シャンパンとスパークリングワインの違い
泡があればすべてシャンパンだと思っている方は少なくないのではないでしょうか?
実はシャンパンと名乗る為には数々の厳しい条件をクリアする必要があり、それ以外はスパークリングワインという発泡性ワインに分類されます。
ここではシャンパンとスパークリングワインにどんな違いがあるのか、シャンパンと名乗る為の条件などについて解説しています。
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スパークリングワインとは「発泡性ワイン」の総称
スパークリングワインとは3気圧以上の発泡性のワインのことです。
最初の発酵でベースとなるワインを造り、2回目の発酵を密閉環境で行うことによって炭酸を作り出します。
スパークリングワインは発泡性のワインすべてを指すので、シャンパンもスパークリングワインということになります。
イタリアのプロセッコやスペインのカヴァなどもスパークリングワインに含まれます。
ちなみに3気圧未満の発泡性ワインは弱発泡性ワインと呼ばれます。
スパークリングワインに比べて二酸化炭素の含有量が1/2~1/4程度が一般的です。
スパークリングワインの製法
スパークリングワインには様々な製造方法があります。
2回目の発酵をどうするかがポイントとなっているので紹介していきます。
シャンパーニュ方式
トラディショナル方式、伝統方式とも呼ばれる製法です。
醸造したワインを瓶の中に入れ、糖分と酵母を加えて密閉し、瓶の中で2回目の発酵をさせることによって炭酸を発生させる方法です。
瓶内二次発酵と呼ばれ、シャンパンを名乗る為に必須となる製法であり、きめ細かい泡だしが特徴となります。
シャルマ方式
瓶内二次発酵を行わず、密閉したタンクの中で2回目の発酵を行い、炭酸が抜けないように濾過器を通して瓶に詰める製法です。
短い期間で製品化することが可能であり、製造過程で空気に触れることがないため、ぶどうのアロマを十分に楽しむことができます。
また、一度で多くのスパークリングワインを生産することができるので、リーズナブルな価格のスパークリングワインにすることができます。
トランスファー方式
瓶内二次発酵させた炭酸を含んだワインを加圧したタンクに移し、冷却・濾過した後にボトルに詰める製法です。
タンクで冷却・濾過することによって、ルミュアージュ(澱集め)とデゴルジュマン(澱抜き)を省き、ワイン内の澱を一度で大量に取り除くことができます。
炭酸ガス注入方式(ガゼイフィエ)
非発泡ワインに人工的に炭酸ガスを注入する製法です。
品質の安定したスパークリングワインを大量に生産することができるので、リーズナブルな価格で購入することが可能です。
田舎方式(メトード・リュラル)
暖かい地方の糖度の高いぶどうを使用し、ワインを醸造する1回目の発酵の途中で瓶詰めを行い、残りの発酵を瓶内で行うことによってスパークリングワインを生産する方法です。
ぶどう果汁に含まれる糖分の調整が難しいことから品質の安定化が難しく、主流の製法とはなりませんでした。
シャンパンはスパークリングワインの一種
スパークリングワインは発泡性ワインの総称なので、シャンパンはスパークリングワインの一種ということになります。
日本ではスパークリングワインもシャンパンと呼ぶ風潮がありますが、正確には間違いなので覚えておきましょう。
シャンパンを名乗るには法律で定められた厳しい条件をクリアする必要があり、手間やコストがかかるのでスパークリングワインに比べて価格は高いです。
以下でシャンパンを名乗れる条件を紹介していきます。
シャンパンを名乗れる条件
スパークリングワインがシャンパンを名乗るには法律で条件が決められています。
- フランス・シャンパーニュ地方で生産されること。
- シャンパーニュ方式で作られたもの。
- 特定の地域・品種のぶどうのみを使用したもの。
- アルコール度数が11%以上であること。
- 瓶内二次発酵を行った上で15ヶ月以上熟成したもの。
以上の条件を満たしたスパークリングワインのみがシャンパンを名乗ることができます。
フランス・シャンパーニュ地方で生産されればシャンパンと名乗れるわけではないですし、シャンパーニュ方式で生産すれば何でもシャンパンというわけではありません。
シャンパンに使用されるぶどうについて
- ピノ・ノワール(黒ぶどう)
- ムニエ(黒ぶどう)
- シャルドネ(白ぶどう)
- ピノ・グリ(白ぶどう)
- アルバンヌ(白ぶどう)
- プティ・メリエ(白ぶどう)
- ピノ・ブラン(白ぶどう)
以前は8品種でしたが、現在は上記7品種がシャンパンを名乗る条件です。
シャンパンに使われるのは主にピノ・ノワール、ムニエ、シャルドネの3品種となっており、他の4品種を使っているシャンパンはレアなケースとなっています。
主要3品種をブレンドしているシャンパンもあれば、シャルドネのみを使った「ブラン・ド・ブラン」と呼ばれるシャンパンもあります。
ぶどうのブレンドによってシャンパンの味わいは変わるので、シャンパンを飲む際は使用しているぶどうを確認するのも楽しい飲み方のひとつです。
また、シャンパンは味や色、グレードによって種類があり、それぞれ特徴に違いがあるので気になる方は以下のリンクしてみてください。
シャンパンとスパークリングワインの簡単な見分け方
シャンパンとスパークリングワインの簡単な見分け方はボトルのラベルを確認することです。
シャンパンの場合はボトルのラベルに「Champagne」と必ず記載されています。
逆にそれ以外のスパークリングワインには「Champagne」の記載はありません。
スパークリングワインには非常に多くの種類があるので、シャンパンを選ぶ際はラベルを確認するようにしてください。
各国のスパークリングワインの呼称について
スパークリングワインは国によって呼び方に違いがあります。
各国のスパークリングワインの呼び方がわかると商品が選びやすくなるので参考にしてください。
フランスのスパークリングワインの呼称
シャンパーニュ(Champagne)
フランス・シャンパーニュ地方で生産され、特定の製法・原料で造られるスパークリングワインです。
味わいや香りの品質が高く、泡のきめ細かさに優れており、スパークリングワインの中でも特に高品質です。
フランスのシャンパーニュ協会は、正式名称である「シャンパーニュ」という呼称を推奨しています。
ヴァン・ムスー(Vin Mousseux)
シャンパンも含めたスパークリングワインの総称です。
「ヴァン」が付かない「ムスー」はガス圧による規格のひとつで、5~6気圧程度のものを指します。
クレマン(Cremant)
シャンパーニュ地方以外で、シャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)で造られるスパークリングワインを指します。
きめ細かくクリーミーな泡を持っているのが特徴で、スパークリングワインの中でも上質なものとして位置づけられます。
ペティヤン(Pétillant)
「ムスー」にようにガス圧による規格のひとつで、ガス圧が2.5気圧以下の弱発泡性スパークリングワインの総称です。
フランス語で「ぱちぱちはねる」と言う意味を持っています。
イタリアのスパークリングワインの呼称
スプマンテ(Spumante)
イタリアでのスパークリングワインの総称です。シャンパンもイタリアではスプマンテと呼ばれます。
イタリア語で「発泡性の」という意味を持ち、日本ではイタリア産スパークリングワインをスプマンテと呼ぶ場合もあります。
フリッザンテ(Frizzante)
「フリッツァンテ」とも呼ばれ、スプマンテよりも発泡性が低い微発砲性のスパークリングワインを指します。
プロセッコ(Prosecco)
イタリア・ヴェネト州でグレーラというぶどう品種を85%以上使って造られるスパークリングワインです。
やや苦味を持ったドライな味わいが特徴となっています。
ランブルスコ(Lambrusco)
イタリアのエミリア・ロマーニャ州を主な産地とした天然発泡性の赤のスパークリングワインです。
黒ぶどうのランブルスコ種の総称でもあり、甘口~辛口まで味わいの幅が広く、リーズナブルで飲みやすいスパークリングワインとして人気が高い種類です。
スペインのスパークリングワインの呼称
カヴァ(Cava)
スペイン・カタルーニャ地方で造られるスパークリングワインです。
シャンパンと同様にシャンパーニュ製法(瓶内二次発酵)で造られ、きめ細かい泡を楽しめるスパークリングワインとして人気があります。
カタルーニャ地方で造られたものしか「カヴァ」を名乗れません。
エスプモーソ(Espumoso)
スペインで造られるスパークリングワインの総称です。
スペインのスパークリングワインは「カヴァ」が有名ですが、スパークリングワイン選びに役立つので覚えておきましょう。
ドイツのスパークリングワインの呼称
ゼクト(Sekt)
シャンパーニュ方式で造られるドイツのスパークリングワインです。
アルコール度数やガス圧、熟成期間などが定められているので高級スパークリングワインとして位置づけられています。
パールヴァイン(Perlwein)
ガス圧が1気圧~2.5気圧のドイツの弱発泡性ワインです。
シャウムヴァイン(Schaumwein)
ドイツでのスパークリングワインの総称です。
二次発酵での発泡が基本ですが、炭酸ガス注入方式もラベルにその旨の表記があれば認められます。