オリーブオイルの作り方・製造方法
オリーブオイルは気軽にお店で手に入りますが、その作り方をご存知ですか?オリーブオイルはオリーブの実から油を絞り出して作られますが、その工程をここでは詳しくご紹介致します。
また、ご家庭でオリーブオイルを手作りする方法もあります。よく熟れたオリーブの実を見つけて、是非オリジナルのオリーブオイル作りに挑戦してみてはいかがでしょうか?製造過程には色々なこだわりがあり、その奥深さを知ると更にオリーブオイルが好きになりますよ。
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オリーブオイルの作り方
オリーブは皆さんもご存知の通りオリーブの木になる果実ですが、世界中でその種類は数100種あり、樹齢も100年を軽く超えるものがあります。
その中から一番良いと思われる実を選出し、様々な手を加えられてオリーブオイルとなります。
ここではそのオリーブの果実からオリーブオイルになるまでの工程をご紹介致します。オリーブオイルが作られる手順は以下の5工程。
- オリーブの収穫
- 選別と水洗い
- 搾油
- 貯蔵
- 品質の検査
では、それぞれの工程ごとに、どのような作業を行ってオリーブオイルが作られているのかを詳しく紹介していきます。
オリーブの収穫作業
大体10月~1月の間に熟したオリーブの実を収穫します。熟したオリーブの実は紫がかった赤色から黒色になっています。
オリーブの実の収穫方法は様々で、原始的なやり方から最新のやり方があり主にこの3つの手法に分けられます。
- 棒で叩いて落とす
- 機械で揺すって落とす
- 手摘み
木の下にネットをひき、その上にオリーブの実を落とします。
棒でオリーブの実を叩いて落とす方法は実や木が傷みやすく、翌年の収穫に影響を及ぼしがちですが最も古くからある手法です。
一方で機械を使って木を揺すり実を落とす方法は、棒で叩くよりも木へのダメージが少ないです。
けれどもこの機械は高価な上に、機械がオリーブの木の間を通れるように木の間隔を整備するなど大掛かりな投資が必要になります。
そして手で摘む方法は最も実を傷つけず、丁寧な手法になります。その中でも熊手のようなもので実を落とす場合や、両手で枝を一本一本分けながら実を収穫する方法があります。
一度傷んだオリーブの実はそこから腐り出しますので手摘みが一番良い方法になりますが、一方で人件費がとてもかかります。よって手摘みという収穫方法は、最高級のオリーブオイル以外はあまり使われません。
選別と水洗い
収穫されたオリーブの実の中に混ざっている枝や葉っぱを取り出す作業を行います。
そして軽くオリーブの実を水洗いします。
搾油
オリーブの実を摘んだ後、搾油が早ければ早いほど良質なオイルが採れると言われています。良いオリーブオイルを作るためには時間との勝負になりますね。
ここでは綺麗になったオリーブの実から油を採り出す工程に入りますが、これも3つの方法があります。
- 圧搾法
- 遠心分離法
- パーコレーション法
以下で、それぞれの方法におけるメリットやデメリット、また作られるオリーブオイルの特徴を簡単に紹介していきます。
圧搾法の特徴
圧搾法は石臼でオリーブの実をすりつぶしてペースト状にし、圧搾機で油を絞り出す方法です。
最も歴史が長く一番オイルの良さが出る手法と言われ、このやり方にこだわりを持っている職人もいるほどです。ゆっくり圧力をかけて絞るとえぐみのない良いオイルが採れます。
遠心分離法の特徴
遠心分離法は機械を使って搾油する方法で、最もスピーディに行うことができます。現在の搾油のほとんどがこの方法で行われています。
人手もかからず、衛生面もしっかりと管理でき効率が良い方法とされますが、圧搾法に比べて水や熱を使って油を絞りやすくするため風味と栄養価が落ちてしまう点が難点です。
パーコレーション法の特徴
パーコレーション法は電極を利用した最新の方法です。ペースト状のオリーブから遠心分離機で果汁を取り出し、その後パーコレーションマシーンでオイルだけを取り出します。
無理な圧力をかけない分品質のよいオイルが採れますが、大量には採れないので効率が悪い搾油法となります。比較的高級なオリーブオイルの製造を行う際に使われます。
貯蔵
搾油されたオリーブオイルは光や空気から遮断された空間で保存されます。
オリーブの実の種類や搾油方法によって、出来上がったオイルの味は様々です。それぞれの特徴を活かしてそのまま出荷したり、数種類のオイルをブレンドして工夫しながらオリーブオイルを作り上げます。
品質の検査
オリーブオイル作りの最後の工程です。オリーブオイルの品質基準は厳しく、工程が1つでも違うだけで全く違ったオイルとなります。
その検査方法は2種類あります。
- 官能検査
- 化学的成分分析
官能検査とはいわゆるテイスティングで、人の五感を使って製品の品質を判断します。
一方化学的成分分析とは酸度を量る検査で、酸度はオイルの等級を決定づける重要な数値になります。(数が小さいほど新鮮なものということです。)
この2種類の検査を使って、オリーブオイルの価値が決定されます。
種類別オリーブオイルの作られ方
オリーブオイルは国際オリーブオイル理事会(IOOC)によって定められた基準によって分類されます。
- バージンオリーブオイル
- 精製オリーブオイル
- オリーブオイル
まずはこの3つに大きく分類され、更にその中で品質によって分けられ合計8つの種類に分類されています。
その中でも一般的に日本国内で販売されているオリーブオイルは、以下の3種類の名前でスーパーなどの販売店に並びます。
- エクストラバージンオリーブオイル
- ピュアオリーブオイル
- オリーブポマースオイル
では、それぞれの作られ方の違いを紹介していきます。
エクストラバージンオリーブオイルの作られ方
オリーブの実を絞って濾過しただけの、シンプルな工程で作られます。
この工程だけではバージンオリーブオイルという種類になりますが、その中でも酸度が最も低く、高い基準をクリアした風味の良いものをエクストラバージンオリーブオイルと呼びます。
化学的な加工が一切行われないため、栄養価が非常に高くオリーブの香りと味をそのまま楽しむことが出来ます。
ピュアオリーブオイルの作られ方
ピュアオリーブオイルはバージンオリーブオイルと精製オリーブオイルをブレンドして作られます。
バージンオリーブオイルの中では酸度が高く、食用とするには難しいオリーブオイルを加工し癖を除いたものを精製オリーブオイルと呼びます。
オリーブポマースオイルの作られ方
一度搾ったオリーブの実(ポマース)に溶剤を使用し、残った油脂を搾り出します。
そしてバージンオリーブオイルと食用のオリーブポマースオイルをブレンドして作られます。
自家製オリーブオイルの作り方
オリーブオイルは実は自宅で簡単に作ることができます。ご自宅のオリーブの実がよく熟れた時は、是非挑戦してみてはいかがでしょうか。
材料
- オリーブの実
お好みの量(オリーブの実の熟し具合によりますが、赤紫~黒色になった実なら2kg以上あると約200ml程のオイルが採れます。) - ビニール袋
厚手タイプ。ジップロックを推奨します。 - 手袋
- 漉し布
ガーゼ、少量ならキッチンペーパーでも可です。 - ミキサーもしくはフードプロセッサー
- 容器
オイルの劣化を防ぐため、緑色や茶色の色つきでキャップがしっかりと締まるタイプの瓶を推奨します。
作り方
- 水洗いと粉砕
まずはオリーブの実を水で洗います。
その後、ミキサーで実の塊が残るくらいの加減で粉砕します。 - よく揉む
ビニール袋にオリーブの実を入れ、よく揉みます(大体45分~1時間程)。果肉から油の塊が少しずつ出てきます。 - 搾油
手袋をして、よく揉みほぐしたオリーブの実を漉し布に広げて油と果肉を分けます。時間が経つと更に油と果汁が分離するので、上澄みにある油をすくい取ります。(コーヒーフィルターで油だけ取り出す方法も)
自家製のオリーブオイルはなるべく早く使い切ることと、保存状態には十分気を付けて新鮮なオイルを楽しんでくださいね。