全部知ってる?パスタソースの種類と特徴一覧
パスタの歴史は大変古く、この歴史はイタリアで始まりました。今では世界各地でパスタは食べられており、日本でも、パスタは洋食の中でも定番化しています。ですが最近では、定番のトマトソースやクリームソースなどのパスタはもちろん、レモンソースやカボチャソースなどといった変わった種類のパスタソースも増え、どれがどのパスタソースなのか疑問に思うことが多いはずです。
そこで、今回はパスタソースの定番をピックアップして、知っていればためになる、誰かに教えたくなるパスタソースの特徴や名前の由来をご紹介していきます。
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定番パスタソースの種類
パスタに使われるソースは大きく分けて以下の8種類に分けることが出来ます
以下のそれぞれのソースの特徴について説明していきます。
トマトソース
トマトの歴史は古く、コロンブスによって新大陸から持ち込まれたトマトははじめは観賞用で、18世紀末になってから一般的に食物用として食べられるようになりました。初めは揚げ物料理として調理されていたトマトも、次第にフランスや南イタリアでトマトソースとして作られるようになりました。
特に、17世紀にトマトが盛んに栽培されると、トマトとパスタの相性が良いことが世界に広まり、パスタの消費量は一気に伸び始めるほどトマトとパスタは強いつながりを持っています。今では、パスタだけではなくピザやブイヨンで和えたスープなど使い方は多様化しています。
それでは、多岐にわたるトマトソースの種類についてご紹介していきます。
ポモドーロ(Pomodoro)
トマトソースやトマトを使ったパスタ料理のことです。pomodoroという名前自体がイタリア語で”トマト”という意味で、"pomo"はイタリア語で”りんご”、"oro"は"金"、つまり、"黄金のりんご"をさします。
アラビアータ(Arrabbiata)
トマトソースの料理の中でもニンニクとトウガラシを使った辛い料理のことをさします。アラビアータはイタリア語で”怒り”という意味で、これを食べると辛くて怒った顔になることからこの名前が付けられました。
大きくはペンネリガーテ(細かい溝が刻まれたショートパスタ)でつくられた”ペンネ・アラビアータ”と、スパゲッティ(ロングパスタ)で作られた”スパゲッティ・アラビアータ”の二つがありますが、ペンネ・アラビアータは作る際に硬さににこだわらなくても良いため、料理初心者にはオススメです。
ペスカトーレ(Pescatora)
魚介類を使用した料理のことです。北イタリア湖水地方のマッジョーレ湖にある漁師が多く暮らしていたペスカトーレ島がこのパスタの由来で、漁師が売れ残った魚介類や雑魚を集めて調理したことからこの名前がつきました。
今ではトマトソースの印象が強いですが、トマトソースでなくても魚介類を使用していればペスカトーレと呼ぶそうです。
マリナーラ(Marinara)
イタリア語で”船乗りの”を意味する形容詞。16世紀の半ばにスペイン人がトマトを持ち込んだ際、ナポリの船に乗っていたコックが開発したためこのような名前が付いたそうです。
マリナーラは「魚介類がたくさん!!」というイメージを持った人も多いと思われますが、本来は"漁師風"でありトマトソース、ニンニク、オレガノで作られたシンプルなソースをさします。
アマトリチャーナ(Amatriciana)
グアンチャーレ(豚トロを塩漬けして2、3週間乾燥熟成させたもの)とペコリーノ・ロマーノ(羊乳のチーズ)と玉ねぎを用いたパスタのことです。
イタリアの”アマトリーチェ風”という意味で、イタリアのアマトリーチェ村で生まれました。羊のエサを求めた羊飼い達が夏の間羊を連れてこの村に集まり、彼らがたまに村の麓に下りては物物交換をはじめました。物物交換をしていくうちに豚の塩漬けとペコリーノチーズが出会い、このような名前が付いたそうす。
今では、この村がイタリアの大震災に遭ったことから「スパゲティ・アマトリチャーナを食べて被災地を支援しよう」という運動がイタリア内外で広がっています。
カレッティエッラ(Carrettiera)
ニンニクとトウガラシの効いたシンプルなピリ辛パスタのこと。アラビアータと似ていますが、異なるのはイタリアンパセリの量で、多い方がカレッティエッラです。
由来は御者(馬を引く人)が極寒時期、お客さんを待たせている間に身体をあっためてもらえるようにシンプルな具材と早くゆで上がるよう細いパスタを用いて短時間で調理し、提供できるようにしたのが始まりです。ですので、細めなフェディリーニ(1.3mm前後)が使われることが多いです。
ボンゴレ・ロッソ(Vongole Rosse)
アサリをワインで蒸してトマトと絡めたもの。イタリア語でボンゴレ(vongole=あさり)とロッソ(rosse=赤い)を組み合わせた造語。ロッソはイタリア料理で基本”トマトベース”を指しますが、反対の意味を持つビアンコは”白い”という意味で塩やクリームソースをさしており、ボンゴレ・ビアンコという白ワインのみを使ったあさりのパスタも存在します。
プッタネスカ(Puttanesca)
アンチョビやオリーブ、ケッパーなどの塩味や唐辛子をきかせた刺激的なナポリのパスタ。トマトに加わった辛みと塩味が食欲を促進させます。また、保存がきくため、手軽で美味しく作れるメニューとして知られています。
プッタネスカという言葉は”娼婦”です。刺激的なパスタであることから味が娼婦のようだから、買い物に行く時間が少なかった娼婦が安価で簡単に作られたから、など由来は諸説あります。ですがその中でも「客をもてなすためにつくられた」ことが最も有力そうです。トマト、オリーブやケッパーというのは日本では少しお高めな食材ですが、イタリアではこれらの食材というのは比較的安価で、唐辛子は精もつくことから”娼婦”というイメージがついたのでしょう。
アッラ・ケッカ(Capellini alla Checca)
アッラ・ケッカはパスタの歴史の中でも比較的最近につくられたソースです。日本ではトマトの冷製パスタのことをさしますが、checcaは直訳すると”ゲイ”や”おかま”という意味で、冷たいソースにアツアツのパスタをあえてつくるため、どっちづかずのパスタだということが名前の由来とされています。
イタリアではトマトをざく切りにしてオリーブオイルと和え、最も細いカッペリーニパスタを使ってつくるのが一般的で、サラダパスタと言われることもあります。
オイルソース
オリーブ・オイルにニンニクや唐辛子を和えただけのシンプルなソース。香りや風味が豊かであるかつ、他の調味料にもなじみやすいシンプルなソースであるため、イタリアの家庭料理には定番のソースです。
アーリオ・オリオ・ペペロンチーノ(Aglio, olio peperoncino)
”アリーオ”はニンニク、”オリオ”はオリーブオイル、”ぺぺロンチーノ”は唐辛子という意味で、この長い呼び方はぺぺロンチーノそのものの具材を表しています。オイル系パスタの王道で、日本では”ぺぺロンチーノ”で訳されることが多く、一般的には標準より細めのスパゲッティーニ(1.6mm前後)やフェデリーニ(1.4mm前後)がよく使われています。
ボンゴレ・ビアンコ(Vongole bianco)
アサリをワインで蒸したもの。イタリア語でボンゴレ(vongole=あさり)とビアンコ(bianco=白い)を組み合わせた造語。ビアンコはイタリア料理で塩やクリームソースを指しますが、反対の意味を持つロッソは”赤い”という意味でトマトソースでアサリを煮たものをさします。
クリームソース
酪農が盛んな北イタリアで根強い文化を持つクリームソースパスタは、卵と小麦だけでつくられた平打ちパスタのフェットチーネ(4mm~7mmの平麺)との相性が良く、今ではウニやトマト、エビ、かぼちゃなど様々な食材と組み合わせたパスタも多くあります。
アッラ・カルボナーラ(Alla carbonara)
Carbonaraはイタリア語で"炭火焼"をさします。ベーコン、卵、チーズ、で和えたパスタにコショウを振りまいたもので、日本では”カルボナーラ”と呼ばれる人気の高い料理のひとつです。1944年のローマ解放によりイタリア人シェフがアメリカ軍将校に対して、当時アメリカ軍によって流通されたベーコンと卵を使用してつくられたことが始まりとされています。
アルフレッド(Alfred)
生クリームにパルメザンチーズをとかしこんだソースのこと。20世紀の初めにイタリアのローマにあるレストランのオーナー”アルフレッド”さんが、妊娠中に苦しむ奥さんのためにつくったことがはじまりとされています。その後、ハリウッドの夫妻が新婚旅行でローマに訪れた際、大のお気に入りとなり世界中に広まっていきました。
バジルソース
ハーブの王様とも呼ばれているバジル。今では家庭菜園で簡単に育てられることから日本でもバジルは身近な存在になりつつあります。イタリア料理ではバジルをペースト状にしたバジルソースのことをジェノベーゼと呼び、イタリアのジェノバというバジルの産地が由来になっています。
トラパネーゼ(Trapanese)
トマト、アーモンド、バジルを細かく混ぜてペースト状に仕立てたパスタのこと。トラパニというのはシチリア州の県の一つです。西シチリアではアーモンドが最大の特徴で、ペンネ(ショートパスタ)やパンにつけて食べるのも定番となっています。
バジリコ(Basilico)
バジルを使った代表的なパスタ。バジルと何が違うんだ、という疑問が湧いてきますが、バジリコはイタリア語でバジルは英語、という呼び方の違いだけで、指すものはほぼ一緒です。また、バジリコとジェノベーゼとの違いはジェノベーゼの場合、ジェノバの特産である松の実とバジリコを使用していることです。
ミートソース
ミートソースというのはタマネギ、ひき肉、トマトを使ったソース。ミートソースというのはもともとアメリカから取り入れたもので、ウスターソースや砂糖、ケチャップを用いて甘くつくられたソースです。
日本では最も人気なパスタであり、この人気の始まりは1959年にキューピーが発売した日本初のミートソース用の缶詰が原点とされています。(この缶詰は子供用に発売され広まったため、日本で甘口が主流になったのではないかとも言われています)
ラグー・アッラ・ボロネーゼ(Ragu alla Bolognese)
ボロネーゼは基本の材料はタマネギ、ひき肉、トマト、とミートソースと変わりません。しかし、ミートソースの本来の形はボロネーゼから来たとされており、イタリア北部にあるボローニャが発祥の地で名前の由来にもなっています。”ラグー”というのは”煮込む”、アッラは”○○風”という意味で”玉ねぎとひき肉とトマトを煮込んだボローニャ風”のパスタソースです。
ミートソースは砂糖で甘さを出すのに対し、ボロネーゼはワインで具材を煮込み、ワインで甘さを出してます。また、ミートソースはひき肉とトマトを一緒に煮込むのに対し、ボロネーゼはトマトを最後にのせるのも大きな違いです。
チーズソース
スライスチーズやクリームチーズなどを溶かしたソースをパスタに絡めるのが日本では定番。また、特に酪農が盛んなイタリアの北部ではゴルゴンゾーラやペコリーノチーズなど、代表的なチーズが多く生産されており、チーズだけでも400種類以上存在するといいます。
カーチョエペペ(Cacio e Pepe)
カーチョエペペはcacio(硬いチーズ)、e(と)、pepe(胡椒)という意味で、名前の通りチーズと胡椒だけを使ったパスタです。また、カーチョというのはペコリーノチーズのことを指し、このチーズは羊のミルクを原料としてつくられるイタリア最古のチーズです。昔ローマの兵隊がケータリング用の食材として重宝されるほど保存性が高いですが、その分塩分も高いのが特徴です。
クアットロ・フォルマッジョ(Quattro Formaggio)
クアトロは”4つ”、フォルマッジョは”チーズ”という意味。この四つのチーズはブルーチーズのひとつであるゴルゴンゾーラ、牛の全乳を使用したタレッジョ、牛乳の乳脂肪分を抜いたパルミジャーノ・レジジャーノ、モッツァレラを組み合わせるのが標準的となっています。今ではパスタだけではなく、ピザでも使われるソースです。
和風ソース
醤油やめんつゆを使った日本固有のソースパスタです。和風パスタは、クリームパスタとは異なり、味が薄めにできているため細めなカッペリーニ、というロングパスタと相性がよいとされています。本場イタリアでは、和風パスタの場合あっさりとしたソースやオリーブオイルが使われているそうです。
醤油風味パスタ
醤油がベースとなったパスタで、キノコや野菜などに様々な食材に応用可能です。また、醤油に加えてほんだしやコンソメなどの調味料を加えて味に奥行きを出すアレンジもあります。
めんつゆパスタ
めんつゆには昆布、鰹節、椎茸の三種類の食材の旨味が含まれており、これが混ざることによって奥行きのある味ができます。また、旨味のある成分であるトマトやチーズ、サバ、豚肉との相性が良く、より一層旨味成分が実感できるとされています。
その他
トマトソース、オイルソース、クリームソース、バジルソース、ミートソース、チーズソース、和風ソース以外のソースパスタで、日本独自のものや、素材の名前が付けられたパスタをご紹介していきます。
たらこパスタ
たらこパスタも日本のオリジナルのもので、1960年代にたらこスパゲッティが生まれました。東京の渋谷にある「壁の穴」というお店に有名な音楽家が来店。その音楽家が「このキャビアをつかったパスタをつくってくれ」と店主に頼んだところ、大変おいしいパスタができたそうです。ですが、キャビアではあまりにも高級でメニュー化できなかったことから、代替品としてたらこが用いられ、これがきっかけとなりました。
たらこパスタは、たらこをそのままにするか、もしくは生クリーム・バターと絡めてつくるパスタです。たらことバターの組み合わせは簡単に作れるかつ、相性のよい組み合わせで、洋食屋さんではもちろん家庭でも定番のメニューとなっています。また、生クリームを加えることによってよりクリーミーになり、本格的な味を再現できます。
ボッタルガ(Bottarga)
ボッタルガは"からすみ"のことを指します。このボッタルガはフェニキア人(現シリア人)が最初に作ったため、語源はアラビア語です。
からすみはボラやサワラ、ブリの卵を塩漬けにして乾燥させたもので、スライスしたり粉末状におろしてパスタに使用します。イタリアではサルデーニャ島やシチリア島の南部でよく生産されており他国から生産されたものよりクリーミーな分、とても高級な食材であるため、普通のスーパーではおいていないことが多く、専門店などで販売されています。
ナポリタン(Neapolitan)
玉ねぎとピーマンを炒めたものにケチャップを絡めてつくるパスタのこと。ナポリタンはイタリア語ではなく、英語で「ナポリ風の」という意味で、決してイタリアのナポリで生まれたものではありません。ナポリタンは日本独特のもので、バブル期には喫茶店や軽食店で定番のメニューとなりました。トマトソースパスタと似ているところもありますが、ケチャップを使用していることがナポリタンとの大きな違いです。
スピナーチョ(Spinacio)
イタリア語で"ほうれん草"のことを指します。スピナーチョはほうれん草を使ったパスタだけではなく、ほうれん草を練り込んだパスタもあり、スピナーチョはその両方を指します。
フンギ(Unghi)
フンギは”きのこ"を指します。イタリアと日本でつかわれるキノコは異なり、イタリアではマッシュルームやポルチーニですが、日本ではシイタケやシメジ、マイタケが使われ、生クリームやオリーブオイルで味付けするのが主流です。
アッチューガ(Acciuga)
アッチューガは"アンチョビ"のことをさします。アンチョビはカタクチイワシ(イワシの中でも一番小さいイワシ)で、日本では塩漬けにした加工品を指すことが多いです。パスタだけではなく、ピザでも使われることが多いです。