人気の酒精強化ワイン「ポートワイン」の魅力や特徴
ワインの中でも特殊な部類である酒精強化ワインのポートワインは、糖分がアルコールに変化する前に発酵を停止しているため非常に甘く、現在日本ではかなり知名度が上がってきており人気を獲得している種類です。
そんなポルトガル生まれのポートワインについて、ポートワインってなに?という疑問からポートワインが作られるまでの工程、さらにはおすすめのポートワインに至るまで、ポートワインについて詳しく解説していきます。
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ポートワインって何?
ポートワインまたはヴィーニョ・ド・ポルトと呼ばれるこのワインは酒精強化ワインとして知られており、一般的なワインのアルコール度数が10〜15度なのに対し、ポートワインは20度前後となっているのが特徴です。
主に、ポルトガル北部にあるポルト港から出荷される特産ワインとして知られており、ポルトワインと呼ばれることもあります。
ポートワインの特徴
ポートワインは、糖分の残っている発酵途中のワインに、アルコール度数77度のブランデーを加えることで、酵母の働きを止めて発酵を停止させるため、独特の甘みとコクの深さに特徴が出ます。
また、ポートワインは非常に保存性に優れており、開栓しても一般的なワインほど劣化が起こらず、含まれるタンニンの量にかかわらず長期的な保存が可能なのも特徴と言えるでしょう。
ポートワインには大きく分けて赤(ルビーや褐色)と白があり、ルビー色のポートワインは「ポルトガルの宝石」という名前で呼ばれるほどの人気です。また、ポートワインの白は食前酒として飲まれることが多く、赤は食後酒として、チョコレートや葉巻といった嗜好品と共によく飲まれています。
ポートワインという名前を付けるには
一般的に”ポートワイン=ワインとブランデーを混ぜて醸造したもの”と思われがちですが、ポートワインはポルト市内にあるヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアにて熟成が行われていなければポートワインという名前で呼ばれません。酒精強化ワインの多くはブランデーを使用しますが、それイコール”ポートワイン”というわけではないのです。
長いものになると40年から50年ほどの熟成期間を経て、ポートワインは徐々に香りを芳醇にしていき、味わいもまろやかになっていくのです。
ポートワインの歴史
ポートワインはポルトガルの北部にて14世紀の中頃から生産が始まり、18世紀になるとイギリスへと大量に輸出され、ポルトをイギリス人がポートワインと読んだことでこの名前が定着しました。
ポートワインの醸造過程
ポートワインはドウロ地方で収穫され、醸造からブランデーの添加を行い、ポルトへと輸送されてから熟成期間となるワインです、ここでは軽くポートワインが製品として完成するまでの道のりを紹介します。
ポートワインの収穫
ポートワインは毎年9月から10月にかけて、ポルト市街地からみてドウロ側の上流付近にあたるドウロ地方のドウロ渓谷にあるブドウ畑で収穫されます。
ブドウを搾る工程
収穫されたポートワイン用のブドウは、醸造所に集められ、圧力によるブドウ搾りが行われます。
現在では機械化が進んでいるため工業的な過程ですが、昔はラガールと呼ばれる石桶に入れられたブドウを人の足で踏み潰して絞っていました。
今でも高級なポートワインは足踏み式の搾汁が行われいます。
ポートワインの醸造と酒精強化
ワインの醸造というのはブドウジュースの糖分が酵母の働きによってアルコール化することを利用して行われますが、ポートワインの醸造ではこのアルコール発酵が行われている際に酒精強化としてブランデーを添加することでアルコール変化を強制的に停止させます。
そのため一般的なワインよりも糖分が多く残るため甘い口当たりとなるのです。
ドウロ地方からポルトへ
以上の過程を終えたポートワインの原型は、冬の間をドウロ地方で過ごした後の春先にはドウロ川の河口にあるポルト市街地のヴィラ・ノヴァ・デ・ガイアへと運ばれます、現在では道路の整備も進みタンクローリーで運ばれていますが、昔はドウロ川を利用して小舟で運ばれていました。
ポルトにおけるポートワインの熟成
ポルト市街地へと運ばれたポートワインは、シッパーと呼ばれる商社が持つ倉庫へと運ばれ、そこで各ブランドのブレンダーたちによりブレンドされ「ルビーポートワイン」「トゥニーポートワイン」「ホワイトポートワイン」などの種類に分けられて熟成され、商品となるのです。
ポートワインのシッパー(商社)
ポートワインの味に大きな違いが出るのはブドウの種類よりもシッパーだと言われており、一般的なワインにおける醸造所(ワイナリー)のように多くの観光客が集まるのはボートワインの場合シッパーとなっています。
シッパーでは製造過程の見学や試飲も可能で、ポルトのドン・ルイス1世橋をわたってすぐの場所にあるためポルトの歴史地区からも簡単にアクセスできて人気のスポットとなっています。
ポートワインで有名なシッパーといえば
サンデマン
1790年に創立したシッパーであり、黒マント姿のラベルが目印です。
毎日飲めるお手軽ポートワインの顔とも知られており、ワイン煮込みなどにも使用できて比較的低価格なのも魅力のブランド、おそらく日本で一番人気の高いポートワインです。
フェレイラ
1751年に創立したシッパーであり、ポルトガル国内最大の生産量を誇ります。
2012年にアメリカで行われたワイン雑誌の特集では、ドウロ渓谷でもっとも偉大なワイナリーとも称されており、ドウロ地区で自家栽培を醸造を行う初めての会社として創立されたのも有名です。
グラハム
1820年に創立したシッパーであり、周囲のシッパーと比べてすこし離れた場所に存在しています。
日本ではアサヒビールが輸入を行っているため、比較的手に入りやすいポートワインであり余韻の長い甘口のポートワインを作ることで世界中から支持されています。
カレム
1859年に創立したシッパーであり、現在も創始者の子孫たちが醸造を行っています。
国内では第1位のシェアを誇っており、もっとも有名なポートワインのブランドとして知られているシッパーで、コストパフォーマンスに優れたポートワインを多数生み出しています。
ポートワインの種類
ポートワインには大きく分けて赤と褐色と白の三種類があります。
そのほかにもスペシャルタイプとして特別の醸造されているポートワインもありますが、今回は割愛させていただきます。
ルビーポート
鮮やかなルビー色が特徴でありポートワインの中でも定番とされるのがルビーポートです。
力強い味わいとフルーティーな香りが特徴で、極力酸素と接触しないようにバルセイロという大樽やステンレスタンクを使用して熟成が行われており、パワフルな渋みと甘みが合わさった飲み口となります。
酸化に強いポートワインですが、ルビーポートはそこまで耐久性がなく、抜栓後は10日程度で劣化し始めるので注意が必要です。
トゥニーポート
ルビーポートよりも色が濃いポートワインで、酸化熟成という工程を行うために小型の樽が使用され、酸素との接触面積が多くなるようにして熟成されます。
そのため味はルビーポートよりも角のない柔らかさを持っており、栓を抜いても1ヶ月程度であれば品質をキープできるのも特徴です。
ホワイトポート
白ワイン系のポートワインで、ルビーポートと似た熟成方法で醸造されます。
食前酒としておすすめのポートワインであり、程よい酸味が非常に美味しいワインですがルビーポート同様あまり劣化に強い方ではないため、抜栓後は10日程度で劣化が始まります。
これだけは飲んで欲しいポートワイン
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商品詳細
- アルコール度数:20度
- ぶどう品種:トウリガ・ナショナル、トウリガ・フランカ等
非常にまろやかな口当たりと完熟した果実の繊細なバランスが絶品であり、手に取りやすい価格でありながらポートワインの魅力を存分に楽しめる一本です。
どのポートワインを買おうか迷ったらグラハムのトウニーが間違いなくおすすめであり、気軽に楽しめる満足度の高いポートワインです。