ビオワインとは?特徴やオーガニックワインとの違い
近年話題のビオワインですが、どのようなワインなのかいまいちわからない方は多いのではないでしょうか?
ビオワインはオーガニックワインや自然派ワインとどのように違うのか、どんな特徴があるのか解説していきます。
おすすめのビオワインも紹介しているので、購入の際の参考にしてみてください。
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ビオワインとは?
ビオワインとは、フランス語で「有機栽培」「有機加工食品」をあらわす「ビオ」と「ワイン」を組み合わせた造語です。
ビオワインは「できる限り自然な製法で作られたワイン」という意味合いとされていますが、この「できる限り」や「自然」という言葉は各々の生産者によって解釈が違う曖昧な言葉です。
後の項目で解説しますが、「ビオワイン」は「オーガニックワイン」とは違い、法的に明確な定義が決まっていません。
そのため有機農法を一部取り入れたのみの緩い自然派ワインから、スピリチュアルな要素にまでこだわって作られたワインまで、どんなワインでも「ビオワイン」を名乗ることができます。
一般的にビオワインのファンが求める条件は、有機農法の中でも下の項目でご紹介する「ビオロジック農法」や「ビオディナミ農法」で作られたぶどうを用いていることや、「手摘み収穫」「酸化防止剤無添加」「野生酵母を使用」などです。
明確な基準はありませんが、日本ではビオワインは「自然な醸造方法を意識して作られたワイン」というイメージで認識されています。
ビオワインの「ビオロジック農法」と「ビオディナミ農法」について
ビオワインには明確な定義はありませんが、ビオワインとして販売されているワインの多くが「ビオロジック農法」や「ビオディナミ農法」、またはその一部を取り入れて作られたぶどうを使用しています。
それぞれがどんな栽培方法なのかについて解説していきます。
ビオワインのビオロジック農法
ビオロジック農法とは、鶏糞や羊糞などの有機肥料を使用した有機農法です。
EUで「vin biologique」の認定を受ける場合、EUで認証された肥料しか使うことができません。
遺伝子組み換えや放射線処理も禁止されていて、基本的にはなるべく人工的に手を加えず、植物が自然の中で育つのに近い方法で栽培する方法です。
ただし、害虫の除去など生物除去は禁止されていません。
害虫対策にも化学的に合成された農薬ではなく、硫酸銅と石灰を混ぜたボルドー液など、天然由来の昔からある方法を使います。
ビオワインのビオディナミ農法
ビオディナミ農法は、ビオロジック農法の一部に分類されるぶどうの栽培方法です。
オーストリアの人智学者ルドルフ・シュタイナーが提唱した理論に基づいて発展した、独特な農法として知られています。
決まった肥料などを使って環境への負荷が少ないというだけではなく、天体の動きや霊的な力を重視したスピリチュアルな要素も強いことが特徴です。
星の動きに基づいて決められた「播種(はしゅ)カレンダー」を使って種まきや収穫の時期を決めたり、霊的な力(フォース)に基づいて調合した肥料など、独自の世界観やルールを持っています。
ビオワインの味や香り、色の特徴
ビオワインは、濾過を行わないため澱などで濁った色をしています。
また、赤ワインの場合、無理な色素抽出をしないので液色が薄いものが多くなっています。
澱は飲んでも体に害はありませんが味がいいものではないので、ビオワインをグラスに注ぐ時はゆっくりと澱が入らないように注ぎます。
先に解説したように、ビオワインには明確な定義がないためビオワインの味や香りは様々です。
いかにも「ビオらしい」ものから、言われてみないと通常のワインとの違いがわからないものまであります。
ビオワインが持つ特有の「ビオ臭」とは?
「ビオらしさ」の筆頭として挙げられるのが、「ビオ臭」という独特の香りです。
このビオ臭は「動物の匂い」「発酵臭」「硫黄臭」などに例えられることが多いですが、ビオワインに含まれる酵母の働きや、無濾過でビン詰めされる際に内部に入った微生物の影響と考えられています。
また、ビオワインの味わいは優しくフレッシュで、ぶどうをそのままかじったようなフルーティーさがあります。
主張が強い味わいのものは少なく、どんな食事にも合わせやすいこともビオワインの特徴と言えます。
ビオワインが頭痛にならないと言われる理由
一般的な赤ワインだと頭が痛くなるが、ビオワインだと頭痛にならないという方は多くいるようです。
その理由の一説に「ビオワインは酸化防止剤が入っていない、またはごく少量に抑えられているから。」というものがあります。
しかし、ビオワインを含め、世界のほとんどのワインには酸化防止剤である亜硫酸塩が使用されており、酸化防止剤が頭痛の原因ではないという説が現在は有力です。
亜硫酸塩に限らず、化学的な添加物が体内に残留することが頭痛の原因と考えられていますが、「チラミン」と「ヒスタミン」が原因であるという説が有力です。
この2つは赤ワインに多く含まれる物質で、「チラミン」は脳の血管を収縮する作用、「ヒスタミン」は脳の血管を拡張する作用があります。
これによって頭痛が引き起こされると考えられています。
ビオワインだからと言って頭痛にならないと断定することはできないので、注意するようにしてください。
ワインの酸化防止剤(亜硫酸塩)について詳しく知りたい方はコチラ
ビオワインと自然派ワイン、オーガニックワインの違い
直訳すれば「ビオ」は「オーガニック」とほぼ同じ意味ですが、「オーガニックワイン」と「ビオワイン」は日本では別の意味合いを持ちます。
この二つの大きな差は、日本で「オーガニック」という言葉を名前につけたワインを販売するには農林水産省が定める「有機JAS認定」が必須ですが、「ビオ」という言葉にはそういった基準がないということです。
他に「自然派ワイン」も似た意味で使われますが、自然派ワインにも日本では明確な定義や法律はありません。
しかし、自然派ワインはぶどうの栽培過程だけではなく、醸造過程でも自然派を意識したワインという意味合いで使われていることが多いようです。
そのため曖昧な基準となりますが、それぞれの言葉は
- オーガニックワイン:農林水産省が定める基準を満たしている、有機農法で作られたぶどうを用いたワイン
- ビオワイン:有機農法の中でも、ビオロジック農法やビオディナミ農法で作られたぶどうを用いたワイン
- 自然派ワイン:ぶどうの栽培・醸造過程それぞれで自然を意識したワイン
というイメージで使い分けをされていると言えます。
オーガニックの定義・認証について
オーガニック=有機栽培とは、農薬や化学肥料を使わずブドウを育てる栽培方法です。
厳密には、「農薬・化学肥料・土壌改良材を3年間使用せず、天然の堆肥で土作りした畑で有機肥料のみを使って栽培する方法」のことを指します。
現在は農薬等を使っていなくても、最後の使用から3年以上経過するまでは認定を受けられません。
隣接する土地での農薬や化学肥料使用についても規定があるとても厳しい基準となります。
日本の有機栽培認定
日本でオーガニックを名乗って商品を販売するには「有機JAS認定」が必要となります。
この規定としては「化学的に合成された肥料・農薬の使用を避ける」「環境への負荷をできる限り低減する」などがあり、農林水産省が定める第三者機関「オーガニック認証センター(OCC)」が基準に達しているかどうかを審査・認定します。
この認証を受けた生産者が販売する農産物には「有機JASマーク」の表示が義務付けられています。
欧州オーガニックワイン憲章(EOWC)
海外でもオーガニックワインの基準はそれぞれの国によって定められてきました。
2012年まではオーガニック栽培のぶどうで作られたワインを「オーガニックワイン」と呼んでいましたが、2013年に欧州各国のオーガニック団体が醸造規定まで視野に入れて定めたのが「欧州オーガニックワイン憲章(EOWC)」です。
それまでの栽培過程の規定に加えて、醸造過程でのソルビン酸・イオウ化合物の除去に使われる物質の使用が禁止され、現在はこの基準で作られたものだけがオーガニックワインとして販売することを許されています。
ビオワインとオーガニックワイン・自然派ワインの見分け方
EUでは上述したオーガニックワインの規定に加えて「vin biologique」というビオロジック製法で作られたワインの認証マークがあります。
ただし、EUは広く土地ごとの土壌や文化も様々なため、自然に配慮したワインの作り方にも多様な考え方があります。
それぞれに配慮して決められた「vin biologique」は、認可されている薬剤の量や種類についての規定が緩く、認証にあまり意味がないと考える専門家も多いようです。
このEUの包括的な基準の他にも、ドイツのIFOAM、フランスのAB、ビオディナミ推進団体のDEMETERなど、各国・各団体がビオワインの認証制度を行なっています。
それぞれが定める「ビオワイン」「自然な製法のワイン」の基準に達したワインのラベルにはこれらの認証マークが入っているので、ビオワインを探す場合は認証マークをチェックするようにしてください。
おすすめのビオワイン:5選
自然な味わいのワインを楽しみたい方に向いているビオワイン。
ここではそんなビオワインのおすすめを紹介しているので参考にしてみてください。
ル・カノン ルージュ
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商品詳細
- 種類:赤
- 味:辛口
- ぶどうの品種:グルナッシュ、シラー、メルロー、サンソー
日本人醸造家の大岡弘武氏が、南フランスのコート・デュ・ローヌで製造している赤ワインです。
ビオロジック農法を実践してぶどうを栽培していて、DEMETERが認可している硫黄を農薬代わりに使用しています。
辛口のミディアムボディで、フレッシュで果実味の強い味わいのため食前酒にも向いています。
ビオワインとしては手頃な価格で購入できることや、日本人醸造家が作っているという親しみやすさも魅力です。
ボデガ チャクラ バルダ
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商品詳細
- 種類:赤
- 味:辛口
- ぶどうの品種:ピノ・ノワール
アルゼンチン産の、ビオディナミ農法で作られた赤ワインです。
スーパートスカーナとして有名な「サッカイシア」のオーナーファミリーであるボテガ・チャクラの指揮により製造されています。
アルゼンチンでは栽培が難しいピノ・ノワールを100%使用して作られていて、ブルゴーニュワインのような繊細な味わいが特徴です。
肉料理や煮込み料理など、しっかりとした味付けや重さのある食事とよく合います。
マルセル・ダイス・リースリング
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商品詳細
- 種類:白
- 味:辛口
- ぶどうの品種:リースリング
フランス北部のアルザス地方で作られた、辛口・ミディアムボディの白ワインです。
ビオディナミ農法で育てられた樹齢20年のリースリングを100%使用して作られています。
醸造後に無濾過で熟成させるシュール・リーという工程が加えられていて、これが味に穏やかな丸みと白桃のような香りを与えています。
レモンや蜂蜜、白い花に例えられるアロマが爽やかで、脂の乗った魚料理や揚げ物、鶏肉料理などに合います。
クレマン ダルザス キュヴェ・マネキネコ
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商品詳細
- 種類:クレマン・白
- 味:辛口
- ぶどうの品種:ピノ・ブラン、ピノ・オーセロワ
招き猫の描かれたラベルがユニークなスパークリングワインです。
ワイン漫画「神の雫」に登場したことで人気となっています。
クレマン・クリュールは17世紀から続く伝統あるフランスのぶどう栽培家で、2004年にビオディナミ農法に転換しました。
所有するぶどう畑が「カッツェンタル(=猫峡谷)村」にあることや、生産者が日本の招き猫という存在に感銘を受けたことから、代表作であるこのワインが「マネキネコ」という名前になりました。
爽やかでフルーティーな味わいの、本格派な辛口ワインです。
モーレル・ヴドー ナチュール・ヴィヴァン ルージュ
現在の価格はコチラ |
商品詳細
- 種類:赤
- 味:辛口
- ぶどう品種:カベルネ・ソーヴィニヨン、メルロー
ナチュール・ヴィヴァンは「生き生きした自然」を意味します。
このワインを企画したのは、社長・専務と現役のサーファーが揃っている日本のワイン輸入会社「ディオニー」で、売上の1%がサーファーの視点で海辺の環境保護を行う団体「S.F.J」に寄付されます。
サーフィンとビオワイン造りに「自然と共存する」という共通点を感じたことが、このワインを作るきっかけとなったそうです。
優しい味わいでスグリや野生カシスの香りがある大自然を感じる赤ワインです。