はちみつが固まる原因と簡単な戻し方
はちみつが固まってしまい、傷んでしまったと思った方も少なくないのではないでしょうか?
はちみつは保存方法によっては固まる、つまり結晶化してしまいます。
品質的には何の問題もないのですが、固まってしまっているので使いづらく、結晶化を避けたい方も多いのではないかと思います。
ここでははちみつが固まる原因と簡単な戻し方を紹介しています。
原因がわかれば対策できますし、固まってしまっても簡単に戻すことができるので、ぜひ参考にしてみてください。
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はちみつが固まる原因
はちみつが固まることを「結晶化」と言います。
結晶化が始まるとはちみつの中に白いブツブツが浮かんでいるように見え、カビと勘違いされることも多いですが、劣化ではなく自然な変化です。
はちみつは質の良し悪しに関わらず全て結晶化するものですが、その原因を知っておくことで結晶化を遅らせたり、防ぐことができます。
結晶化は、はちみつに含まれるブドウ糖によって起こります。
はちみつの結晶化は主に温度が原因
はちみつは15度前後が結晶化しやすい温度となっています。
そこから0度までは結晶化が緩やかになります。
そのため、はちみつを冷蔵庫で保存したり、常温で保存していても冬場などは室温が下がって結晶化してしまうことがあります。
また、空調などによって気温差が激しいと結晶化しやすくなったり、結晶化の進みが早くなるという傾向があります。
さらに、古いはちみつほど水分量が少なくなっていて結晶化しやすくなるので、購入して数年も経つはちみつは、夏に常温で置いておいても結晶化することがあります。
はちみつへの振動も結晶化の原因になる
はちみつに含まれるブドウ糖は振動によって結晶化する性質があるため、容器を振ったり、冷蔵庫・冷凍庫内で保存する間の振動で固まってしまうことがあるのです。
容器を振ってはちみつに空気が混ざってしまうことも結晶化を促進させる原因となります。
チューブ式のはちみつなど、中身が出てこないときについ振ってしまいがちですが、実は逆効果となる行動なのです。
固まるはちみつと固まりづらいはちみつの違い
はちみつに含まれる糖類には果糖とブドウ糖がありますが、含まれているブドウ糖が多いほど結晶化しやすい特徴があります。
果糖は結晶化しにくく、ブドウ糖は結晶化しやすいという性質があるからです。
また、結晶の核となる花粉が取り除かれていたり、水飴が混ざっているなど、天然はちみつそのままではなく手が加えられているはちみつも結晶化しにくいです。
購入するはちみつを選ぶときは風味の好みも大切ですが、結晶化しやすいと使い勝手が悪くなる可能性があるので、はちみつ選びのポイントとして覚えておいてください。
固まりやすいはちみつ
ブドウ糖が多く結晶化しやすいのはナタネ、ウド、ヒマワリのはちみつです。
固まりづらいはちみつ
天然のはちみつで、果糖の割合が多く結晶化しにくいのはアカシヤ、リンゴ、レンゲ、ラズベリーなどのはちみつです。
他にも有名なはちみつにクローバー、トチ、ミカン、マヌカハニーがありますが、これらは固まりやすいはちみつと固まりづらいはちみつの中間に当たります。
固まったはちみつの戻し方
固まったはちみつは、温めて元の状態に戻すことが可能です。
しかし、はちみつは温度によって変質しやすい食品なので、戻し方によっては味わいや栄養成分が変わってしまいます。
基本的に高温にしすぎると風味が損なわれたり、栄養素が壊れてしまう可能性があるので、なるべく低温で温めるようにすることをおすすめします。
湯煎する
はちみつの結晶化を溶かす方法で、最も一般的なのは湯煎で戻す方法です。
少し手順が面倒ではありますが、綺麗に結晶を溶かすことができます。
湯煎する方法では、瓶入りのはちみつを丸ごと溶かすことができ、きちんと温度を守れば繰り返し湯煎しても問題ありません。
湯煎ではちみつの結晶を溶かす際に必要なものは、以下の通りです。
- はちみつ(容器ごと、または耐熱皿に移す)
- 小鍋
- 箸かスプーン
- 水
1.鍋に水とはちみつの容器を入れる
はちみつを湯煎で溶かす時は、はちみつを容器ごと鍋に入れ、はちみつと同じくらいの高さまで水を入れます。
プラスチックの容器に入ったものなど、耐熱性の容器ではない場合には溶かしたい分だけ耐熱の深皿などに移しましょう。
2.水を50度前後に温めて湯煎する
鍋を弱火にかけ、水が沸騰する前に火を止めます。
お湯が温まってからはちみつの瓶を入れると瓶が割れてしまう場合があるため、必ず水の状態から温めていきましょう。
また、はちみつは60度以上になると内部のビタミンなどが破壊され、栄養成分が変質してしまいます。
ぎりぎり手を入れられる程度の50度前後のお湯で根気よく湯煎するのがベストです。
可能なら温度計を使って、お湯の温度を測りながら湯煎しましょう。
温度の上がりすぎが心配な場合は、鍋の中に耐熱のボウルなどを入れ、そこに水を張って温めると温度の上昇が緩やかになります。
3.はちみつをかき混ぜる
湯煎を始めるとはちみつが溶けてくるので、箸やスプーンでかき混ぜます。
かき混ぜることにより全体の温度が均一になり、より効率的に溶かすことができます。
4.お湯がぬるくなったらまた火にかける
お湯がぬるくなり、はちみつが溶けにくくなったら再度火にかけ、50度前後まで温度を上げます。
完全に結晶がなくなるまで手順2〜4を繰り返し、結晶が全て綺麗に溶けたら常温で置いてゆっくりと冷まします。
電子レンジで温める
電子レンジで温める方法は、はちみつを少量だけ使いたい場合や湯煎が面倒な時に便利です。
ただし、温度の調節がしにくいので、長く温めすぎると栄養成分が壊れてしまうリスクがあるということは踏まえておきましょう。
はちみつを電子レンジで温める時に必要なものは以下の通りです。
- はちみつ(食べる分)
- 耐熱の小皿
- 電子レンジ
はちみつを電子レンジで温める場合は、食べる量だけを耐熱皿に移して温めます。
温度が上がりすぎないよう、5〜10秒だけ温めてかき混ぜることを繰り返し、結晶がなくなれば完成です。
電子レンジにモード切り替えが付いて入れば、最も低いワット数にして短時間で温めるようにしましょう。
ホッカイロを活用する
ホッカイロを使って温める方法は、他の方法に比べて時間はかかりますが、少ない手間で瓶丸ごとのはちみつを温めることができます。
湯煎のように見守っていなくてもいいので、忙しい方にもおすすめです。
また、温度が上がりすぎる心配がないため、プラスチックの容器に入ったものなど耐熱性のない容器のはちみつも温められます。
ホッカイロを使ってはちみつを温める時に必要なものは、以下の通りです。
- はちみつ(容器ごと)
- ホッカイロ2〜3枚
- タオル1〜2枚
- 毛布1枚
使うホッカイロの目安は、450g入りのはちみつで2枚、1リットル入りのはちみつで3枚ほどです。
1.はちみつの容器をタオルで巻く
ホッカイロではちみつを温めるときは、まずタオルではちみつの容器を巻きます。
あまり厚手のタオルだと温度が伝わりにくいので、薄手のものを選ぶといいでしょう。
2.巻いたタオルにホッカイロを貼る
はちみつの容器に巻いたタオルに、ホッカイロを貼り付けます。
貼るタイプのカイロの場合、この時糊面を内側にすると酸素不足になり温度があまり上がらないようです。
糊ではない面を内側に向け、テープなどで貼り付けましょう。
貼るタイプではないカイロの場合も同様にテープで貼り付けて固定します。
3.カイロの外からタオルと毛布で巻く
カイロの熱を逃がさないよう、カイロの外側からタオル、毛布の順で巻いて保温します。
さらに、放置する間にバラバラにならないよう、毛布の外から紐で縛ったり、大きめのビニール袋に入れたりするといいでしょう。
4.12〜14時間放置する
保温したまま、カイロの持続時間である12〜14時間放置します。
温まり方にムラが出ないよう、途中で転がしたり天地を返すとより綺麗に結晶を溶かすことができます。
はちみつの戻し方の注意点
はちみつの戻し方にはいくつか注意点があります。
ただ温めて戻そうとすると、温度によってはちみつの風味や栄養素がなくなってしまう可能性があります。
高温にならないように温める
湯煎の項目でもご紹介したように、蜂蜜は60〜65度くらいの温度になると、ビタミンや酵素などの栄養成分が破壊され始めます。
見た目や味に大きな変化はないので食べることはできますが、せっかくはちみつを食べるのなら栄養を壊さないままいただきたいですよね。
はちみつの結晶は30〜40度ほどでも十分溶けるので、早く溶かそうと焦って高温にしすぎるのは避けましょう。
完全に溶かす
はちみつを溶かした後、結晶がまだ残っていると、その部分が核となってすぐに再度結晶化が始まってしまいます。
再度はちみつの結晶を溶かすのには手間がかかるので、はちみつを溶かす時にはしっかりと全ての結晶がなくなるまで溶かしましょう。
時間がなく完全に溶かせない時には、電子レンジで溶かす方法を使って食べる分だけ温めるのがおすすめです。
プラスチック容器の場合は変形に注意
プラスチックの容器は、素材の種類にもよりますが50度ほどから変形してしまうものもあります。
はちみつを容器ごと熱する時は容器の変形にも気をつけましょう。
特にホッカイロを使って温める場合には、カイロを貼り付けた部分が局所的に熱くなりやすいため注意が必要です。
何度も繰り返さない
はちみつを何度も繰り返し熱していると、回数を増すごとに風味が飛んだり、味が落ちるなど劣化しやすくなります。
結晶化したはちみつを戻した後は正しい保存方法を守り、次回の結晶化を防ぐようにしましょう。
再度の結晶化を防止したい場合は、40度くらいの低温で根気よく湯煎するのがおすすめです。
はちみつが固まらない保存方法
はちみつは、基本的に常温保存で問題ありません。直射日光が当たらず、湿度が低くて涼しい場所に保存しましょう。
ただし、はちみつは15度~0度で結晶化するので、冬場は室温が下がって固まってしまう場合もあります。
冷蔵庫内での保存も温度が低くなり、結晶化してしまうので避けましょう。
逆に冷蔵庫よりさらに温度が低い冷凍庫の中では、実は蜂蜜は結晶化しません。
冷凍庫の中は-18度前後になっていることが多く、結晶化が起こる温度よりも著しく低い温度のためです。
それに加え、はちみつが凍る温度は-20度~-25度なので、冷凍庫では凍りません。
ただし、冷凍庫で保存すると質感が硬めの水飴のようになり、少し使い勝手は悪くなるので注意してください。
業務用冷凍庫には注意
一般家庭用の冷凍庫は-18度前後がほとんどですが、業務用冷凍庫の場合は-20度~-30度が平均とされています。
業務用冷凍庫ではちみつを保存すると凍ってしまう可能性があるので注意してください。
冷蔵庫の上に置いて保存するのも注意
調味料など、何かと物を置きやすい冷蔵庫の上ですが、冷蔵庫の振動ではちみつが結晶化してしまう可能性があるので注意してください。
もちろん、冷蔵庫の中も振動があり結晶化する可能性があるので、結晶化させたくない人は冷蔵庫での保存は控えるようにしましょう。