25度を越してしまうようなときは、冷蔵室や野菜室で保存しましょう。冷蔵庫がいっぱいで入りきらないときには、凍らせたペットボトルを入れたり、蓄冷剤を差し込むことで冷やすことができます。
ぬか床のかき混ぜが不十分な場合の対処法
かき混ぜ回数が足りないと、空気を嫌う乳酸菌が活発になり、繁殖してしまいます。繁殖すると酸をたくさん作り出すので、ぬか床が酸っぱくなる原因となります。
ぬか漬けを常温で保存している場合には、冬場は1日1回、夏場は1日2回以上かき混ぜるようにしましょう。かき混ぜるときも底の方にあるぬか床が、表面に出てくるようにかき混ぜるのがポイントです。
ぬか床の塩分が少ない場合の対処法
野菜を漬け込むと、漬けた野菜に塩分が吸収され、それと同時に野菜からも水分がたくさん出ていきます。そうなると、自然とぬか床に含まれていた塩分が少なくなってしまいます。
塩分が少なくなってしまうと、乳酸菌が活発化し酸の生成量も多くなるので、ぬか床が酸っぱくなる原因になります。
野菜を全部取り出し、ぬかの約15%の重さの粗塩をぬか床に加えてかき混ぜます。重さを量るのが面倒であれば、小さじ1杯くらいの粗塩を加えても問題はありません。このときには、野菜の漬かり具合を良く見ながら塩を加えていくのがポイントです。酸っぱいからといって、最初からたくさんの塩を加えないよう注意してください。
塩を加えてかき混ぜるときには、2~3日くらいは野菜を漬けずにかき混ぜるだけにし、ぬか床を休ませてください。
ぬか床の水分が多い場合の対処法
野菜を漬け込むと、野菜からはたくさんの水分が出ていきます。水分を多く含んだぬか床は、柔らかくなってしまいます。柔らかくなり過ぎてしまうと過剰発酵しやすくなり、酸っぱくなる原因になります。
水溜りができてしまっている部分を、キッチンペーパーやスポンジを使い吸い取りましょう。ぬか床が痩せているときには、必要に応じてぬかを足して調整してください。キッチンペーパーやスポンジを使うのが面倒であれば、市販の水抜き器を使用すれば簡単に水を抜くことができます。
酸っぱくなったぬか床の対処法
ぬか床が酸っぱくなったときの代表的な対処法を紹介してきましたが、それ以外にも対処法があります。
- ぬか床で青菜を漬ける
- 酸味調整辛子ぬかや、和からし粉を加える
- 卵の殻や重曹を加える
- 日本酒やビールを加える
- ぬか床を休ませる
それぞれ、なぜそうすると酸っぱさが無くなるのかについて紹介していくので参考にしてください。
ぬか床で青菜を漬ける
小松菜などの青菜には、酸を中和してくれるカルシウムが多く含まれています。これらの青菜をぬか床に漬けることによって、酸味を抑えることができます。
酸味調整辛子ぬかや、和からし粉をぬか床に入れる
野菜を全部取り出し、酸味調整辛子ぬかや、和からし粉を、大さじ1杯程度加えて1日2回ほどかき混ぜます。
このとき、ぬか床を休ませるため、2~3日くらいは野菜を漬けることは控えましょう。からしには乳酸菌の繁殖をおさえる働きがあります。
卵の殻や重曹をぬか床に入れる
必要な分だけ卵の殻を熱湯でゆでます。薄皮を取り除き、乾燥させてもみほぐしてからぬか床に入れます。こうすることによって、卵の殻のカルシウムが酸味を中和してくれるので、酸っぱさをおさえることができます。熱湯でゆでるのは、卵の殻に付着している細菌を死滅させるためです。
卵には、卵の実にも殻にもサルモネラ菌が付着している可能性があります。サルモネラ菌は食中毒を引き起こす原因となる菌です。卵の殻をぬか床に入れるときには、サルモネラ菌のことも頭に入れておかなければなりません。
サルモネラ菌は、75度で1分以上、65度で5分以上加熱すると死滅するといわれています。卵の殻をぬか床に入れるときには、この温度と加熱時間を目安に、十分加熱した卵の殻を入れるように心がけましょう。
重曹も弱アルカリ性ですので、上述した準備が面倒だという人は重曹を小さじ一杯程度加えてみるのがおすすめです。
日本酒やビールを加える
入れすぎるとアルコール臭くなってしまいますが、日本酒やビールなどの残り酒を加える事で、風味や旨味が良くなってぬか漬けの酸っぱさが緩和されます。
ウイスキーや焼酎などの蒸留酒はぬか床に悪影響を与えかねませんので、ぬか床に加える際は醸造酒を選ぶようにしてください。
ぬか床を休ませる
出来上がったぬか漬けが酸っぱくて、あれやこれやとぬか床に加えるなど奮闘している人も多いようですが、意外と「ぬか床を混ぜて休ませる」事で発酵しすぎたぬか床が回復して酸っぱさが無くなるケースもあります。
しっかりとぬか床を混ぜて、2〜3日程度、なるべく涼しい場所で休ませてみましょう。
ぬか床が酸っぱくならないためのお手入れ方法
ぬか床が酸っぱくならないためには、普段からきちんとした手入れが大切です。毎日のかき混ぜや温度、水分、塩分の管理がポイントになります。
- 塩分が少なくなってきたら、漬けている野菜やぬか床の量に応じて塩を足していく。
- 温度が高くなり過ぎないように普段から温度管理をする。
- 季節によって回数が異なる毎日のかき混ぜを怠らない。
- 水分が多くなってきたらすぐに取り除く。
ぬか床を酸っぱくしないためにも、毎日かき混ぜることはもちろんですが、ぬか床が生きやすい環境を作ってあげることが大切です。
酸っぱいぬか床のメリットとデメリット
ぬか漬けを作っていて、途中で酸っぱいと感じることは一度くらいはあるかもしれません。そんなときには失敗とは思わずに、ぬか床の状態を良く調べてみましょう。場合によっては、自分にとって良いことだってあり得ます。
酸っぱいぬか床のメリット
ぬか床が酸っぱくなっていてもメリットがないわけではありません。ぬか床が普段より酸っぱいと、漬ける時間が短くて済みます。早く取り出して食べたい人にはむしろ喜ばしい状態です。また、乳酸菌がたくさんいることになりますから、体に悪いというよりはむしろ良いです。
乳酸菌の効果として代表的なものが、整腸作用、美容効果、便秘予防、免疫力向上、高血圧の予防などが挙げられます。酸っぱいからといってすぐに突き放すのではなく、食べれるくらいの酸っぱさであれば、そのまま漬け込んでいっても問題はないでしょう。
酸っぱいぬか床のデメリット
ぬか床が酸っぱくなってしまったら、人によってはデメリットも出てきます。程よい酸っぱさならいいのですが、あまりにも酸っぱすぎると食品として成り立ちません。
酸っぱくなりすぎると、ぬか床を程よい酸っぱさにするために対処しなければなりませんし、多少の時間を要します。ぬか床を元に戻す時間がもったいないと思う人は、普段から酸っぱくならないように手入れをしなければなりません。