日本酒の賞味期限について【未開封・開封それぞれ解説】
押し入れから日本酒が出てきた方、買っていた日本酒を放置していた方、日本酒の賞味期限って気になりませんか?
日本酒はアルコール飲料なので飲めなくなることは基本的にはありませんが、美味しく飲める期間には限りがあります。
ここではそんな日本酒の賞味期限について詳しく解説していきます。
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日本酒に賞味期限はない
日本酒はアルコール飲料のため、雑菌が繁殖にしにくい環境なので賞味期限を記載する義務がありません。
自主的に賞味期限を記載しているメーカー(酒造)もありますが、概ね記載されているのは「製造年月」となります。
日本酒のラベルに記載されている製造年月は、日本酒が出来上がった年月ではなく、出来上がった日本酒が瓶詰めされた年月です。
日本酒の賞味期限というのは非常に解釈が難しく、簡単に言ってしまうと「その日本酒を美味しく飲むことができる期間」であると言えます。
日本酒は劣化、つまり味や香りが悪くなったとしても、アルコール飲料なので腐ったりすることはないので、飲んで体調を崩したりすることはまずありません。
また、日本酒は大なり小なり保存していると、いい意味でも悪い意味でも味や香りが変化していきます。
その変化が好みに合わない場合は劣化と解釈できますし、好みだった場合は熟成と解釈できてしまいます。
日本酒は種類によって美味しく飲める期間(賞味期限)に違いがあります。
通常の火入れした日本酒の賞味期限【未開封】:製造月日から1年前後
「生」の文字の付かない通常の日本酒は、製造工程の中で火入れを2回行うため、比較的長く美味しく飲むことができ、賞味期限は1年前後が目安となります。
火入れとは、60度以上で加熱することによって日本酒の中の酵素の働きを止め、火落ち菌のような日本酒の味や香りを劣化させてしまう菌を殺菌する工程です。
火落ち菌はアルコール環境下でも繁殖することができる菌です。
通常火入れは、醪(もろみ)を搾った後のタンク貯蔵前と、瓶詰前の2回行われます。
火入れは日本酒の質を保つための重要な工程であり、基本的に日本酒は火入れが行われます。
生酒の賞味期限【未開封】:製造月日から6ヵ月~9ヵ月前後
生酒の賞味期限は通常の日本酒と違い、賞味期限は6ヵ月~9ヵ月前後となります。
生酒は上述した火入れを一切行わない日本酒なので、保存環境が悪いと劣化しやすく、火落ち菌が殺菌されていないので、日本酒の味や香りが悪くなってしまう可能性があります。
味や香り劣化させないように、火落ち菌が活動できないように常に冷蔵する必要があり管理も非常に大変です。
また、生酒以外にも「生貯蔵酒」と「生詰酒」という日本酒もあります。
生酒と生貯蔵酒、生詰酒の違いは火入れのタイミングにあります。
- 生酒:しぼり→貯蔵→瓶詰(火入れ無し)
- 生貯蔵酒:しぼり→貯蔵→火入れ→瓶詰め(火入れ1回)
- 生詰酒:しぼり→火入れ→貯蔵→瓶詰め(火入れ1回)
- 通常の日本酒:しぼり→火入れ→貯蔵→火入れ→瓶詰め(火入れ2回)
簡単ですが日本酒の種類によって火入れの回数とタイミングの違いがわかるかと思います。
生貯蔵酒や生詰酒に関しては1回ですが火入れを行っているので、火入れを一切行わない生酒よりも美味しく飲める賞味期限は若干長くなります。
逆に生酒は火入れを一切行わないので、適切な保存をしっかり行ったとしても美味しく飲める賞味期限は6ヵ月前後となります。
どちらにせよ「生」が付く日本酒は未開封であっても要冷蔵、開封したらできるだけ早く飲み切るようにしましょう。
ただ誤解がないように補足しますが、日本酒は1年経ったら飲めなくなるというわけではありません。
美味しく飲める賞味期限の目安を過ぎたとしても、美味しいと感じる方もいます。
味や香りの感じ方には個人差がありますし、ここで紹介している賞味期限はあくまで目安として考えるようにしてください。
にごり酒の賞味期限の目安
にごり酒とは、その名の通り透明ではなくにごったお酒です。
このにごりはもろみ成分というもので、本来であれば日本酒の製造過程において濾されるものを敢えて残したものとなっています。
にごり酒は、通常の日本酒に比べても品質が変化しやすいとされているため、出荷時の状態がもっとも飲みごろであるとも言えます。
そのためなるべく出荷から早い段階で楽しむ日本酒と言えるでしょう。
しかし、瓶詰め後も酵母菌が発酵していることから、敢えて熟成させ自分好みの状態にするのを待つというのもにごり酒の楽しみ方としてあります。
ご自身でベストなタイミングを見つけるのもよいでしょう。
どんな日本酒も基本的には腐らない
通常の日本酒だけでなく生酒でも生貯蔵酒でも、日本酒はそのほとんどがアルコール度数10%を超えています。
アルコール度数が10%を超える環境下では、ほとんどの菌は活動をすることができません。
アルコール発酵の際の酵母菌もほとんどが自らの発酵活動において発生したアルコールによって死滅していきます。
そのため、日本酒はその保存方法さえしっかりしてさえいれば、10年を超えたものでも腐らないと言われています。
ただ、アルコール環境下でも日本酒の味や香りを劣化させる火落ち菌は繁殖することができるため、滅菌するために「火入れ」の工程が必要になりますし、火入れされていない生酒は美味しく飲むためには冷蔵保存が必須となります。
開封後の日本酒の賞味期限
日本酒のキャップや瓶の口が清潔で冷蔵庫で保存した場合は、2日~3日ですぐに味や香りが変わってしまうわけではありません。
しかし、日本酒は非常に繊細なお酒なので、美味しく飲みたい場合は1週間以内を目安に飲み切るようにしてください。
特に生酒の場合は火入れをしていないので保存が非常に難しいので、開封後はできる限り早く飲むようにしましょう。
1週間以上経っても飲むこと自体に問題はありませんが、美味しく飲めるかどうかとなると難しい可能性が出てきます。
未開封ならともかく、開封後の日本酒は「生もの」として扱った方がいいかもしれません。
日本酒の上手な保存方法
火入れされている通常の日本酒は、温度変化の少ない15度前後の冷暗所、又は冷蔵庫で保存するようにしてください。
生酒や生貯蔵酒、生詰酒、にごり酒など火入れを行っていない、又は火入れが少ない日本酒に関しては冷蔵庫保存が必須です。
温度変化が少なく低温、日光や蛍光灯などの光が当たらない場所で必ず保存するようにしてください。
賞味期限を過ぎた日本酒の上手な活用方法
日本酒は美味しく飲める期間を過ぎてしまうと、味や香りが劣化してしまい飲用としては適さなくなってしまいます。
そういった日本酒を無駄に捨てるのではなく、上手に活用できる方法を以下で紹介します。
日本酒を料理酒として使用する
日本酒の味や香りが変わってしまい、美味しく飲めなくなった場合は料理酒として使用するようにしましょう。
煮物や炒め物、ご飯を炊く時に使用すると日本酒の旨味や甘味によってさらに美味しい料理にすることができます。
日本を代表する調味料である醤油や味噌との相性もいいので、様々な料理に活用することができます。
日本酒風呂として使用する
お風呂に日本酒を入れることによって美容や健康効果が期待できるとされています。
日本酒に含まれる天然の米ぬか成分「オリザブラン」は保湿力に優れており、血行促進させることによってアトピー性皮膚炎にも有効とされています。
日本酒を化粧水として利用する
「菊正宗の日本酒の化粧水」が非常に有名ですが、美味しく飲めなくなった日本酒も化粧水として活用することができます。
日本酒には保湿力に優れた米ぬかエキス「オリザブラン」をはじめ、抗酸化作用が期待できる成分も含まれています。
日本酒と精製水、グリセリンを用意するだけで簡単に自宅で作ることができます。