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日本ワインとは?特徴や歴史

日本ワインの特徴や歴史

日本ワインと国産ワインの違いがわからない方は多いのではないでしょうか?

一見似ているように思えますが、日本ワインを名乗るには条件があり、それぞれ定義があります。

ここでは日本ワインとはどんなワインなのか、日本におけるワインの歴史について紹介しています。

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日本ワインとは?国産ワインとの違い

日本ワインとは?国産ワインとの違い 

「日本ワイン」と「国産ワイン」という言葉は、似ているようで定義に違いがあります

簡単にいうと、日本国内で生産されたブドウを100%用いて日本国内で製造されたワインが「日本ワイン」、海外産のブドウを使って日本国内で製造されたワインが「国産ワイン」です。

長年にわたり、このどちらの言葉を使うかは業界の自主基準とされてきました。

しかし、世界のワイン法に倣って原料の産地による違いを明確にすべきだという意識の高まりから、2015年に国税庁が上記のような表記ルールを定めました。

これまで日本にこのような明確なルールがなかったのは、日本はブドウ作りに適さない気候で、国産ブドウより輸入ブドウを使った方が質の高いワインができるという見方があったためです。

近年、日本のブドウ栽培技術やワイン醸造技術が向上し、国際的に評価されるような高品質ワインが日本でも生産されるようになってきました。

これにより、日本ワインをブランド化し、アピール力を高めるためにも、しっかりとした「日本ワイン」の基準が必要になったのです。

日本ワインの生産地 

日本ワインの生産地 

日本ワインの主な生産地についてご紹介します。

「国産ワイン」ではなく「日本ワイン」の生産量が多い地域は、必然的にブドウの生産量・作付面積が広い地域となる傾向があります。

山梨産の日本ワイン【日本を代表するワイン産地】

山梨県は日本最大のワインの産地です。

中でも最もワイン作りが盛んなのは甲州市勝沼町で、日本ワインといえば勝沼町と言われるほどです。

山梨県でのワイン作りの歴史は日本で最も古く、明治時代から地域を代表する産業として発展してきました。

山梨県の中心部にある甲府盆地の気候は昼夜の寒暖差が大きく、ブドウ作りに適した気候です。

ワイン用ブドウと生食用ブドウを合わせたブドウ全体の生産量は山梨県が最も多く、全国で作られるブドウの1/4近い23.7%のシェアを占めています。

日本固有のブドウ品種「甲州」は山梨県が原産地で、現在も日本で最も多く甲州を栽培しているのは山梨県です。

甲州ワインの特徴やおすすめランキングについてはコチラ

長野産の日本ワイン【ブドウの栽培が盛んな産地】

長野県は昼夜の寒暖差が大きく、日本国内では比較的降水量が少ない気候のため、ブドウ作りに適した気候です。

また、長野県は南北に長い地形なので、それぞれの土地の気候にあったブドウ品種を選んで栽培しやすく、幅広い種類のワイン用ブドウが収穫できます。

ブドウの生産量は山梨県に続いて全国2位で、ワイン用ブドウでは赤ワイン用の「メルロー」の品質が高いことで有名です。

長野でワイン作りが始まったのは、第二次世界大戦後からです。

現在もワイン作りが盛んな塩尻や小布施から始まり、ブドウ栽培に適した気候も手伝って県を代表する産業として発展してきました。

北海道産の日本ワイン【ワイン用ブドウに最適な環境】

北海道はワイン用のブドウ生産に適した環境なのが特徴となっている産地です。

ブドウが花をつける時期に梅雨や台風がなく、日本国内では最も気候がヨーロッパに似ているためです。

北海道の中でも、特に日本ワインの生産地として有名なのは余市町、空知町、富良野市、池田町など。

冷涼な気候なので、気候に共通点のあるドイツ系のブドウ品種が多く栽培されています。

北海道の涼しく雨が少ない気候は白ワイン用のブドウ栽培に適していますが、近年はピノ・ノワールで作られる赤ワインも注目されています。

山形産の日本ワイン【人気急上昇中】

山形はブドウの他にもサクランボやメロン、ラフランスなど、果樹栽培が有名です。

これは山形県の寒暖差が大きい気候で日照時間も長いため、山形では甘く完熟したブドウを栽培できます。

山形でのブドウ栽培の歴史は古く、江戸時代からブドウ畑が存在していたという記録もあります。

県内のワイナリーは南陽市、上山市、天童市、高畠町などブドウの産地に集中していて、近年は生産するワインの品質が飛躍的に向上していることでも注目を集めています。

その他の日本ワインの生産地

上記4つの生産地以外には、青森・新潟・岩手なども日本ワインの産地として有名です。

寒さが厳しい青森県では、寒冷な気温を好む「スチューベン」というブドウ品種の栽培が盛んで、辛口で軽い口当たりのワインが多く作られます。

新潟県では「日本のワイン葡萄の父」とも呼ばれる川上善兵衛の尽力により、明治時代からワイン作りが発展してきました。地域として盛んというよりは、伝統的なワイナリーが分散して存在しているイメージです。

岩手県では、花巻市周辺でワイン産業が盛んです。町おこしイベントとして「日本ワインフェスティバル」が開かれるなど、花巻ワインを通じて県外にアピールしようという意識が盛り上がっています。

日本ワインおすすめランキングはコチラ

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日本ワインのぶどう品種について

日本ワインのぶどう品種について

日本で栽培され、ワインに使用されているブドウ品種は以下の通りです。

  • 甲州
  • マスカットベーリーA
  • カベルネ・ソーヴィニヨン
  • メルロー
  • シャルドネ
  • ナイアガラ
  • デラウェア

それぞれの特徴について解説していきます。

甲州 

甲州は山梨県が原産地となっている日本固有のブドウ品種です。

見た目は皮が赤みを帯びていますが、甲州は白ワイン用のブドウです。

甲州を使って作られるワインは、淡い香りにみずみずしい印象と繊細で上品な味わいが特徴です。

その香りはグレープフルーツ、レモンなど柑橘系の果物に例えられることが多く、甲州から作られるワインはアルコール度数が低めなこともあり、軽めの飲み口になります。

以前は甲州ワインは苦みや渋みがなく、個性がないというマイナス評価を受けることが多かったのですが、近年は醸造技術の発達により、より甲州の良さを引き出すワイン作りが可能になっています。

一口に甲州ワインといっても、種類は様々です。

ブドウ自体の風味が淡いため、醸造方法によって個性が出やすい品種でもあります。

フランスの伝統的な醸造方法「シュル・リー」を用いると辛口で厚みのある味わいになり、シャルドネ等と同じ小樽仕込みで作られた甲州ワインはバニラやナッツに似た香ばしい香りが出ます。

最近は甲州ワインは辛口のものが主流ですが、甘口ワインやスパークリングワイン、アロマティックワインなど、幅広い用途に使われます。

甲州種は2010年に日本固有のブドウ種として初めて国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録されました。

甲州を使った甲州ワインのおすすめランキングはコチラ

マスカットベーリーA 

マスカットベーリーAは、日本の気候に合わせて品種改良を重ね、新潟県で誕生した日本固有のブドウ品種です。

先にもご紹介した、新潟県の「日本のワイン葡萄の父」川上善兵衛が、東京大学農学部と共同で研究を重ねて作り出しました。

母株はアメリカ系のベーリー種、父株はヨーロッパ系のマスカット・ハンブルク種で、ワイン作りにも用いられますが生食用の人気も高い品種です。

実が大きく甘みの強い黒ブドウで、当初は甘口ワインに多く使われていましたが、最近は辛口の爽やかなワインが人気を集めています。

果実味が強く渋みや酸味は弱いため、醸造方法を問わず飲みやすく軽めのワインが作られます。

マスカットベーリーAは2013年に日本固有のブドウとして2例目、黒ブドウ種としては初めて国際ブドウ・ワイン機構(OIV)に登録されました。

カベルネ・ソーヴィニヨン 

カベルネ・ソーヴィニヨンは、ヨーロッパ原産の赤ワイン用黒ブドウです。

冷涼な気候のフランスのボルドーが主な産地ですが、日本ワインの産地である山形県、新潟県、山梨県などは「温暖」に分類される気候なので、フランスのものとは違う風味が出ます。

世界最高峰「ボルドーワイン」の特徴について詳しくはコチラ

カベルネ・ソーヴィニヨンの主な香り成分は、ピーマン、トウガラシ、人参などにも含まれていることから「野菜のアロマ」と呼ばれる「ビラジン」という成分です。

日本の温暖な気候ではこのビラジンがあまり出ないため、海外産のものに比べて香りが穏やかなブドウが収穫されます。

メルロー 

メルローも、カベルネ・ソーヴィニヨンと同じくフランスのボルドー地方が原産の黒ブドウです。

ブラックチェリーやプルーンなど黒い果実の香りに例えられることが多く、味は酸味と渋みのバランスが良く滑らかな飲み口のワインが多く作られます。

カベルネ・ソーヴィニヨンが日本では栽培しにくいのに対して、メルローは日本の気候とも相性が良く、長野県、山梨県、北海道などで優れたメルローワインが作られています。

特に長野県・塩尻周辺で作られるメルローは品質が高く、世界的なコンクールでも好成績を修めています。

シャルドネ 

シャルドネは、白ワイン用のブドウとして世界で最も人気のある品種です。

味自体に個性的なクセがなく、また気候を選ばずどこでも栽培しやすいため、その地のテロワールや醸造方法の影響を強く受けやすいと言われています。

日本のシャルドネは、全体的に味・香りともに穏やかで主張が少ないのが特徴です。

世界的に辛口・甘口・スパークリングなど様々なワインに用いられている品種で、日本のシャルドネワインも非常に幅広い個性があります。

ナイアガラ

ナイアガラは、コンコードとキャサディを掛け合わせた交雑種の白ブドウです。

日本では主に北海道、青森県、長野県、山形県などで栽培されていて、生食用・ワイン用両方に使われます。

芳香ブドウと呼ばれることもあるほど豊かな香りが特徴で、ナイアガラを使ったワインはジュースのようなフルーティーさが特徴です。

デラウェア 

デラウェアは、生食用のイメージが強い品種ですがワインにも使われます。

北海道から九州まで幅広い地域で栽培されていて、日本産ブドウでワインとして醸造される品種の中で4番目に多く使われています。

甲州と同じく、皮に赤みがありますが白ワイン用に使われる品種です。

近年では、デラウェアを使って作られた北海道産のスパークリングワイン「デラスパ」が話題になりました。

日本ワインの歴史 

日本でのワイン作りの歴史は、明治時代以降に始まりました。

ヨーロッパ諸国に比べてまだ歴史が浅いので、日本ワインは「新世界ワイン」と呼ばれるカテゴリに入ります。

明治から近代までの日本ワインの歴史をご紹介していきます。

古代〜中世:縄文時代のブドウ酒と輸入ワイン

日本では、縄文時代中期に作られた酒造具と見られる道具が見つかっています。

今のところ、用途は酒造具と限定されているわけではなく、打楽器という見方もあり、縄文時代にワインのような酒が作られていたとは断定できません。

しかし、この酒造具を使ってブドウ果汁を発酵させて飲用にしていたという説もあり、この説が実証されれば日本最古のワインと言えるかもしれません。

日本史にワインと見られるものが登場する最古の記録は1483年の後法興院記です。

関白近衛家の人がワインを飲んだという記述があり、鎌倉時代には大臣格の名家の人々は外国から輸入されたワインを飲むこともあったようです。

この頃、日本でも「ブドウ酒」が作られたという記述もありますが、このブドウ酒は現在のワインとは違い、日本酒や焼酎にブドウを漬け込んだ果実酒だったと考えられています。

西洋と同じ方法で初めてワインが作られたのは1817年のことです。

山梨県の医師や薬舗が、オランダから伝わった方法に基づいて薬用ブドウ酒として作ったのが最初と言われています。

明治:文明開化とワイン産業

日本で本格的なワイン製造が始まったのは、文明開化以後の明治時代です。

この頃は西洋を中心とした海外文化を積極的に取り入れる気風があり、ワイン製造もその一つでした。

現在も日本ワインの一大産地である山梨県勝沼村では当時から甲州葡萄の栽培が盛んで、これを生かすため山梨県令の藤村紫朗が殖産興業政策を主導してブドウ酒の醸造を試みました。

その後、1877年にブドウ農家が集中していた勝沼村で大日本山梨葡萄酒会社が設立されます。

しかし初期にはこの会社にもしっかりとしたワイン作りの知識や基盤がなく、フランスで最先端のワイン醸造技術を学ぶために2名の社員を派遣しました。

高野正誠と土屋助次郎というこの2人は日本のワイン製造技術を飛躍的に成長させ、その功績を称えるために2人の姿を図案化したマークは、現在も勝沼村のシンボルとして使われています。

また同時期、新潟県の川上善兵衛や愛知県の神谷善兵衛も、醸造家として日本のワイン産業の成長に尽力していました。

この2名は日本の気候に適したブドウ品種の開発など、日本独自のワイン作りのノウハウを完成させていきます。

しかし、1895年ごろには、ヨーロッパでも被害を出していた害虫フィロキセラの被害が日本にも広がってしまいます。

当時はフィロキセラに免疫のないフランス系の品種が主流だったため、日本のブドウ畑は壊滅的な被害を受けました。

唯一、山梨県では害虫に強いアメリカ系の品種を栽培していたため、フィロキセラの被害を最小に留めることができました。

このことも、現在山梨県がワインの一大産地として隆盛を誇っている一つの理由です。

昭和:酒税法の制定と第二次世界大戦

昭和以前まではワインに関してはっきりとした法律がなく、醸造や販売は各生産地それぞれの方法で行われていました。

1939年に物品税、1940年に酒税法が制定され、ワインの醸造や販売には届出と免許が必要となります。

それまでブドウ農家の多い地域では家庭でも自家醸造されていましたが、これらは法律の制定により「闇酒」となり、自家醸造の文化は衰退していきました。

1939年、第二次世界大戦が勃発すると、ワイン醸造時に副産物として発生する酒石酸が、兵器の部品として有用だとして注目されました。

それまでワインは国内需要が低かったこともあり生産量もごくわずかでしたが、この軍事需要により大幅に増産されます。

しかし、あくまでも副産物目的の生産であり、出来上がったワイン自体は飲用としては不適だったと言われています。

のちに戦後の農業革新が起こり、この時拡大されたブドウ畑や醸造技術を遺産として利用し、産業として発展していきます。

当時の日本人の嗜好には、ワインの酸味や渋みが受け付けられず、当時日本では醸造後に甘味を加えて飲みやすくした加工ワインが「ワイン」と認識されていました。

人気商品としては「赤玉ポートワイン」や「ハチブドー酒」があり、現在親しまれているような本来のワインは、ごく一部の愛好家のみが輸入に頼って飲んでいる状態でした。

近年:ワインブームによる人気の上昇

1964年の東京オリンピックや、1970年の大阪万博がきっかけとなり、海外との交流や海外メーカーの広報を通じて日本に本来のワインが広まり始めます。

この頃「ワイナリー」を名乗るワイン製造業者ができはじめ、海外に倣った垣根式の栽培方法など、ヨーロッパに近い形での本格的なワイン製造が始まりました。

純国内栽培のブドウを使った「日本ワイン」もこの頃クオリティの高いものが出来はじめ、海外のコンクールでも入賞するようなワインが出てきます。

洋酒の関税の緩和やダイエットブーム、アンチエイジングブームなどでワインの健康効果が注目を集め、幅広い層を巻き込んだワインブームが起こったのは1990年代〜2000年代のことです。

2003年には国税庁と山梨県の主導で「国産ワインコンクール」が発足。

2015年に「日本ワイン」の定義が統一され、現在では「日本ワインコンクール」と名前を変え、日本ワインの個性や地位を高めるために毎年開催されています。

日本ワインコンクールについてや最高賞を受賞した日本ワインについて知りたい方はコチラ

現在、日本ワインへの注目度の高さは過去に例がないほど高まっていて、ワイン産業は日本が誇る一産業として今後も発展を続けていくでしょう。

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