はちみつとは?歴史や成分と性質について
昔から健康によいといわれ、食べるだけでなく薬のかわりとしても利用されてきたはちみつ。
その栄養価の高さや殺菌力が注目され、はちみつはのど飴や飲料などさまざまな製品に用いられています。また、はちみつを原料にした美容関係の製品も多くあります。
はちみつってどんな食べものなのでしょうか?
そこでここでは、はちみつの歴史や、成分と美味しい食べ方をご紹介します。
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はちみつとは?
はちみつとは、ミツバチが花から集めた蜜を巣の中で加工・貯蔵したものです。
味や色はミツバチが採取した植物によってさまざまですが、自然界でもっとも甘い蜜と言われています。
もともとは蜜蜂の食料ですが、他の生き物も昔からその恩恵にあずかってきました。
「はちみつの歴史は人類の歴史」ということわざがあるように、人は昔から食用・薬用など様々な用途に使用していました。
はちみつとミツバチの関係
はちみつはミツバチの働きによって、甘くて粘性のあるものになります。
まずはミツバチが花から花へ飛びまわって蜜を集め、集めた蜜は体内の「蜜嚢(みつのう)」という部分に貯められます。
巣にもどった蜜蜂は、巣の中でまっている蜜蜂に口移しで蜜を渡します。
こうして複数のミツバチが口に入れることで、唾液に含まれる酵素による働きによって、花の蜜成分(ショ糖)がはちみつの成分(ブドウ糖と果糖)に分解されます。
蜜を受けとったミツバチは、蜜を蓄える巣房(六角形の小部屋)に入れます。
この時点でははちみつに含まれる水分が多く、まだはちみつの甘さにはなっていませんが、ミツバチが羽ばたきをして扇ぎ、水分を蒸発させて熟成させるのです。
最初は40度未満の糖度が80度前後になると、蜜蝋で蓋をして完成となります。
集めた花のみつの糖度などによっても異なりますが、蜜を巣に持ち帰ってからはちみつが完成するまでの期間は4~7日くらいです。
ミツバチの寿命は30日~40日ほどで、産まれてからは巣の中の仕事を20日間ほど受け持ち、残り2週間ほどは採蜜を行います。
1匹のミツバチは一生かかって花から集める蜜の量は10g程度、そこから水分を蒸発させるので、はちみつとしては小さいスプーン1杯分ほどの5g前後です。
はちみつの歴史
はちみつと人間の歴史は1万年以上昔に遡ると言われています。
人は当初、野生のミツバチの巣からはちみつを採っていました。
紀元前6000年ごろには、スペインのアラニア洞窟の壁に、洞窟に登りはちみつを採ろうとする女性の絵が描かれています。
壁画には蜂がとても大きく描かれていて、古代人のはちみつへの憧れと蜜蜂への恐怖心を読みとることができます。
やがて人間は「養蜂」をするようになります。
およそ5000年前のエジプトでは、粘土製の巣箱をつかった養蜂が行われ、花を追って巣箱を移動させながら採集する移動養蜂も行われていました。
地中海周辺から始まった養蜂は、徐々に世界に広まりました。
昔の巣箱は、藁でつくったものや陶器製のもの、丸太を切り抜いてつくったものなどでした。
しかし、このような巣箱では巣を押しつぶしてはちみつを採取しなければならず、蜜蜂に大きなダメージを与えるものでした。
現代のような木製の枠の中に巣を作らせる方法は、1850年代に発明されました。
また、同時期に巣版を回転させてはちみつをふり落とす「遠心分離器」が発明され、ミツバチ一軍あたりのはちみつの採集量は5倍~10倍に増えました。
はちみつの種類
はちみつはどの花から採蜜したか、つまり蜜源によって種類分けすることができます。
こちらでは、代表的な4種類のはちみつをご紹介します。
- レンゲ花はちみつ
- アカシアはちみつ
- マヌカはちみつ
- 百貨密
レンゲ花はちみつ
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日本でもっともポピュラーなはちみつで、味はクセのないまろやかな口当たりでわずかな酸味があります。
ほんのりフローラルの香りにあわい黄色をしたレンゲ花はちみつは、日本人の好みにぴったりで古くから愛されてきました。
風味を活かしてホットケーキにかけるなど、クセがないので様々な食べ方を楽しむことができるはちみつの種類です。
アカシア花はちみつ
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レンゲ花はちみつと並び、日本で非常に人気の高いはちみつです。
はちみつは気温が低いと結晶化しやすいですが、アカシアはちみつは果糖の割合が多いために結晶化しづらいのが特徴となっています。
味はクセがなく、ソフトな甘みが特徴です。
レンゲ花はちみつと同様、クセがないのでどんな食べ方でも楽しむことができるはちみつとなっています。
マヌカハニー(マヌカはちみつ)
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マヌカはニュージーランドに自生する野生植物で、マオリ語で「癒しの木」という意味を持ち、昔から薬として利用されてきました。
そんなマヌカの花から採取されたはちみつがマヌカハニーです。
普通のはちみつに比べて殺菌・抗菌作用が強く、ピロリ菌を抑える効果や虫歯や口内炎予防、風邪やインフルエンザの予防に効果的とされています。
まったりとコクがある味わいと漢方薬のようなクセが特徴となっています。
キャラメル色で、やや固めのクリーム状となっており、クセがある分料理には使いづらい側面もあります。
百花蜜
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百花密はこれまで紹介したはちみつのように一つの花から集められたはちみつとは違い、蜜蜂が何種類もの花のみつから集めたはちみつです。
また人工的にブレンドされている場合もあります。
どんな花の蜜がブレンドされているのかはミツバチ次第なので、同じメーカーだったとしても味や香りに違いがあるのが特徴です。
安定した味や香りを楽しみづらい点はあるものの、毎年違った味わいを楽しめるので人気のあるはちみつの種類となっています。
はちみつの成分
はちみつの成分は主にグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)ですが、他にも健康や美容に効果的な様々な栄養素が含まれています。
はちみつの糖分
はちみつの糖分は主にグルコースとフルクトースで構成されています。
花から採蜜した段階ではスクロース(ショ糖)ですが、ミツバチの唾液に含まれる酵素によってグルコース(ブドウ糖)とフルクトース(果糖)に分解されます。
スクロースを摂取した場合、体で分解する必要がありますが、グルコースとフルクトースは単糖類なので、分解する必要がないので胃腸に負担をかけることなくすぐにエネルギーにすることができます。
はちみつの栄養素
- ビタミン
- ミネラル
- アミノ酸
- 有機酸
- 酵素
上記がはちみつに含まれる栄養素になります。
ビタミン、ミネラル、アミノ酸の多くは、はちみつに含まれる花粉に入っているものです。
ただ、加熱処理をしたはちみつの場合だと栄養素や酵素が壊れてしまうため、はちみつの栄養素を摂りたい方は生はちみつを摂取するようにしてください。
はちみつの結晶化について
はちみつは5度~15度前後で白く結晶化する場合があります。
食感がざらざらした感じに変化しますが、成分がなくなったりするわけではありません。
腐ったと勘違いする方もいますが、そのまま食べても問題ありません。
はちみつの性質について
はちみつがどのような性質を持った食品なのかについて紹介します。
はちみつを摂取する上で大事なポイントとなりますので、ぜひ参考にしてみてください。
はちみつの甘味度
はちみつは砂糖(ショ糖)に比べて1.3倍甘く、体積としてははちみつは砂糖の1/3の量で同じ甘さを出すことができます。
例えば料理レシピで砂糖大さじ3杯とあったら、はちみつ1杯で代替することができます。
はちみつのカロリー
はちみつは100gで294kcalです。
砂糖が100gで384kcalなので、砂糖と比べるとカロリーがかなり低くなっています。
上述していますが、甘味度もはちみつの方が甘いので使用する量も少なく済みます。
ダイエットや糖質を制限したい場合は、はちみつを砂糖の代替甘味料として活用すると良いでしょう。
ただ、食品全体としてははちみつはカロリーが低いわけではないので、食べ過ぎには注意するようにしてください。
はちみつのカロリーやダイエットに効果的かについて詳しくはコチラ
はちみつは酸性?アルカリ性?
はちみつの液性は主にグルコン酸などの影響で酸性です。
pHでいうと3.8前後であり、はちみつ自体の液性は弱酸性となっています。
酸性の環境では基本的に菌は繁殖しづらく、これははちみつが腐らないと言われる要因のひとつでもあります。
ただ、はちみつは体内に入るとアルカリ性に変化します。
人の体は弱アルカリ性に保つように働いているため、アルカリ性食品であるはちみつは体に良いとされています。
はちみつの効果・効能
はちみつは栄養価に優れた食品で、摂取することによって健康・美容面で様々な効果を期待することができます。
殺菌・抗菌効果
はちみつは糖度が高いので菌が持つ水分を奪い殺してしまう作用があります。
それだけでなく、はちみつは液性が酸性なので菌が繁殖しづらい環境です。
はちみつの殺菌・抗菌効果は喉の痛みや咳に効果的であり、外傷には塗るだけで治りを早くすることができます。
疲労回復効果
はちみつは、素早くエネルギーにすることができるグルコースやフルクトースなどの単糖類を多く含んでいます。
普段の疲労はもちろん、運動中や運動後の栄養補給として非常に高価的です。
また、単糖類は体の中で分解する必要がないため、胃腸の負担にならないメリットも持っています。
ダイエット効果
はちみつは砂糖に比べてカロリーとGI値が低いため、相対的にダイエット効果があります。
また、寝る前に摂取することによって成長ホルモンの分泌を促し、脂肪燃焼効果を高めることも可能です。
もちろん食べ過ぎると中性脂肪になってしまうので摂取量に注意が必要ですが、砂糖の代替甘味料として活用したり、寝る前スプーン1杯ほど摂取することでダイエットとして活用することが可能な食品です。
抗酸化作用
はちみつにはビタミン群やポリフェノールが含まれているので、アンチエイジング効果を期待できます。
摂取はもちろん、直接肌に塗ることによる美容効果も期待できます。
シミやくすみの予防をしたい方は活用してみましょう。
整腸作用
はちみつにはグルコン酸やオリゴ糖が含まれており、腸内の善玉菌を増やすことによって腸内環境を改善することができます。
他にもストレス解消に欠かせないセロトニンと作るのに必要なトリプトファンが含まれているので、ストレスが原因の便秘を改善することが可能です。
たんぱく質を分解してくれるプロアテーゼという酵素も含んでいるため、腸内環境を改善したい方ははちみつを摂るようにしましょう。
はちみつの安全性について
健康や美容に効果的なはちみつではありますが、100%安全な食品というわけではありません。
摂取する場合は以下の内容を注意するようにしてください。
赤ちゃん・乳児には摂取させない
はちみつには稀にボツリヌス菌が含まれている場合があります。
大人は摂取しても問題ありませんが、1歳未満の赤ちゃん・乳児は腸内環境が整っていないため、乳児ボツリヌス症を発症する可能性があります。
最悪、死亡する可能性もあるので、赤ちゃん・乳児にはちみつやはちみつを含んだ食品を与えないように注意してください。
アレルギーを持っている人は注意
はちみつには花粉や蜂の分泌物が含まれているため、アレルギーを引き起こす可能性があります。
かゆみなどの違和感程度なら様子見くらいでいいかもしれませんが、体調が悪かったり免疫力が低下している場合、アナフィラキシーショックを起こす可能性があります。
意識がなくなったり呼吸困難、最悪の場合死亡する可能性すらあります。
パッチテストやアレルゲン特定検査などもありますので、心配な方は実施するようにしてください。
食べ過ぎに注意
砂糖よりもカロリーが低くGI値が低い食品ではありますが、決して低カロリー食品というわけではありません。
食べ過ぎると中性脂肪になってしまい肥満の原因になります。
1日の摂取量の目安はスプーン1杯~3杯程度ですので、食べ過ぎないよう十分に注意してください。
はちみつの基本的な食べ方
はちみつの食べ方は非常に多いですが、はちみつは種類によって味や香りに特徴があるため、向いていない食べ方もあります。
基本的には以下のような定番な食べ方がおすすめです。
- トーストなどパン類に塗る。
- シリアルにかける。
- ヨーグルトにかける。
- 牛乳に混ぜる。
ホットコーヒーや紅茶、料理に使用しても楽しむことができますが、加熱するとはちみつの栄養素が壊れてしまうので注意が必要です。
しかし、栄養素は気にせず味を楽しみたい方は、ソースなど料理に活用するとコクのある甘味を楽しむことができるでしょう。